「第三者委員会」の欺瞞-報告書が示す不祥事の呆れた後始末 (中公新書ラクレ 685)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121506856

作品紹介・あらすじ

厚労省の毎月勤労統計

東京医大の入試差別

日大アメフト部の反則

朝日新聞の捏造

東芝の不適切会計……。



不祥事を起こした企業や団体が、外部の専門家に委嘱して設置し、問題の全容解明、責任の所在の明確化を図るはずの「第三者委員会」。だが、真相究明どころか、実際は関係者が身の潔白を「証明」する?禊のツール〟になっていることも少なくない。調査中は世間の追及から逃れる?隠れ蓑〟になり、ほとぼりも冷めかけた頃に、たいして問題はなかった――と太鼓判を押すような報告書もあるのだ。「第三者委員会格付け委員会」委員として組織を監視してきた会計のプロフェショナルが、第三者委員会を徹底分析する。

感想・レビュー・書評

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  • 企業が不正等問題を起こした際に脊髄反射的に結成される第三者委員会の役割について警鐘を鳴らした本。仏作って魂入れずとは良く言ったものだが、調査機関たる第三者委員会が有効かつ透明性を持って問題の分析、解明にあたって欲しいと切に願わずにはいられない。

  • 禊のツール

  • 問題の全容を解明し、責任の所在を明確にするための第三者委員会ですが、実際は真相究明どころか、ただの禊のためのツールになっていることも少なくないと言います。
    第三者委員会の調査が、世間の追及から逃れる隠れ蓑になっています。
    第三者委員会の欺瞞を、徹底的に暴いていきます。
    第三者委員会が、きわめて日本的なもので、諸外国に無いものだと、初めて知りました。

  • 八田先生の本、一般向けも含めて初めて目を通すかも。

    もう10年も前の内部統制実施基準ですが、ガバナンスコードなんかもできたし、財務報告に限らないものへ、バージョンアップしたりしないんだろうか。本家のCOSOがフレームワーク自体の改善に継続的に取り組んでいるわりに、日本って、研ぎ澄ましたり、練り直したりってのが苦手なんですかね。

    それにしても、書籍自体は八田先生流の毒舌満載ですが、まあ言ってることはごもっともと言えるかな。どれでもよいので、元の調査委員会報告書と格付け委員会のコメントを読んでみるのをオススメします。

  • 具体例が提示されており、非常に納得性が高い。
    この枠組み自体が「日本製」であったことは知らず、勉強になった。

  • 不祥事のたびに発足する「第三者委員会」。だが、お粗末な報告書も少なくない。第三者委員会とは何か。その正体をつまびらかにする。

  • 本書を読んで、第三者委員会が日本由来のものだと初めて知った。また、弁護士の飯の種になっているということも知った。
    一方、不祥事を起こした企業の隠れ蓑として使われていることは、知っていた。報告書を読まなくても、日本人なら予想できる結果。お金の出所が当該企業である以上、「第三者」なんて言っても、企業寄りというかその時点の経営者寄りになるのは予想できる。しかも企業の階層の上の人ほど、自分を正当化するのが巧みだし、自己欺瞞に気づくような性格じゃないし。
    本書に登場する第三者委員会報告書格付け委員会は、現在も格付を続けており、年に3~4件くらいの格付を行っている。興味のある人はどうぞ。本書には載っていないが、直近ではジャパンディスプレイの報告書が取り上げられており、見事に不合格点がつけられている。

  • 第三者委員会なるものの始まり、その望ましいあり方など、コンパクトにまとまっていて、理解しやすい。

  • 東2法経図・6F開架:B1/5A/685/K

  • 第三者委員会、社外取締役によるメンバー選定が重要。
    今の取締役会での選定だと、中立性が保てない

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著者プロフィール

1949年名古屋生まれ。
青山学院大学名誉教授、大原大学院大学会計研究科教授、博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。

「2022年 『体験的ガバナンス論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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