- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122055414
感想・レビュー・書評
-
大変僭越ながら、我が家の食卓にそっくりで
驚きました。展覧会の差入としていただいた一冊。
下さったのは秘かに、憧れている方でしたから
喜びと感激はひとしお、でした。
幾たびも手にして、読み返す一冊となりそうです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歌人でもあり小説家でもある著者が、日常の食事に思いを馳せて詠んだ歌とエッセイ。
干し物文化について書かれたエッセイの、
「戻していく時間と、新しく加えられていく時間。生きていくということもこれに似ているのでは、と唐突に思う。長い間会わなかった人と、ふいに再会する。干物がやわらかくふやけていくように、その人に対して持っていた感情もゆっくりとやわらかく取り戻してゆけるのだから」
というくだりが心に残りました。
対になる歌も深いなぁ。
取り戻せることもあるのよ とにかくね今の今なら今が今なの -
+++
山手線の中で出会ったおじさんのクリームパンに思いを馳せ、徳島ではすだちを大人買い。これまでも、これからも、連綿と続く日常のひと皿に短歌を添えて。日々のおだやかな風景を歌人が鋭い感性で切り取る食物エッセイ。
+++
その家庭、その人のそのときどきのひと皿というものは、なんと魅力的でときめかされるものなのだろう。その人にとっては日常的、あるいは母から受け継いだ特別の日の食卓の料理の一部なのだが、読者は人さまのプライベートな部分をそっと覗き見するような心地になりもする。どのひと皿にも著者やご家族のそのときにしかない気持ちが宿っていて、料理がどれもおいしそうなのはもちろんなのだが、その周りにいる人のことを思い浮かべてあれこれ想像をめぐらしたりもしてしまう。食べるということの本能的な貪欲さをも感じられるのである。一首が添えてあることで艶かしさ――あくまでも健全な――が更に増す一冊である。 -
(往来堂書店でゲット。
表紙絵にひかれ……東直子さんの本♪だったから。)