- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122062276
感想・レビュー・書評
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"暮らしの手帖"初代編集長による1954年刊行のエッセイ集。日々の暮らしの中の様々を反骨とユーモアで綴っている。政治や人間関係に対する考え方が現在の日本社会に照らし合わせてみてもズレていないのが先見的である。
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前回、花森氏のエッセイを初めて読んだのが「暮しの眼鏡」
それよりも格段に読みやすかった。
初出版は、戦争の痛手から日本もずいぶん立ち直って…しかし、焼け野原となったのは土地だけではなく、どこが境界線やらガイドやら分からなくなったのは、文化やモラルや政治も同じだったらしい。
やたらと元気で押し出しの強いものばかりが大きな顔をし始め、そうかと思えばお役所始めとする人間の頭の中は今だもって旧態依然…という混沌の時代だったらしい。
どうして「逆立ちの世の中」というタイトルになったのかは不明だが、花森氏の書き様は、どうも逆立ちして世の中を見ているような気がしてならない。
疑ってかかることを「眉つば」と言うが、同じような感覚で…
どうもこの世の中、逆立ちして眺めた方が真実に行きあえるのではないかと。
ストレートな風刺も多いが、逆説的な書き方も多い。
ただ、読者が読み違えてしまうような表現が多かった「暮しの眼鏡」に比べると、ああ、皮肉なんですねというのが分かる。
しかしその中で、氏がかなり気を使っているなあ~というか、オブラートを一枚余計に包んでいるな、と思えるのが、女性に対する意見。
基本的には女性を応援しているのだが、もちろん、女だってこういう所は良くないよ、こういう女は馬鹿だよ、と言いたいことがある。
しかし、はっきり書いては、暮しの手帖の読者からも反感を買いかねないから、ずいぶん気を使った表現になっているのではないかというのは勘ぐりすぎ?
商品テストに代表される雑誌作りの姿勢と同じ精神で、お仕着せの観念や、古くからの因習に従うのではなく、自分の目で物を見て、自分の頭で考え、自分の感性で物の価値を判断しなさいという姿勢が貫かれている。
分かりやすく繰り返し出てくるのが、「その商品にいくら払うか」という、まことに主婦向けの問題。
その商品に値段をつけるのは、値札ではなくあなたである、という考え方だ。
今でも通じる、むしろ、バブルのバカ騒ぎを通り越して、そういう価値観を大切にしようと考える人も多くなった。
人の価値、物の価値を考える時、思い出したいことがたくさん書かれている本だ。 -
国会に行こう。がおもしろい。
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世間に異議申し立てをし続けた日々をユーモラスに描く。また家族や悪戯三昧の学生時代を回顧。伝説の反骨編集者の原点となるエッセイを初文庫化