神様 (中公文庫 か 57-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122039056

作品紹介・あらすじ

くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである-四季おりおりに現れる、不思議な"生き物"たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの川上弘美さん。『大きな鳥に〜』『真鶴』などが好みだが、それと近い雰囲気があるこのデビュー作含む短編集は未読だった。日常生活とちょっとずれてる愛しい者達とのやりとり。不思議かつ好きな世界。そちらでも生きてみたい気がする。

    • 5552さん
      111108さん、こんばんは。
      わたしも、川上弘美さんの描く世界に生きてみたいです。
      といっても、この『神様』と『センセイの鞄』しか読ん...
      111108さん、こんばんは。
      わたしも、川上弘美さんの描く世界に生きてみたいです。
      といっても、この『神様』と『センセイの鞄』しか読んだことありませんが。
      こっちの世界より幾分かゆっくりとした時間と、あたたかな空気が流れてそうですね。
      2021/09/23
    • 111108さん
      mei2catさん コメントありがとうございます!嬉しいです!
      上記以外では『これでよろして?』とか『僕の死体を』とか好きです。東京日記はエ...
      mei2catさん コメントありがとうございます!嬉しいです!
      上記以外では『これでよろして?』とか『僕の死体を』とか好きです。東京日記はエッセイでしょうか?まだ手を出してないので読んでみたいです。
      2021/09/26
    • 111108さん
      5552さん コメントありがとうございます!嬉しいです!
      『センセイの鞄』は実は未読です。〇〇さんと言えば‥というのをちょっと避けてしまう天...
      5552さん コメントありがとうございます!嬉しいです!
      『センセイの鞄』は実は未読です。〇〇さんと言えば‥というのをちょっと避けてしまう天邪鬼的なのと、登場人物を冷めた目で見てしまいがちで苦手な恋愛物という情報で‥
      でも確かに川上さんの世界なら恋愛物でもいいかもしれませんね。
      2021/09/26
  • 大島弓子の漫画みたいだなぁ、と最初思った。
    夢と現実の世界の境目が曖昧になっているみたいな独特の感じ。
    何しろ“熊に誘われて散歩に出る”ところから、この短編集は始まるのだから。
    「ウテナさん」は河童に悩みを相談されるし、「わたし」は熊とハグをし、壺の中から出てくるコスミスミコと暮らす。
    と言っても純然たるファンタジーものではない。ファンタジーと言うには、日常の空気感が満ち満ちているお話たちなのです。

    頭の中で、わたし=片桐はいり、ウテナさん=小泉今日子のキャスティングで映像化して楽しんでみました。映画にしたら案外女の人には人気出そう。

    最初、どういう世界観なのかわからず、ぽかんとしたまま読み進めたのですが、案外好きな作品でした。


  • 楽しいが溢れ出す一冊。

    まるごとすっぽりすごく好きな世界観。

    不思議が織りなす夢のような時間。

    否応なしに不思議たちがいざなう世界にすっぽり入り込み、文字を追うたび、それは"文字を追う楽しい旅"へと変わり、絶え間なく楽しいが溢れ出す時間。

    違和感ない不思議たちさんとのひとときは子供時代に本の中を旅した記憶、ワクワク感を見事に掴み、よみがえらせてくれた。

    くまとのさんぽ、白い毛の三匹との夏休み、河童、壺、人魚…どれも甲乙つけがたい。

    そしてごく自然にほんのり残る寂寥感。このさじ加減がまた絶妙。

  • 「神様」の冒頭の、「くまにさそわれて散歩に出る」 を読んで、童謡の「森のくまさん」を思い出したが、何やら感じは、ちょっと違う。ファンタジーまでは行かない不思議な世界観なんだけど、やたら現実感を主張していて、その中に漂うシュールなおかしみや哀愁がたまらない。ああ、そこの僕、腹に「パーンチ」するのは、やめてあげてね。

    独特の口調がくせになるんですう、「コスミスミコ」の純粋な一途さや、五年前に死んだ叔父の自分勝手に見えそうで、実は温かみのあるところや、「えび男くん」の素朴な人柄の裏に、両親への思いが見え隠れする切なさ等、いずれも味のある個性の強さ。しかも、えび男くんの場合は詩人でもある。星を見て語ったのが

    「昔の光はあったかいけど、今はもうないものの光でしょ。いくら昔の光が届いてもその光は終わった光なんだ。」

    深読みしそうだよ、えび男くん。みかんの食べ方が違ったのは、見なかったことにするから。

    実は、ここまで書いておいて、いちばん好きなのは、タイプの異なる「離さない」です。「夏休み」もそれに近い感じが少しあったけれど・・二度と戻れないかもしれない危険は、夏休みのような、長期の休みの時に感じる異世界感を思わせられて寒気がしたが、「離さない」はそれ以上の極寒で、「わたし」が「うわあ」と言った同じタイミングで、まさしく私も「うわあ」って言いそうになった。こういうところはストレートなのね。

    最後に、作品全体の共通点として、「わたし」の台詞だけ、カギ括弧(「こういうの」)が無いのは、わたしはあくまで傍観者で、主役は他の人たちですよと言っているようにも感じられて、こうした味のある方々を、控え目に持ち上げる奥ゆかしさも好きです。

    • たださん
      りまのさん

      こんにちは。コメントの返事、ありがとうございます。熟睡中で気付かなかったので、大丈夫ですよ。

      グールドは、どこかで聞いたこと...
      りまのさん

      こんにちは。コメントの返事、ありがとうございます。熟睡中で気付かなかったので、大丈夫ですよ。

      グールドは、どこかで聞いたことあるなあと思っていたら、「革命前夜」で、シュウがバッハの「ゴルトベルク変奏曲」を、情緒溢れると評していたのを思い出しまして。それで聴きたいと思ったのですよ。ブラームスも気になりますね。
      2021/08/07
    • りまのさん
      たださん

      こんにちは。コメント頂いて、グールドのimagesの、ゴールドベルク変奏曲を、聴きながら、積ん読中の、「革命前夜」を、パラパラと...
      たださん

      こんにちは。コメント頂いて、グールドのimagesの、ゴールドベルク変奏曲を、聴きながら、積ん読中の、「革命前夜」を、パラパラと、読んでいると、あ、ありました。情緒溢れる…との記述が。ふむ。確かに。魅力的な演奏です。
      、、、それにしても、図書館で借りた本を読むのを優先して、積ん読本が、ずいぶんたまっています。今日もまた、図書館で借りて来てしまいました(^_^;)
      革命前夜 読みたいのですが、も少し先に、なりそうです。
      では、お返事頂き、ありがとうございました (*^^*)


      2021/08/07
    • たださん
      りまのさん

      御丁寧に確認いただいて、ありがとうございます。

      積ん読本がたまるの、分かります。最近、ようやく図書館に行けるようになったので...
      りまのさん

      御丁寧に確認いただいて、ありがとうございます。

      積ん読本がたまるの、分かります。最近、ようやく図書館に行けるようになったのですが、読みたい本が図書館にしか無いことが多いので、必然的にそうなってしまいます・・・
      2021/08/07
  • くまにさそわれて散歩にでる。くまにですか・・そのうち私はこの独特の世界に引き込まれてゆく。夢の話というひともいるが、わたしにはどちらかというと、空想の遊び。口には出さないけど、こんなことがあったら、例えば動物が話したら、話せたら、とか。壺からコスミスミコさんが出てくるんです。笑ってしまいました。たのしいだろうな、家に帰ってコスミさんが居たら(笑)。
    「花野」はなくなったおじさんが出てくる話。これはきっと夢だろう。「私」はおじさんと久しぶりの会話をしている。最近どう?というふうに。
    やがて、叔父のまわりの空気がゆらゆらしたかと思うと、かき消すように叔父はいなくなった。叔父の立っていたあたりを見おろすと、小さな草の花が群れ咲いていた。この感じがすき。なんて素敵な・・ゆらゆらして楽しいのに最後には、切ないーと気持ちをもってゆかれる。
    「離さない」が心を付いた。手放さなきゃならないものってあるじゃないですか。
    一気に一気に放り投げたんです。「私」とエノモトさんで。人魚が言うんですよ。離さない、と。怖い。でもファンたジーのようであいまいでよい。
    最後、くまは故郷へ帰ってゆくのです。くまから手紙が届きます。「私」は三回読んで泣きそうになったらしい。わたしも泣きそうになった。良いお話をありがとうと。

  • 「離さない」一度出会ったら会社を休んでしまうほど離れがたくなる魔性の魅力を持つ人魚の話。「神様」熊は一緒に散歩して熊の神様のお恵みを祈ってくれるほど優しいのが印象的。この1冊は「蛇を踏む」より読易い。

  • 短編集。熊や河童や人魚など、不思議な生き物とのささやかな交流に、日々の忙しさを忘れられるような9篇。
    現実のような世界で、現実ではあり得ないようなことが何の疑問も違和感もなく流れていく。こういうの、心地よくて好きだな。
    少しずつ、ゆっくり読んだ。

    気に入ったものをいくつか挙げてみる。
    表題作「神様」がよかった。
    隣人(熊だけど)のくまとハイキング。ゆったりとした時間の流れとくまの気配りや繊細さ、くまならではの行動も愛おしい。
    そして最後の「草上の食卓」でもまた、くまとのハイキング。
    熊と人は違う生き物だってことに、愛しさが募ると同時に切なくもなった。

    「花野」
    死んだ叔父が時々現れて、思い出や他愛ない話をしていく。
    伯父と姪という距離感が、ちょうどいいと思う。できれば一番近しい家族の前に現れたいけれど、そうしたらいつまでも離れ難くて、と想像してみたところで、だからそれぐらいの距離は必要か。
    ちょうどお盆の時期に読んだということもあり、印象深く残っている。

    「河童玉」
    河童の恋愛相談。
    人間のウテナさんに、「あちらの方」の悩みを赤裸々に打ち明ける河童は真剣なのだろうけれど、他の河童たちは歌ったり踊ったりしていて楽しそう。なんだか、細かいことはどうでもよくなっちゃいそうだ。
    それにしても、河童界で知れ渡るほど有名なウテナさんって何者なんだ。

  • 梨の妖精(?)の話が特に一番好きだった

    また読み直したら感想を書き直したい。

  • くまに誘われて散歩に出たり、バイト先で不思議な生き物に出逢ったり、五年前に亡くなった叔父が逢いに来たり、友人のウテナさんと一緒に河童の恋愛相談にのったり、ウテナさんがくれた壺の中から出てきた可愛らしい少女・コスミスミコに振り回されたり、ご近所さんから人魚を預かったり、と摩訶不思議な体験を次々にする「わたし」の連作短編。
    この「うそばなし」ワールド全開のデビュー作を書くことにより、川上さんは物語を書くことの楽しさを痛感したそうだ。
    くまや河童達と普通にやり取りする「わたし」はひょっとしたら川上さんご自身なのかもしれない。
    川上さんの夢の世界はふわふわ優しくて温かくて可愛らしい。
    私もこのくまになら誘われてピクニックに行きたい。
    くまお手製のアップルパイが食べたい。

  • ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞短編集。

    高校の国語の教科書に載っていた「離さない」に衝撃を受けて以来、折に触れ何度もあの人魚を思い出していた。どうしてもまた読みたくなって探して、行き着いた本。

    「離さない」は勿論良かった。魅せられる静かな狂気。ぞっとするんだけど、最初に読んだ日以来私の心を「離さない」物語。
    人魚が人魚姫みたいな美少女じゃないのに魅せられるっているのがいい。狂気の描写が心情描写を延々書き連ねる、という風じゃないのがいい。あっさり描かれていて、だからぞっとする。
    人魚のお話は数多くあれど、私の中でのナンバーワン人魚。

    で、今回他の収録作も初めて読んだ。知らなかった、「神様」が川上弘美のデビュー作だったんですね。
    このお話含め、どれもこれものんびりぽかぽかしてでもどこか切なさを感じる。寂しさとかも。この小説を読み終わった今も、とても寂しい。
    いいな、私もそんなくまに会いたいなあ。熊、じゃないのがいいね。

    それから「花野」はもうドストレートに泣ける。人に勧めるならまずこのお話からにすると思う。でも変に泣かせようと肩肘張ってない、あっさりとした文章なんだよね。
    そら豆嫌いなのに、食べたくなった。

    あとがきも面白かった。オチが(笑)。

  • くまさんと河童さんの話が特によかったな。

  • 遊び心に溢れた物語を覗いて、ほっこりした気分に。
    そして、時折感じる人間模様に触れ、優しい気分に。この世界観がとても好きです。

    5年前に死んだ叔父との会話を描く「花野」、ウテナさんがくれた、ちょっとした壺との「クリスマス」が中でも印象に。

  • 「大きな鳥にさらわれないよう」が、面白かったので読んでみましたが、今一つでした。
    なんなの?っていう言葉が浮かびまくります。

  • デビュー作「神様」から始まる連作短編集。
    くまと散歩に行く話、河童に恋愛相談される話、小さな人魚に魅入られる話・・・など川上弘美さんならではの幻想的な話にほんの少し怖さをまぶしたような短編たち。

    川上弘美さんの本の感想書くのってすごく難しいんだけど、(作品と作品の差をうまく表現できない)今まで読んだ川上さんの作品の中で2番目に好きかも。

    1番は「真鶴」。

  • わたしもクマが作ってくれたお弁当食べたいし一緒にピクニックいって雨に守られたい

  •  「クリスマス」と「星の光は昔の光」を読むまで、(最初の作品から)続いている短編なのだということに気がつかなかった。
    正直にいって、この小説はよく分からない。最初に出てくるくまは、何かのメタファーなのかと思ってのだけれども、その後に出てくる登場人物達はそういう印象を受けることもなかった。かといって、幻想的な小説、と一言で片付けるのもどうかという気がする。

    最初の短編「神様」でも、最後の「草上の昼食」でも、くまが人間とは異質な存在であることが示されている。「神様」では、道をすれ違った子供から唐突のパンチを繰り出されたり、その親がくまに対して決して視線を向けようとしなかったりと、くまが人間とは異なる扱いを受けている。「草上の昼食」では、くまが野生の動物としての遠吠えをあげる描写が見られる。
     どちらの作品でも、くまが人間とは異質の存在であることを示している点では同じようだが、「私」との関係性については相違点があるように思う。「神様」では、「私」の語りは情景描写に終始しており、自身の心情をそれほど多くは語っていない。それに対して「草上の昼食」では、くまの帰郷する報告を受けて思わず悲しい表情を浮かべたり、くまの吠える様子を見てはっきりと「こわい」(p.187)と感情を示している。
    あまり厳密に考えた解釈ではないが、周りや世界に対して「馴染まない」(p.184)「私」は、梨を好む白い三匹の何かや、河童、コスミスミコ、えび男くんといった存在との交流を通して、自分の「ずれ」(p.32)というものから回復していったのではないだろうか。まぁ、人魚の話などはこの解釈には当てはめにくいような気もするが、概して、作品を重ねるに連れて「私」の感情が少しずつ増えていったような印象を受ける。「ずれ」から回復したのではなくとも、自分と同じように周りに馴染まない存在との交流がなんらかの作用をもたらしたのではないだろうか。




     少し、とりとめのない感想を。「夏休み」に出てくる白いやつの中で三匹目が、「「動くとぼくが減っちゃうのがだめ」(中略)「ぼくが入ってもぼくが抜けてもその場所が変わっちゃうのがだめ」(p.24)というようなことを述べている。自分がどんな動きをしても、何かが、その場所かその場所を占める何かが変わってしまうのが嫌だ、という感覚は小学生の頃に少し感じていたような気がする。昔のことだし、記憶違いかもしれないのだけれど、懐かしさを感じた。その感覚とは、自分が存在していることの不安だったのだろうか。
     あと、「草上の昼食」でくまが広げた傘が、「折りたたみ式のビーチパラソルだった」(p.185)ことに笑ってしまった。


  • 「くまにさそわれて散歩に出る。」
    こんな一文で始まる
    夢の中にいるような
    ちょっと不思議な物語の短編集。
    そのほとんどが
    普通ならばありえない
    〈生き物〉たちとのやりとり。
    
    人間の世界で暮らすくま
    梨が好きな小さなもの
    むこうの世界から姪のもとにやってくる叔父
    河童の夫婦からの切実な相談
    壺に住んでいる女子とのリアルな会話
    好きじゃない本名に代わりえび男くんと
    呼んでもらっている男の子
    飲み屋「猫屋」のおばあさん
    人間を離そうとしない人魚
    故郷へ帰るくま。
    
    ただただ時間が静かに流れ
    多くを語らず
    瞬間瞬間を共にして
    心を通わせていく。
    それはあまりに優しくて
    文字1つ1つをそっと指でなぞりたくなる。
    
    異彩を放っていたのが人魚の話
    離れられない、離れたくない、離さない
    人間との真剣勝負。
    
    壺から出てきたコスミさんが
    ささやく言葉と涙に
    自分のなにかを重ね合わせたり。
    
    わたしとくまの話が特によかった。
    雷からわたしを守るその様子は
    もう、尊い恋愛小説のようだった。
    
    どうしようもなく心細くなったとき
    あたしは、きっとこの本を開くと思う。
    

  • のどかで、にぎやか、ぬくくて、ひんやり。ふわふわ、かちかち、しろくて、とうめい。たのしく、さみしく、わくわく、はらはら。いきなり、ずーっと、むかしで、さいきん。くらくて、まぶしく、とおくて、ぴったり。

    いきてるようで、それとははんたい。

    そんなゆめ。

  • 川上さんの書くストーリーもいい加減浮世離れした感じが多いかと思うのですが、不思議に一文で泣かされてしまいます。とりとめのないような話の中のちょっとした文章が胸をかきむしる。凶器です。
    もちろん神様にも泣かされました。
    これが小説家というものですね。

  • となりに熊が越してきた。
    河童と出会う。
    死んだ叔父と会う。
    人魚にまつわる話。

    一連の短編がどうやら同じ主人公だったらしいと気づいたのは、星の光は昔の光までよんでから。

    最後、熊が帰っていくのが切ない。

    淡々とした日常の一枚の中、よくよく考えてみると(よくよく考えなくとも本来は気づくはずなのだが)、なんだか紙一枚くらいのずれがある(本当は次元そのものがファンタジーとしてぶっ飛んでいるのだが)。
    手のひらに収まる愛しい日常をたんたんと綴ることで、哀切さが伝わってきた。

    不思議な一冊。
    でも、なんだか大事にしたくなるような一冊。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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