- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122033474
作品紹介・あらすじ
室町幕府の権力を二分する、足利尊氏・高師直派と尊氏の実弟直義派との抗争は、もはや避けられない情勢となった。両派と南朝を睨みながら、利害を計算し離合集散する武将たち。熾烈極まる骨肉の争いに、将軍尊氏はなぜ佐々木道誉を必要としたのか。そして、道誉は人間尊氏に何を見ていたのか。「ばさら大平記」堂々の完結。
感想・レビュー・書評
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久しぶりに北方謙三の小説を読んだ。
この、流れる様な語り口といい、南北朝時代の複雑さを感じさせない、言葉の数々。
流石としかいえない。
佐々木道誉。
京極佐々木氏の実力者。
婆娑羅大名として教科書にも出てくるがその素性までは興味をもってなかった。
この小説を通して、京極佐々木氏を勉強してみたくなった。
さて、まずは机に向かうことからしてみよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
佐々木道誉を中心として、南北朝時代の闘う男たちを浮き彫りにしていく。
生き方、芯がぶれないばさらものの佐々木道誉と対して、厭世的でさへある足利尊氏。忠臣高師直を殺し、弟を殺し、倅まで殺す。殺し尽くし生き続ける。
このような生と死が交錯する展開のなか、観阿弥らの芸、笛の音が見事に調和している。 -
道誉からみた足利尊氏の生き様。
語り口がゆったりとしていて、わかりやすい小説。 -
足利幕府成立までのカタルシスのある上巻に対し、下巻では成立後の政争と足利兄弟の喧嘩等のモヤモヤ感。この物語では、尊氏は鬱傾向にあり、下巻の不穏さは読後感に影響する。
武力闘争後の組織再編は、どの国、どの時代でもあるもんだと、改めて痛感。 -
上巻のレビューでも書いたけど、足利尊氏が本当に魅力的。下巻はより魅力的。躁鬱傾向のあるリアルな造形に、師直を死なせ、直義を殺したことからくる凄味というか、開き直りというか、そういうのが加わって凄絶な妖気を帯びている。もはや人間を超えた、征夷大将軍という存在になってしまったかのよう。
道誉は破格の人間に見えて、常に冷静な語り部に徹している。うがった見方かもしれないが、グレートギャツビーの語り手とギャツビーのような、長いお別れのマーロウとテリーレノックスのような構図に見える。
中国の話よりもこの時期の南北朝の話の方が人間の複雑さにこだわっているように見えて、やはりこの時期の作品が好き。 -
やはり、足利尊氏の物語。
悪党の裔の赤松円心、武王の門の懐良親王や菊地武光の名前が出てくるのはいいですね。
この時期の北方作品はどの順番で読めばいいのでしょうね。 -
鎌倉時代末期から南北朝時代の武将「佐々木道誉」。
今まで読んでいそうで読んでいなかった「道誉」。北方謙三が書いていたのを知らなかった。「足利尊氏」に従い、「後醍醐天皇」の建武の新政から尊氏と共に離れ、室町幕府における重職や近江など6ヶ国の守護。
反骨精神旺盛で、周りからは権威を嘲笑し権威に対し気ままで遠慮なくふるまうように見えるが、ぎりぎりのところで勝負する美意識を持つ「ばさら」。地域的・家系的に私のルーツではないかと思っている。 -
結局のところ道誉とはいったい何だったのか?
あまりにも峻烈に描かれた物語を前に今、そんな問いが浮かんだ。その答えが「婆娑羅」なのだろうか。
北方謙三の南北朝シリーズが心に深く刻まれて行く。 -
南北朝時代は、戦国時代に負けず劣らず面白い。道誉・尊氏のみならず、他の人間にも興味湧く一冊。「いまは、すでに過去だ。ちがうか。息ひとつさえ、過去になっていく」
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尊氏の行動全てが気持ち悪くなった。佐々木道誉を中心にもっと読んでみたかった。なんとなく名前で想像出来たんやけど、観世丸が成長して観阿弥に。解説の人は褒めてる気がしたので、じっくり読書を楽しめる人には面白いのかも知れないが、ノリで読書をする自分には全く向いてない作品で正直疲れた。