地震の日本史: 大地は何を語るのか (中公新書 1922)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121919229

作品紹介・あらすじ

日本の歴史は、地震の歴史だと言っても過言ではない。人の記憶になく、文書に記述がないからといって、地震が存在しなかったと速断するのは大きな間違いと言えるだろう。本書は、「地震考古学」を確立した著者による、日本歴史を地震の連鎖として描く異色の読み物である。巻末に、東日本大震災に関連して、現在の日本列島と共通点が多い九世紀の地震活動を増補し、地震活動活発期にある日本の備えを考える。

感想・レビュー・書評

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  • 普段手に取らないジャンルは難しい。でも歴史の順を追って地震が紹介されていたから、いつの出来事なのか分かりやすかった。あと被害の中で、牛馬はきちんと記されていて昔の人々の暮らしに密接していたこととかが分かって面白い。ただ地震の話だからどうしても重くてしんどく感じる時もあった。新潟の地震や東日本大震災は揺れをしっかり覚えていたから、よりリアルに感じられた。

  • ☆液状化跡など。以外にわかるものだな。
    (著書)地震考古学、揺れる大地、地震、発掘を科学する、戦国時代の考古学

  • 日本のどこにいようが、日本に住んでいる以上、地震にあわずに済むということはあり得ない…ということは、東日本大震災以降特に肝に銘じていたつもりだが、この本を読んでだめを押されたように思った。
    自分はずっと東日本に住んでいるので、関東大震災のことや、これから起こるとされる東海地震のことについては子供のころから聞かされたり考えたりしているが、この本を読んで自分の認識不足を痛感したことと言えば、琵琶湖の周りに多くの断層が存在し地震も頻発していたということ、それから天正地震について、とても大きな地震でありながら、意外と詳細がわかっていないこと。また、近現代の地震は、地元の人は別として、一般にはあまり知られていないことも多いのではないか(特に太平洋戦争中の地震)。
    マスコミなどは南海トラフや富士山噴火などをセンセーショナルに煽っているだけなので、やっぱり私たちはこのような本を通じて事実を事実としてきちんと受け止め、そこから学んでいかなければならないと強く思った。

  • やはり、長い歴史で見れば今回の東日本大震災なんてよくある地震のひとつでした。津波は北海道から八重山まで、太平洋でも日本海でも、東京湾でも大阪湾でも経験済み。宮崎のカミさんの実家も、ギリギリセーフかもしれないけど、最寄のコンビニのあるところは津波でやられてる。地震が少ないと言われてるここ富山でも、立山が崩れた飛越地震、埋蔵金伝説のある帰雲城が埋没した天正地震など、考えてみればすごい地震がたびたび起きてる。そして、やはりどうやら、東海・南海地震は起きる。さらに、そのとき、太平洋岸は津波でかなりやられる。今までがそうだったんだから、次回もきっとそうなる。ヤバイよなぁ。。。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2016年度第9回図書館企画展示
    「災害を識る」

    展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。

    開催期間:2017年3月1日(水) ~ 2017年4月15日(金)
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

  •  地震考古学(考古学と地震学を合わせた新しい学問分野)の提唱者である著者が、これまでの研究をふまえ、縄文時代から現代までの日本史を地震の歴史としてたどったもの。元本は2007年刊だが、これは東日本大震災後に出た増補版。

     日本が世界有数の地震国であることを、我々は知識として知ってはいる。が、本書を読むと、それが改めて実感として迫ってくる。どの時代にも、地震と津波の被害によって多くの人々が塗炭の苦しみをなめてきたのだと……。

     テーマがテーマだけに「面白い」などと言うのははばかられるのだが、不謹慎を承知で言うと、古代から中世あたりまでの記述は退屈。いつごろどんな地震があったかをただ羅列しているだけという感じで、考古学か歴史の教科書のように無味乾燥なのだ。
     私は鎌倉時代の「正嘉の大地震」(日蓮が「立正安国論」を書く契機となった地震)についてくわしく知りたくて本書を手にとったのだが、「正嘉の大地震」については1ページほどしか記述がなくて、ガッカリ。
     まあ、考古学に関心のある読者なら前半部分も面白く読めるのだろうけど……。
     
     第四章「安土桃山時代」あたりから、俄然面白くなる。時代が現在に近づくほど史料が豊富になり、“地震をめぐる人間ドラマ”を描くことが可能となるからだろう。地震と鯰を結びつけて語った最古の史料は豊臣秀吉の手紙である、などという知識が得られるのも愉しい。

     あの山内一豊夫妻は、地震で6歳の一人娘を喪ったのだという。そのようなエピソードを通じて、日本人が昔から地震がもたらす悲しみと隣り合わせで生きてきたことがよくわかる。

     原発という言葉は2回くらいしか出てこないが、それでも本書を読むと、「こんな地震国に54基も原発を作るなんて、やっばり狂気の沙汰だよなあ」と感じざるを得ない。

  • ★2008年2月9日 7冊目読了『地震の日本史』評価B+

  • 日本史における地震を記述。全体にざっくりとした記述であるが、まあ気になったものは調べてゆけばよいのだろう。普通ならば現代に近づけば近づくほど記述が濃くなるものだが、本書では逆である。過去に地震があったことの判断指標は砂が脈状になった砂脈でわかるようだ。本書によると、実家の近くが慶長伏見地震で礫層が液状化現象を受けたという、今度調べてみようと思う。

  • 新書文庫

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著者プロフィール

1947年、香川県生まれ。東北大学大学院博士課程修了、理学博士。地震考古学を提唱。通商産業省地質調査所と産業技術総合研究所で長く研究に携わる。主な著書に『地震考古学』『地震の日本史 増補版』、『秀吉を襲った大地震』『日本人はどんな大地震を経験してきたのか』、『歴史から探る21世紀の巨大地震』などがある。

「2019年 『地図で見る 日本の地震』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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