自殺論 (中公文庫 テ 4-2)

  • 中央公論新社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (707ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122066427

作品紹介・あらすじ

自殺の諸相を考察し、アノミー、生の意味喪失、疎外など、現代社会における個人の存在の危機をいち早く指摘した、社会学の古典的名著の完訳。

感想・レビュー・書評

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  • 何をもって自殺の原因を定義するのか難しいと思った。
    遺書に何の意味があるんだろうと思う。

  • 社会科学の原点のような本で、自殺率の高い国と低い国の違いは一体何なのかを解明していく本。

    結論から言ってしまうと「宗教の違い」で同じキリスト教でも自己責任論の強いプロテスタントのほうがカトリックよりも自殺率が高い傾向があるとのこと。

    自殺率と宗教には強い相関性があって自殺を明確に禁じるイスラム教は低く、無宗教が最も高いというデータもあるそう…

    日本は閉鎖的な社会だから自殺率が高いんだ!と言われますが原因はそこだけじゃなくて日本人の宗教観の薄さにもあるのもしれませんね…

    とても面白かったです! 

  • 自殺って何なんだろうと、この度、読むことにした。


    19世紀末のヨーロッパに増加した自殺について、社会現象として各国各都市のデータをもとに、考察している。
    なんで昼間に自殺が多い?なんで都市に多い?なんでプロテスタント教徒に多い?なんで離婚した男性に多い?殺人との関係から言えることは?

    120年以上前のヨーロッパなんて、全然違う社会だと思っていたけれど、今の状況についての説明ともなる部分が多く、興味深かった。自殺、という行為が、人間の生と死という時代や文化を超えた普遍的なものであるからでもあると思った。これまでの人間社会の中で「自殺」の持つ社会における意味や価値がどのように変化してきたか、という点にも触れられている。つまり、社会が近代化するにつれて、個人主義が広まり、一人ひとりの人格の尊重という観点から人の命は終わらせられるべきでない、という議論になる。

    一方、(私の理解では)より多くの人びとは、社会とのつながりが薄れ、生きる意味を見出しにくくなる、あるいは、縛りの無い自由を前に逆に現実と理想のギャップや周りとの相対的剥奪感や恨みを募らせることから自殺が起こりやすくなっているという。これは今にもつながるところがあると思った。

    そして、デュルケームさんが自殺の研究をしている当時、日本は近代化が始まったところ。日本は19世紀末の時代から、「自殺」が大きく変化を遂げ、また今の状況にいたっている、そんな国であると知り、私たちが考えるべき重要なテーマだと改めて感じた。

    また今、産業革命後の社会が世界的な危機に直面している。今、人が自分の生を断つという行為は何を意味するのか、それは今私たちはどのような社会に生きているのか、ということ。他人事ではなく考えるきっかけにしたい。

  • 自殺の諸相を考察し、アノミー、生の意味喪失、疎外など、現代社会における個人の存在の危機をいち早く指摘した、社会学の古典的名著。内田樹氏推薦。

  • 新版。
    性別、年代、国籍、宗教、地域、気候……兎に角、ありとあらゆる統計情報が溢れている。社会学の古典ではあるが、寧ろ、ここまで執拗に集められた統計情報の方に圧倒される。生半可な覚悟じゃあ、これ調べてるうちに、首でも括りたくなるんじゃないのか……?

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著者プロフィール

一八五八年、フランス生まれ。社会学者。マックス・ヴェーバーと並ぶ社会学の創始者であり、ヴェーバーの歴史主義的方向性に対して、自然主義的アプローチをとった。ボルドー大学で教鞭をとり、『社会分業論』や『社会学的方法の規準』、『自殺論』を執筆。のちにソルボンヌ大学に転じ、『宗教生活の基本形態』や『道徳教育論』などを著す。一九一七年、没。

「2018年 『自殺論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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