- Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122039094
感想・レビュー・書評
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中公文庫
山本博文 「 島津義弘 の賭け 」
「島津家文書」など良質な史料を基に島津義弘の生涯をまとめた歴史ノンフィクション
時流を読まず政権と距離をとる島津義久と 島津家を守るため 政権と行動する島津義弘の生き方を対照的に捉えている
著者は 義久と義弘を内部分裂と見ているが、2人の対称性により島津家の均衡がとれているようにも見える
タイトルの意図(義弘が島津家を守るためにとったリスクテイクの数々)は戦国武将として当然に思うが、琉球出兵に対して、豊臣や徳川の命令に反してでも、旧来の友好関係を維持しようとした義久に共感する
タイトル意図/島津義弘が島津家を守るために行ったリスクテイク
*義弘の子 久保を義久の養子にして島津の家督を守る
*石田三成による太閤検地を受け、豊臣の保護を受ける
*関ヶ原の戦い
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江戸時代、国内の中で、さらに鎖国のように国を閉ざしていた薩摩藩島津家。幕府やその前の豊臣政権に対しても、非協力的というか、反抗的だったかといえば、そんなことはなかった。
中央の政権に対して、特に島津義弘は、さまざまに気をつかっていた。
しかし、それに対して協力しようとしない当主であり、兄である島津義久や家臣たちとの関係に悩むことになる。
よくできた小説のように面白いが、全て資料の裏づけがあり、歴史の勉強になる。
島津家と豊臣政権、例えば石田三成との関係、徳川幕府との関係などは、著者の独壇場だろう。
歴史小説に飽きた人にも、おすすめの一冊である。 -
多くの資料を基にして、戦国末期の島津義弘をメインに描写した作品。
小学校で読んだ伝記の影響でなぜか戦国期は義弘より義久、幕末は斉彬より久光に思い入れがある。
そんな自分の中のイメージを変えてくれました。
いろいろな資料から浮かび上がる繊細さや思慮深さ。
義弘に対する猪武者の思い込みがガラッと崩れた。
やっぱり同じ人物を色んな角度から見ると面白いんだなぁ。 -
豊臣政権に服属を余儀なくされた九州の雄島津家は、いかにして伝統的体制の自己変革をはかったのか。厖大な史料をもとに描く歴史ノンフィクション。
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豊臣政権は“総帥”の義久よりも、弟の義弘の方を「九州の薩摩や大隈に在る島津の代表者」というように遇する。豊臣政権の時代以降、大名は「政権の膝元に赴いて、色々な役目をこなして政権に尽くす」ということを求められ始めたのだったが、島津家でそういう役目を担ったのが義弘だったのである。
この義弘は、兄の義久らとの間で「政権の指令への対応」を巡って、その“温度差”にかなり永い間悩み続けることになる。或いは本書は『島津義弘の賭け』というよりも「島津義弘の苦悩」という感さえ抱く。彼らの書簡などを丹念に紐解き、それらの内容もふんだんに取り入れながら、正しく「肉声が聞える」ような調子で、様々な挿話に彩られた島津家の物語が語られている。
非常に興味深い一冊!! -
関が原前後の義弘関連の史実文書をまとめた本。
見やすくて分かりやすいです。 -
島津家文書をもとに、戦国大名家の視線から近世社会成立史を検証する本。関が原の合戦で有名な島津の退き口。石高からすると一万の動員兵力を持つはずの島津家が、なぜ退却時にはわずか二、三百騎の兵しかいなかったのか。その理由は想像以上のお家内部事情があったということを良質資料で確認できる。
2006.11.15読了
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