死香探偵 - 尊き死たちは気高く香る (中公文庫 き 40-8)
- 中央公論新社 (2018年1月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122065086
感想・レビュー・書評
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化学に強い喜多喜久さんらしい新しいタイプの探偵を考えたものだ。桜庭潤平は死臭に敏感に反応し、死人によって違う食べ物の香りに感じる。その代わりにその香りの食べ物が悪臭漂うようになり食べられなくなってしまう難儀な能力なのである。風間由人という化学の准教授とともに警察の殺人事件の捜査に協力している。この風間が大企業の御曹司でイケメンで、自分の研究第一で、殺人現場に行くと生き生きとするというなんともナイスな人物造形なのだ。勿論、潤平は風間にとってまたとない研究対象だ。この二人や警察の人間、潤平の仕事仲間の樹(死人の出た家や部屋を清掃するという仕事!)たちとの掛け合いが面白い。推理の方は潤平の能力ありきで、まあまあかな。
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「死香」を嗅ぎ分け事件を解決?していく化学ミステリー。「死香」が食べ物の匂いになるんだから食べ物も食べられなくなるよね。教授がいいキャラです。
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死者の放つ香り...『死香』。
その死香を嗅ぎ分ける特異体質を持つ青年・桜庭 潤平。
そして、香りの分析を犯罪捜査に応用し、分析研究を行うイケメン准教授・風間 由人。
おかしなやり取りの2人が活躍する、少しBLっぽい化学ミステリーです。
短編4編が収録されていますが、最初に犯人が出てくる構成から、倒叙ミステリーの一つとも言えます。
果たして、2人の前に出て来る謎は、どんな香りか?
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特殊清掃のバイトにより現場の死臭が食べ物の香りに感じられるようになった特殊能力が面白い。清掃の仕事をするには楽でも、副作用としてその食べ物から悪臭を感じてしまい、食べられるものが減っていくのは気の毒。科学者とともに警察の協力もするが、やっていることは警察犬と同じなので、捜査協力の部分よりは科学的な見解の部分が面白い。他人には悪臭に思えても彼にとってはいい匂いとなる成分の研究とか。
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死の香りから犯行を紐解いていくお話ですが、主人公が感じている香りを化学的に分析しようとしているところが作者らしい。これもしもシリーズ化したら、主人公は何も食べられないどころか、おちおち外も歩けなくなりますよね。
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死者の放つ香り(死香)を食べ物の匂いで感じてしまう特殊体質な可愛い系男子と分析フェチのイケメン准教授とのバディもの。
連作短編で読みやすく、キャラが魅力的な作品です。
死香で事件を解決していくことも准教授のキャラも面白かったです。
主人公はこれからどうなっていくのかな…
気になるので少しずつ読んでいこうと思います -
死香を食べ物の匂いとして感じる美少女のような主人公桜庭、いつも冷静で事態を見透すことの出来る大学准教授の科学者かつ警察の事件に協力する風間、二人が殺人事件の匂いの解明に挑む。
誰でも死臭、特に腐敗が進んだものは遺体が片付けられた後でも匂いが残り近づきたくない。でも桜庭は食べ物の匂いがして苦痛じゃない。でも、それって普通じゃない。警察犬はいらないなんて。そんな話についつられて読んでしまった。 -
基本的にあっさりしている作風は他シリーズと変わらないけれど、オカルト的な要素が混じったことで物足りなさが補われ、読みやすい話になったなという印象。
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死者の放つ香りが食べ物の匂いに感じられる特異体質の主人公。嗅ぎ過ぎると逆にその食べ物の匂いが腐敗した臭いに感じるのはキツイなぁ。