- Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122022935
感想・レビュー・書評
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1970年代のアマチュア養蜂エッセイ。採算が取れない、蜂は刺すから怖い、とぼやきながらも、お父さんが遺した巣箱を維持するためにほどほどに頑張る明平さん。蜂は通販で買うなんて知らなかった。まあそうだ、蜂は路面店では売っていない。
二つ目のエッセーは家庭菜園について。野菜と果物はほぼ買わないくらいの規模で運営していて、野菜と果物に対するこだわりが熱い。都会住みで生鮮食品はスーパーに頼らざるを得ない者からすると贅沢なほど。また、今でも農業が盛んな渥美の農業の浮き沈みについての話も興味深かった。他の産地との競争もあり毎年の天候の違いもあり、農家は地道なだけではなくて、タイミングを踏まえた投資をする度胸も必要なのだった。
この本が出て40年、渥美たくわんの生産は縮小したようだが、冬キャベツは変わらず作られているようだ。著者の本をもっと読んでから、訪ねてみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「長編随筆」とされているが、まさにその通りで、養蜂に関する技術論や啓蒙書の類とは違う。
行きがかり上、たいして興味を抱いていなかった養蜂に関わるようになった筆者の苦労話や軽い愚痴が、筆者独特のほんわかとした筆致で描かれてある。
また、舞台が愛知県東部の三河地方なので、今の住まいから遠くなく、親しみを持って読むことができた。
最終章で、養蜂業者の立場から環境問題が語られるくだりがある。
経済発展や開発により、今日の日本の養蜂業界はかなり難しい状況にあるらしい。環境アセスメントを行う際、「その開発は場合によってはその地域の一つの産業を破壊する可能性がある」ことにまで配慮する必要があるが、動植物の種の問題、農業の工程組みの問題などが存在し、しかもそれらが複雑に絡み合うケースもあり、適切な評価を行うことの難しさを思わずにはいられない。製造工場レベルの比較的小規模な環境影響評価しか経験のない私には、「環境保全に関わる者としてもっとよく勉強しろ」とのハッパをかけられたような読後感を抱いた。 -
もう5回以上読み返したが、蜜蜂を飼ったことがある人にとっては何回読んでも面白い。。。と思う。エッセイはこう書きたい。。。