- Amazon.co.jp ・本 (541ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122053052
作品紹介・あらすじ
香辛料、絹、綿製品、砂糖、茶葉、コーヒー、チョコレート、そしてアヘン-。人間の限りない物的欲望を背景にして人、物、金が世界を巡り、アジアと欧米は徐々に一つの世界システムを構成していく。海洋を舞台に、近代世界の転換期を描く、五百年の物語。
感想・レビュー・書評
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NDC209
目次
1 大洋の時代
2 衣食住の国際政治
3 ひとつの世界へ
4 ヨーロッパの生活革命
5 ヨーロッパの工業化とプランテーション開発
6 「パクス・ブリタニカ」の盛衰詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このシリーズとしては異色の一冊。「近代世界システム」の視点で見たアジアと欧米の500年を描いている。既にこのシリーズで地域別・時代別に述べられたところをその枠組みを超えて世界大で俯瞰する。近代世界システムとは何か? そこで言う中核と周縁とは? 近代世界システムはどう展開していったのか? 南北アメリカとアジアの違いは? など分かりやすく解説する。日本の開国事情についても詳しく述べられているが、幕府が十分に力を発揮して最良の着地点にたどり着いたことが分かって面白い。秀逸な概説書だと思う。
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香辛料、絹、綿製品、砂糖、茶菓、コーヒー、チョコレート、そしてアヘンー。人間の限りない物的欲望を背景にして人、物、金が世界を巡り、アジアと欧米は徐々に一つの世界システムを構成していく。海洋を舞台に、近代世界の転換期を描く、500年の物語。
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2013.10.29
求める世界史の授業を体現したような作りとなっている。 -
お風呂の栓を抜く時のように、あるいは
蟻地獄に蟻が吸い込まれていくように世界史の諸相にはそれぞれ「中核(ヘゲモニー)」があり、そしてその「周辺」があった。14世紀末から20世紀初めまでの約500年を主に海から、国にとらわれずに眺める。
はじめはアジアとヨーロッパの貿易は、イスラーム圏などですでに確立していた貿易にヨーロッパが寄生するかたちで利益をえていた[p170、201]。これは19世紀も続いた[p301]。
そもそもそのような辺境の地域でしかなかった欧州諸国が、レコンキスタを契機に海へ飛び出してイスラーム勢力などを回避する新しい航路を見いだそうとしたのがはじまりだろう。そして発見したアメリカ大陸は、レパントの海戦(1571年)で欧州諸国(スペイン)がオスマン帝国を破るまでの経済的バックボーンになる(そのことをオスマン帝国内部でも分析していたらしい[p154])。
そのあとスペインがオランダの独立をゆるすなどして衰退し、「中核」はオランダへ、その後の流行や嗜好の変化(オランダ支配していた植民地で取り扱っていた香料などが時代にあわなくなるという奇跡!)などで[p200]イギリスへ、というのが20世紀前後までの大まかなストーリー。
イギリスの朝食の変化がそのまま時代を表していた[p305]。紅茶に砂糖を入れて飲むというのは、その当時の労働者を効率よく働かせる?食習慣として確立したものらしいが[p309]、世界規模で貿易の主導権を握ってできることだった。紅茶は中国から、砂糖は西インド諸島からもたらされるからである。それぞれ、イギリスからみれば東の端と西の端。
20世紀にはいると、イギリスは工業生産の面ではドイツやアメリカに抜かれるようになる。しかし金融面では依然として大きな影響力を保持(オランダもそうだった)した。その後の「中核(ヘゲモニー)」をめぐって現代の悲劇的な戦争につながっていく流れ。