- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122066014
作品紹介・あらすじ
ここは女たちの地上の楽園?! シングルだけど、〝一人〟じゃない。女たちの本音と夢があふれ出す、阿佐ヶ谷の古びた洋館・牧田家。家の平和を守る老人、「開かずの間」の秘密、ストーカー男の闖入など、今日も牧田家の暮らしは豊かでかしましい。
感想・レビュー・書評
-
女4人の日常がほんわかと描かれていくだけかと思いきや、意外な展開に驚いたけど、最初から語りに違和感を感じてたので納得。
テレビドラマ化はすでにしているようなのでそちらも見てみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
途中ファンタジー要素もありコミカル。
三浦しをんさんの作品にしては好みではなかったけど
私もこんな暮らししたいなぁ -
不思議な関係性の女性達四人の同居物語。
性格も関係性もバラバラな四人の、生々しい生活に垣間見える思いやりがとてもあったかくて優しい。そして、舞台となる洋館のような家、皆で囲むごはん、季節の変化とともに花見や花火を楽しむ生活、たまに起きるハプニングがとても羨ましく、自分も一員として加わりたくなる。(あの事件には遭遇したくないが)
思わぬ登場人物、展開が楽しくて、続きが気になる!続編が出ないかなと期待するけれど、とりあえず今は、私の想像の中で四人"たち"に幸せに暮らしてもらう。
-
三浦さんの描く人間関係は、寄り添い過ぎない距離感で、ほんのりと温もりを感じる事ができて大好きです。どんな境遇の登場人物に対しても、平等な描き方…とでも表現したらいいのか。淡々としているようで、終盤は物語の展開も大きいので、読み応えがありました。
-
1つの家で暮らす4人の女たち(母娘と、娘の生徒2人)の半年間の日常。だらだらと読めるドラマで、ぜひドラマ化してほしいと思える、そんなほっこりする瞬間、ドキドキする瞬間が散りばめられている。ただ、女が4人集まったからといって常に恋愛トークに花を咲かせているわけではない。むしろ恋は多くないほとんどが中年・更年期の女たちである。ただ、少ないながらも出会う人のありがたさ、一期一会を滲ませている。
一番大きなテーマは、家族の形と父親であろう。のほほんとした物語の中で、その主題がどんよりと光っている。
ただ、読んでいて驚いたのは、突然予期していない登場人物が話し出すシーンがあること。(ネタバレを避けるために、細かい言及は避ける)あまりに突然で、読者はちょっと置いていかれる。心しておいた方がいいかもしれない。
それがあったとしても、息抜きにクスと笑えて楽しいドラマだ。 -
途中で語り手がカラスになる場面がある。なるほどだから表紙がカラス。気高きカラスの王風味なのに、建て替え反対運動に協力してくれる実は世話焼きカラス。
DVストーカー男を美化する描写がでてきたら読むのをやめようと決意していたけど、雪乃のおかげで最後まで読めた。
雪乃みたいな友達いいな。憧れる。
老後の理想形のひとつだと思う。
気の置けない同性の友人とルームシェア。一人の時間も必要だけど、くだらない話を聞いてくれる相手もほしい。
お互いの距離感が同じというか。お互いを縛り付けるものは何もないというか。理解不能な領域があっても流せてしまう自由な関係。まずね、そういう関係の相手が存在するかどうかなんだけど。ヤマアラシのジレンマ状態続くよね。
鶴代と佐知の関係。親からみたら子どもはいつまでたっても子どものままなんだなあ。なんだか危なっかしくて、そこがまだまだ可愛くて。そして子どもからみたら親はうっとうしくて、でも邪険にできない。
鶴代の年の取り方も羨ましい。鶴代のように心身共に元気な老人になりたい。
山田さんはなんなんだろうね。
それから佐知のお父さんね。なんなんだろ。
昭和時代の「男は外で稼いで、女は家庭を守る」という考え方は、女性だけでなく男性も苦しめる。本当にそう思う。こうあるべきに捕らわれると、誰も幸せにならないな。失ってから気づいても遅いよ、神田くん。 -
たとえ家族であってもわからない部分はあっていい。
ならば、家族じゃない人と同居していても問題ないし、今、一緒にいたい人と一緒にいればいいんだと思った。
お母さんのキャラが好き。 -
なんとなーく目について借りた本。
読み始め、洋館に住む女性4人たちの悲喜交々な日常を描いた作品なのかな?と思いつつ、私にはまどろっこしく感じる書き方に、「これは、読み切れるのか?」と、思ったが、途中から、「え?何、これ?」と違和感ありありの展開が始まり、その後にも、「え?何、これ?」という展開がまた始まり、最後はコミカルに終わる。というか、「おまえだったんかーーーい!」と、ツッコミをしたくなる終わりだった(笑)←(ネタバレしたくないから読んだ人にしかわからんな。。)
最初の展開からしたら、予想を遥か斜めに裏切られた感じ(笑)
まあ、それもアリか。と思える終わりだから良しとするが。←(上から目線だな。。。わたし)
佐知の心の声がとことん面白くて、「あー、それわかるわー」と思うほぼ同世代(笑)
これから先も仲良く楽しく暮らして欲しいものだが、この続きを考えると。。そうはならない予感もするなー。
まあ、それも、良いこと良いこと。
(若干羨ましい展開) -
めっちゃ面白かったってことしか覚えてない。もう一回読むか。
-
面白かった!三浦しをんさんは「風が強く吹いている」、「舟を編む」や「神去シリーズ」が好きで、お気に入りの作家さんのひとりなはずなんですが、なぜか私の長い長い読みたい本リストの中には三浦しをんさんの新たな作品が入っておらず、久しぶりにお目にかかった気がします。知人が貸してくれたのですが、人から借りるとこうやってノーマークの知らない作品を読む良い機会となるので、ありがたいかぎりです。
さて、本書は、タイトルの通り、古い洋館に住む4人の女性について描かれたもの。
鶴代、その娘の佐知、佐知の友人の雪乃、その後輩の多恵美の4人。この4人の名前を見て、「お?」と思われた方はさすがです。どうやら谷崎潤一郎の「細雪」へのオマージュのようです。と、言ったものの、私、文学作品や名作、古典といったものを全然読み込んできていないので、全くわからないのですが、オマージュというのは確かなようです。
鶴代と佐知の母娘のところに、雪乃と多恵美が転がり込んでいる設定も普通ではないですが、なんとこのおうち、かつてはりっぱな洋館だったようで、離れというか守衛小屋のようなものもあり、いまだにガードマン気取りの山田というおじいさんも住んでいるという変わった人間関係なのです。
この4人が住まうところは東京杉並。阿佐ヶ谷駅から徒歩20分ほど、善福寺川がうんむんかんぬんとあるので、かなり具体的です。グーグルマップを見て楽しみましたが、都内に住んでいたら散歩がてら行ってみたい気がします。
で、この4人の風変りな同居生活、珍騒動のあれやこれやもおかしいのですが、なんといっても余計な文章がおもしろい。いや、「余計」な文章のはずないのですが(笑)たとえば、ガードマン山田を、高倉健に憧れているらしいという憶測から、出来損ないの高倉健と(心の中で)呼んだり。いや、「文章がおもしろい」ということを説明するための好例は他にもいっぱいあったはずなんですが、なぜかこの山田さんを高倉健にもっていこうとする文章が記憶に残っていて、これを紹介してしまいました。なんというか、ちょっと毒舌だったり、物事を斜に構えて上から目線で見ているような表現をしたり、かと思えば、くだらないこと言うので「なんでやねん」とつっこんでしまいたくなるような一文があったり。真面目なのかふざけているのか。つまり、話のあらすじとかなんとかの前に、好きなタイプの文章でした。これを貸してくれた知人は、「なかなか進まなかった」と言っていたので、本当にこれは好みの問題なんだと思いますが、この真面目なのかふざけているのかみたいな文章がダラダラ続きながら、ゆるりと進んでいく感じ、良かったです。ダラダラと感じるのは、「真面目なのかふざけているのかみたいな文章」がだいたい心情描写のところでたくさん顔を見せ、物語の進展を止めているかのように感じるからだと思います。谷崎潤一郎の「細雪」もこんな感じなんでしょうか?(←完全に無知)
佐知が母の鶴代を、雪乃が佐知や鶴代、その二人の関係を、という具合にそれぞれがそれぞれをマンウォッチし、思ったこと感じたことをつらつら書いているところなんかは、作者の力を感じます。人間の本質や人間関係の描写って作家としての力量が分かる気がするのです、私は。ちょこちょこ視点が変わるところがなんとなく引っかかっていたのですが(良い悪いではなく「ほぅ、こういう書き方ね」的な意味で)、そこについて後々わかることが出てくるので、「ほほぅ」となりました。(←何の説明にもなってない。何も言葉が浮かばず悔しい。)
女4人のゆるりとした穏やかな生活が読者に「こんな生活もいいかもね~」「都内に土地があってしかも庭付けでいいじゃない。年寄りだけど守衛さんもいるし~」なんて思わせながらもきちんと驚きの事件が起きるのです。今回のレビューはなぜかあまりネタバレを含みたくない気がするので、書きたいけれどこれ以上書きません。(←何その宣言)。
カラスの善福丸が語り始めたり、いきなり出てきた「私」が語り始めたり、「えぇ?!」「おぉ!!」と思わされること度々。苦手な方もいるかもしれませんが、急なファンタジーも、私は楽しめましたし、さすが三浦しをんさんだと思わされた小説でした。私はとても楽しく読み終えました! -
杉並にある古い洋館に暮らす4人の女と、庭の離れに住む老人。
牧田家の暮らしを描く。
第32回織田作之助賞受賞作。
母と娘、娘の友人と、その後輩。
離れの山田老人を含め、不思議な関係性の共同生活。
我が道を行く母の鶴代を筆頭に、それぞれが自分のありたいようにあり、それでいて不和にならずに共に暮らしていく。
不思議な距離感が心地よかった。
心の声の、ちょっとした言い回しやツッコミに、エッセイに通じるセンスというか、おかしみがあって、ふと笑ってしまうことも。
途中からファンタジー要素が絡んできて戸惑うが、最後にはコミカルに収まる。 -
語り口は好き、楽しかった。
またなんとか荘的な共同生活物を選んでしまった。気が合う同居人が見つかるのは幸せだ。
子供の時の方が死ぬことを考えて眠れなかったことない?と言うセリフがある。あります、わかる! -
う〜ん、あまり印象に残らなかったなあ。女4人の姦し娘的な感じはするものの、男の自分にはいまいち面白さがわからなかった。この前に『風が強く吹いている』を読んでしまって、よかっただけに残念。
-
2回目の読了。好みの作品の趣向が変わってない事と幅が広がってない事を思い知らされる。。
作品としてはキャラクターが立っていて全体的に面白いので原作にも興味が出た。あとは語り部が通常は主人公であるのに対し、意外な人物が担当していた事に驚いた。鴉や河童、山田(この並びは不適切ですね。)の絡みが良いスパイス。 -
妙齢な4人の女性によるシェアハウスもの。それぞれのキャラが特徴的で物語に入りやすい。牧田家の娘と母の関係は好ましい母子を感じさせ、娘の佐知と雪乃が羨ましいほどの素敵な同居生活を見せてくれる。シェアハウスものはやはり楽しいです。
同じ敷地内に住む山田老人もいい距離感と一途さに好感を持ちました。
カラスと佐知の父親の件は逆に興味をそそられず、省いてもらってもいいかな、と。表紙絵のカラスはこの本のイメージじゃない気がする。
登場人物が少なく、気軽に読める1冊。 -
刺繍風景と洋館が素敵。カッパとカラスは余分では?
-
ゆったりと時が流れててよかった。カラスとかカッパはいらないかも笑
-
区切りがなくて日常過ぎるから止まんなかった「あの家」に自分も入っちゃったかと思った