日本の保守とリベラル-思考の座標軸を立て直す (中公選書 131)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121101327

作品紹介・あらすじ

近年、日本政治においても、「右」と「左」ではなく、「保守」と「リベラル」という対立図式が語られることが多くなった。しかし、混乱した言論状況のなか、保守とは何か、あるいはリベラルとは何か、という共通理解があるとは言えない。本書は、欧米の政治思想史を参照しつつ、近現代の日本に保守とリベラル、それぞれの系譜を辿り、読み解く試みである。福沢諭吉、伊藤博文以来の知的営為を未来につなげ、真の「自由」を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:311.4A/U77n//K


  • 昔保守と革新、今保守とリベラル、ってことでこの本が生まれたのだろう。
    アメリカのそれもねじれていると聞くが、日本はなお酷い。
    今の自民党を保守と言えるか?
    防衛費倍増といっても、アメリカの中古の武器を買うだけ。
    2倍にするならその使途はまずは人件費だろう。
    自衛隊員の待遇を良くし、人数を増やさなければ武器だけあっても闘えない。
    アメリカの言いなりになっているだけの日本の政府と自民党。
    そんなのは保守ではない。
    反日統一教会との癒着でもそれは明らか。

    それよりこの本の主題はリベラルにある。
    立憲民主がリベラルかどうかはこの際置いておく。

    日本最初のリベラリストは福沢諭吉である。

    この定義に目が覚めた。
    そう、独立自尊。
    福沢先生の教えはまさにリベラルだったのだ。
    といって、個人主義だけではない。
    福沢の頭には国家主義も内在している。
    個人が強くなって、国家も強くなる。

    保守リベラル。これは同居できるものなのだ。

    続いて丸山眞男が出てくるのも頷ける。
    中学時代に丸山の「日本の思想」を読まされ、正直難易度高すぎだったが、
    福沢の考えを丸山は研究していたのだ。つながっている。

    そういうことを再認識させてくれた。

    自民の保守の系譜は3つに分かれると。
    大平、宏池会、保守本流
    福田、安倍派、保守傍流  
    田中、?、?

    リベラリスト。いいね。

  • 政治哲学、面白い。

  • 6.7 アメリカの影響、ヨーロッパの状況
    10 保守主義とリベラリズムの定義

    26 保守主義は伝統主義や復古主義とは異なる
    37鳥尾小弥太
    44重臣リベラリズム(西園寺公望、牧野伸顕)→戦後保守主義(吉田茂)
    49 結成された自民党は自由主義的なハト派から国家主義的なタカ派まで幅広い政治的立場
    50 国家主導の統制経済や計画経済の日本民主党

    61 スペインから生まれたリベラリズム(フランスのナポレオンによる侵攻に対する抵抗)
    62 日本独自のコンテクスト
    68 コンスタンのルソー批判
    76 石橋の経済的リベラリズム
    95 憲法をめぐる立場

    102 福沢諭吉の訳語

    124 国家のエゴイズム
    126 福田恆存の近代の個の自覚

    132 丸山眞男の主体像
    139 懸賞論文
    154 ナショナリズム
    159 交通

    194 産業社会論


    237 経済成長までの日本保守は追いつき型近代化で欧米の導入をし続けたにすぎない

  • 日経新聞書評 4.9.23

  •  既発表の原稿再録が中心で、本としてはまとまりが薄いように思う。またそもそも、自分の理解不足が原因なのだが、保守・リベラルは一種の言葉遊びにすら思えてくる。
     戦後日本だけを見ても、保守の出発点を吉田茂に見出すにせよ、岸信介の潮流も存在。また著者はリベラルとしては丸山眞男を挙げるが、宏池会を自民党内「保守リベラル」とも呼ぶ。
     終章で著者が求めるのは、自負と責任感を持ち寛容で懐の深い「保守」と、多様な価値観を表明し受け入れるだけの気概と道理を持った「リベラル」だが、そうなると両者の違いは一層不明瞭になる。

  • 311-U
    閲覧

  • バークかっこよ
    福沢諭吉丸山眞男はやはり良い
    ルソーは時代錯誤って出てきてルソーに対してそういう評価軸あるんだって笑った
    やっぱり基本は法の下の平等だよ積極的にせよ形式的にせよ
    「惑溺」心に刻みたい
    有力な学者って政権に影響力を持つ努力してるのかな本当は政治家が頭下げろと思うけど

  • 日本の保守に求められるのは、今こそ真に「保守」になることだ。日本のリベラルに求められるのは、精神の独立を維持することだ。

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著者プロフィール

東京大学社会科学研究所教授

「2023年 『法と哲学 第9号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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