- Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122054394
作品紹介・あらすじ
日本文化を世界に紹介して半世紀。ブルックリンの少年時代、一人の日本兵もいなかったキスカ島、配給制下のケンブリッジ、終生の友・三島由紀夫の自殺…。齢八十五に至るまでの思い出すことのすべて。
感想・レビュー・書評
-
再読。某所で紹介するためにさらっと読み直すだけのつもりだったのに、あまりに面白くてまた最初から最後まで読んだ。
先月お亡くなりになったというニュースを聞いた時はびっくりして、でも96歳の大往生でもあり、不思議に穏やかな気持ちでご冥福を祈った。キーンさんならば、きっと安らかに天国に行かれているだろうという不思議な安心感があったのだ。
しかしその後、ツイッターを検索すると、日本を愛してくださりありがとうございましたという言葉を何度も見かけ、私も思わず泣いてしまった。
この本を再読して思ったのは、この方が本当に才能に溢れ、明晰な頭脳を持ち、そして素晴らしい探究心を持っていらっしゃる人なのだということだ。そして、そんなキーンさんならば、おそらく他の分野でも成功していたのではないかと思う。
キーンさんは自分は信じられないほど幸運だったのだと何度も作中で言われるが、そんなキーンさんが日本文学の研究者になってくれたことこそ、日本の幸運だったのではないかと思うほどだ。
初読の時には分からなかった作中での数々の著名人(日本の文豪だけでなく、海外の交流も)の豪華さにも圧倒され、またなんと広く世界各地を見て回られたのだろうと目眩がする。
その幸福な人生が、周囲の人々に与えた影響は計り知れない。
来月、新潟に旅行へ行く予定である。新潟の柏崎にある、ドナルド・キーン・センターにも行くつもりだ。キーンさんのNYでの書斎がそのまま残してあるということで、行くのが楽しみである。 -
日本への永住を決めたキーンさん、いったい彼はどうしてこんなに日本を愛してくれるのだろう?と不思議だった。自伝を読んでみて、彼は、むやみやたらと日本を好きなわけではなく、客観的、冷静的に日本を見つめ、日本と自分の間にある程度の距離を置いた上で、その結果として「それで、日本が好きなのです」と言っているように感じた。この適度な距離感というのは異国や異文化に対してはとっても大事な気がする。それにしても、キーンさんの日本の文化や歴史に対する探究心には、日本人として非常に頭が下がる思いだ。心の底から「本当にありがとうございます」と言いたくなった。
-
キーン氏がどういう過程で日本に興味を持つように至ったのか、興味があったので。なかなか正直に語られていて面白かった。
-
-400
-
日本に帰化された日本文学者、ドナルドキーンさんの自伝。かなり読み応えありありで、ずしんときた。特に第二次大戦中の描写が圧巻。淡々とした文体なので読みやすい。しかし9ヶ国語分かるって天才すぎます。三島とそんなに仲が良かったとは。プライベートなことは一切語っていないので若干歯痒さは残るが、深く日本を愛してらっしゃるキーン先生を尊敬する。源氏物語や井原西鶴を原文で読まれたなんてすごすぎます。コロンビア大学時代の日本人の恩師とのエピソードが心に残った。ノーベル賞を巡る三島と川端のエピソードが生々しい。
-
教科書で学んだ歴史の様子が肌で感じられるような、文豪、有名人の方々の人となりが感じられるような、その時代を感じられる不思議な感覚の残る自伝でした。
-
すごくおもしろかったです。
夢中で読みました。
日本で生まれ育ったわけではないのに、こんなに日本という国を愛してくれる人がいるなんて、と、心打たれます。その愛情と信頼を裏切っちゃいけないよなぁ、日本の良いところをもっと大切にしなくちゃ、って読みながら思いました。
いつも思うことですが、こと教育に関しては、アメリカという国が本当にうらやましくなります。キーンさんが受けてきた日本文学教育がところどころで出てきますが、素晴らしすぎて、信じられない思いで読みました。 -
2015.4.25 pm14:36 読了。夢中で読んだ。わたしにとっては歴史上の人物が著者にとっては友人だった。彼らは生きていた。三島由紀夫や川端康成などは、わたしにとっては歴史上の人物で、時間的な隔たりを感じていたが、本書を読んでそれが薄れた。少し身近に感じられるようになった。著者の人柄が感じられる。もっと色々なことを学びたいという意欲がわく。他著書も読みたい。
こんにちは、お久しぶりです。私も、ドナルド・キーンさんからどれほど日本文学について、そして日本の心について教わった...
こんにちは、お久しぶりです。私も、ドナルド・キーンさんからどれほど日本文学について、そして日本の心について教わったかわかりません。とても偉大な方でしたね。
日本に帰化し日本人となられたこと、本当にありがたく思います。それだけに、晩年は変わりゆく日本に警鐘を鳴らしつつ、日本に対してのいい意見しか取り上げてもらえないとおっしゃっていた氏に対して、申し訳なく思います……。