高座のホームズ - 昭和稲荷町らくご探偵 (中公文庫 あ 79-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122065581

作品紹介・あらすじ

昭和五〇年代、上野稲荷町の「落語長屋」。噺家連中が持ち込む謎の数々を解き明かすのは、あの八代目林家正蔵!? 名人の推理が光る洒脱な落語ミステリ登場!〈解説〉林家正雀

【目次】プロローグ1話 「天災」から「初天神」幕間2話 「写真の仇討ち」から「浮世床」エピローグ解説 林家正雀

感想・レビュー・書評

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  • 「本の雑誌」2020年8月号の特集「落語本で笑おう!」をきっかけで求める。
    創元社文庫の「神田紅梅亭寄席物帳」既読は既読。

    八代目林家正蔵を探偵にした作品があるのは知っていたけど、「神田紅梅亭…」の出版が中途半端だったし、大学の頃に海老名家に正蔵の名跡を返し、数年後亡くなられた彦六さんは僕の記憶は老名人の印象が強く、探偵というイメージと合わないんじゃないかと思っていた。

    本作について云えば、主人公の行動は犯罪だと思うし、何の同情も感じない。結果、ハッピーエンドというのも納得しがたい。有り得ないと思う。断罪されるべきだと思う。この作家に女性を軽んずる意識がありとは思わないが。

    落語に関する様々なエピソードや謎解きは楽しんだが、読中読後、無茶苦茶気分が悪い。

  • 高座の噺と楽屋の話が同時進行で描かれています。まぁまぁお酒の入った状態で読み始めたので、噺が「『』」で括られている、しかしマクラは「」で括られていることになかなか気づけず。しかも師匠だらけで、符丁もいっぱい。ややこしいのなんのって。第1話を読みきったつもりだった翌日、話がまったく頭に入っていなかったことに気づき、しらふで最初から読み直し。

    高校時代、私は落研に所属していましたが、その前から落語が好きだったわけではなく、いちばん暇そうなクラブだったから入部したにすぎず。ところがそれなりに落語にハマり、普通の人よりは詳しいと思っていたけれど、本作を読んだら知らないことだらけ。

    そういう意味では興味を惹かれ、第1話に関してはとても面白く読みました。日常の謎というには少しヘヴィーな事件が起き、ある噺家の師匠と兄さんがそれを解いてみせます。しかし第2話は、うーん、女としてはかなり不愉快。30を過ぎた噺家が未亡人に言い寄られるのはいいとして、女子高生に欲情する段は正直言ってキモい。それだけで終わらないからさらにキモい。その相手と……なのだから、余計なお世話でしょうけれど。

    生まれも育ちも上方ゆえ、落研だったといっても江戸の落語にはあまり馴染みがありません。稲荷町の名探偵のモデルとなっているのは実在の噺家、八代目林家正蔵師匠。師匠のお人柄がわかる巻末の特別寄稿は非常によかったです。あ、キモいのは師匠ではないのでご安心ください。

  • 落語鑑賞した後、落語に興味が湧いて読んでみたが、とても読みづらかったのは、私の知識不足だったのか?

  • 馬八探偵を越える稲荷町の正蔵師匠です。てっ橋の話がこういう事につながるとは・・・相変わらず、はなしの構成が上手な愛川先生(11月に死んだは辛かったケド)

  • 初天神の解釈が新鮮で面白かった!昭和の香り漂う世界観も良かったです

  • 落語ミステリのシリーズ物を2パターン書いている愛川さんだが、それらには著者の創造の噺家や席亭を出していた。今作は(シリーズになるかは未知だけど)実在した噺家・八代目林家正蔵師匠が主人公。しかも探偵役という大胆な設定だった。
    形としては安楽椅子探偵で、話を聞いただけで謎を解いてしまう。師匠の落語の場面も出てくるが細切れで、人物像が殆ど表されていないのが物足りなかった。落語の符丁の説明が巧くて軽快に読めたが、落語とミステリの融合という点では他のシリーズの方に軍配が上がるかな?

  • これまでのシリーズよりも、読後の爽やかさが少ないかなあ。展開も聊かもっさりした感じがしました。
    爽やかさが少なく感じたのは、謎のせいかな。それから人間関係?稲荷町は鮮やかなお手並み、という感じで、そして奥様も大層良い感じなのですけど、そこに行くまでがどうももっさりしているように感じました。
    もちろん、続編が出たら読みます。

  • 昭和五〇年代、稲荷町の落語長屋。噺家連中が持ち込む謎の数々を解き明かすのは、八代目林家正蔵(のちの彦六)!? 名人の推理が光る洒脱な落語ミステリー

  • +++
    テレビやラジオで落語が親しまれ、大看板と呼ばれた一流の噺家たちが芸を競った昭和五十年代。その一人、八代目林家正蔵(のちの彦六)の住む稲荷町の長屋には、傷害事件から恋愛沙汰まで、さまざまな謎が持ち込まれ―。なつかしいあの頃の落語界を舞台に、探偵・正蔵が快刀乱麻を断つ!洒脱な落語ミステリー。
    +++

    これまでのシリーズのひと時代前の物語である。本作の高座のホームズは、八代目林家正蔵師匠で、安楽椅子探偵よろしく、持ち込まれる厄介話を聞いただけで、たちどころに絡み合った糸をほぐしてしまう。そんな名探偵が、次の時代にもちゃんと受け継がれているのが、これまでのシリーズなのだから、妙に納得してしまう。しかも今作では名探偵は実在の噺家なので、興味はさらに募るというものである。ただ、現代なら顰蹙を買うこと間違いないエピソードが盛り込まれており、しかも話の核心的な部分でもあるので、時代が違うとはいえ、いささか気になったことも確かではある。時代を語るには仕方ないと言え、拒否反応をする読者もいるかもしれないという気はする。そこを乗り越えれば、至極面白い一冊だった。

  • 落語ねたの新シリーズなので、楽しみに酔い始めた。
    しかーし、実在の人物をそんなに登場させても大丈夫?
    謎も、落語とは関りがあまりなかったしなー。
    寿司屋の話は、そうだろうなーと思ったとおりでちょっとうれしい。
    次は、既存のシリーズの新作をよろしくなのです

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著者プロフィール

愛川晶
一九五七年福島市生まれ。九四年『化身』で第五回鮎川哲也賞を受賞。トリッキーな本格ミステリーを基調としながら、サイコサスペンス、ユーモアミステリー、人情ミステリーと幅広く活躍。主な作品に『六月六日生まれの天使』『ヘルたん』『再雇用されたら一カ月で地獄に堕とされました』。落語ミステリーでは、『道具屋殺人事件』『芝浜謎噺』など「神田紅梅亭寄席物帳」シリーズ、『神楽坂謎ばなし』など「神楽坂倶楽部」シリーズ、『高座のホームズ』など「昭和稲荷町らくご探偵」シリーズがある。『太神楽 寄席とともに歩む日本の芸能の原点』(鏡味仙三郎著)では編者を務めた。

「2023年 『落語刑事サダキチ 泥棒と所帯をもった女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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