- Amazon.co.jp ・本 (511ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122040816
感想・レビュー・書評
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歌舞伎の祖といわれる出雲のお国を主人公にした小説.京都,四条河原のたもとにたつお国の像を目にするたびに読みたいと思っていたのだがようやく読めた.
お国は安土桃山時代から江戸時代の初めを生きた人物.生涯の折々に貴人の前で踊り寵を受けることにはなるが,歴史の表舞台に記録される人物ではなく,その生涯について知られていることはほとんどないらしい. -
高校生の時に読みましたが、今でもその時読んだ衝撃は鮮明に覚えています。初めて行く読書会に持参した思い出の本でもあります。
主人公は勿論、歌舞伎の祖お国。しかし私はお国よりも側近のお松に共感致しました。
才能溢れるお国と同じぐらい情熱を持ち、同等以上の努力をしましたが全く及ばなかったお松。
当時バスケ部だった自分と投影してしまい涙を流して読んだ記憶があります。
ある程度のスキルは努力で習得できると信じていますが、本当の一流に達するには才能が必要であることも事実。
綺麗事では無い社会の真実を高校生の時に教えてくれたこの本は私のバイブルです。 -
上巻が女の業ならば、下巻は天才の業と言うべきか。
才を持つものと持たぬものが、残酷なまでにくっきりと描かれている。その鮮やかさが鋭いけれど美しい。
怖いわ。 -
20111030読了
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基本的に阿国がとても魅力的な女性に描かれていて、引き込まれた。後半、意固地な阿国にいらいらはらはらしたけど…。庶民の前で一体となって踊るのが好きというのも好感が持てた。しかし、こんなに出雲と歌舞伎が近しいのに、今では遠くなっているのが、不思議であり残念。(京都に阿国の銅像があるらしい)もっと郷土の歴史を学びたい。
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いつもながら流石の読み応え。一体どれだけの下調べをしたのかと思うと頭が下がる。濃密で細やかな、特に、女性の心理描写がすばらしく好み。一人の人間の一生を描くに相応しい、ずっしりと重みのある作品。
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戦国末期から江戸初期にかけての
動乱の時代に生きたひとりの女性
歌舞伎の創始者、出雲阿国の生涯を描いた物語。
幾度も訪れる困難や悲しみ、それさえも糧にして
死の瞬間まで踊り続ける、つよくて美しいすがたは
まるで踊るためだけに生まれてきたようなひと。
燃えるように恋をして、燃えるように生きた。
恋も、他のあらゆるものを失っても、
踊ることだけはうしなえなかった。
まっすぐすぎて、すこしまぶしい。
物語の展開自体もとっても面白いし、
細かな時代背景や当時の風俗なんかの描写も興味深く読める
ほんとにすごい作家さんだなあといっつも思う
阿国のように、私もどんなことがあっても書くのだと
力強いあとがきに、またほろり。