三の隣は五号室 (中公文庫 (な74-1))

著者 :
  • 中央公論新社
3.56
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本棚登録 : 254
感想 : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122068131

作品紹介・あらすじ

傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。

病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。

――そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。



驚きの手法で描かれる、小さな空間に流れた半世紀。

今はもういない者たちの一日一日が、こんなにもいとしい。

優しく心を揺さぶる著者最高作。



谷崎潤一郎賞を受賞した、アパート小説の金字塔。



〈解説〉村田沙耶香

感想・レビュー・書評

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  • 今まで読んだ長嶋さんの中で一番好き。第一藤岡荘五号室を舞台に、歴代住人達の群像劇のような不思議な構成の物語。それぞれの時代の日常を描く。村田沙耶香さんの解説もよい。〈生きていて「なにも起こらない」なんてことは、本当はない。〉

    • ☆ベルガモット☆さん
      111108さん こちらからもこんにちは

      谷崎潤一郎賞を探してみたらこちらも2016年受賞作品ですね!
      色っぽい話なんでしょーか?!...
      111108さん こちらからもこんにちは

      谷崎潤一郎賞を探してみたらこちらも2016年受賞作品ですね!
      色っぽい話なんでしょーか?!
      次に読みたい本にしようと思います
      2022/09/23
    • 111108さん
      ベルガモットさん、おはようございます♪

      うーん‥色っぽい話もあり、しょうもない話もありという感じでしょうか。群像劇というか短編集というか、...
      ベルガモットさん、おはようございます♪

      うーん‥色っぽい話もあり、しょうもない話もありという感じでしょうか。群像劇というか短編集というか、5号室を舞台にしてるだけのいろんな話集ですよ。
      ベルガモットさんのお好みに合うといいですね♪
      2022/09/24
  • 定点観測な連作集。
    こういうのって「ひとり1話」みたいな
    構成になっているものが多いと思うのですが
    これは少し変わっている。
    第一藤岡荘というアパートの一室に住んだ
    歴代の住人たちの人生を書き留めるのに
    「場所」や「もの」で章わけされているのです。

    たとえば『雨と風邪』の章なら
    部屋に響く雨音を風邪ひきの布団で聴く十畑保
    乗り物の中にいるようだと感じる二瓶環太
    天ぷらを揚げる音のように思う七瀬奈々。

    『ザ・テレビジョン!』の章なら
    白黒テレビだった藤岡一平から
    父・野球、母・ワイドショー、子はアニメと
    昭和そのものな視聴風景の二瓶一家。

    1966年から2016年までの物語。
    その時代、時代の暮らしぶりが
    郷愁を誘う一冊でした。

  • 珍しい小説、おもしろかった。
    みんながこういうささいなことを思ったり考えたり、工夫をしてみたり、していると思うと、かわいらしく思える。
    難しいだろうけど、映画とかでも観てみたい。

  • NHKの72時間というドキュメンタリーを思い出した。ある場所を3日間定点観測する番組だが、この小説の場合はあるアパートの一室を数十年にわたって観察している。
    この部屋にやってきて、数年住み、去っていった、年齢も性別も経歴も異なる人たち。後から住む人たちは、前の住人たちとは全く関係はないのだけれど、なんとなくその痕跡を引き継いだり、同じようなことを思ったり、全然異なる生活を営んだりして暮らしていく。ある場所に積み重なる、様々な人生・時代の地層のような感じ。すごく面白い観点だなと思った。

  • 『三の隣は五号室』長嶋 有
    こういう小説もアリなのか。純文学って本当に面白い。
    ある人の何気ない暮らしが全く知らない別の人の暮らしに少しのドラマを与える。これを読んでいると、自分のマンションの『前の人』はここでどんなことを考えたんだろうとか、どこにベットを置いてどんなテレビを見てたんだろうとか分かるはずもないことを色々と想像してしまった。
    解説で村田さやかさんが書いてたけど、自分もいつかはこの部屋において誰かの『前の人』になるだろうし、自分はその誰かのことなんてどうでもいいんだろうな。

     何にもしていない時間でも人は思った以上に「生きて」いて、自分とは別の誰かに何かしらの影響を与えている。すごくドラマチックだなぁと思いました。

  • とある古アパートの一室の、歴代住人たちの日常を切り取った短編集。

    って書くとめちゃくちゃありきたりなんだけど、同じ章の中でも時代が目まぐるしく前後して、歴代住人たちのエピソードが入り組みながら、パズルのピースのように少しずつ展開されていく。
    読み味は軽いのに、全体像は緻密に組み立てられているというアンバランスさ。
    実はめちゃくちゃテクニカルなことをしてるんじゃないだろうか。長嶋有恐るべし。

    大きな謎や事件が起こるわけではないので、そのあたりに話の推進力を求める人には退屈に感じるのも分かる。

    ふと他人の家の中が見えてしまった瞬間に、「こんな生活してんのかな〜」なんて、つい考えてしまう自分にはめちゃくちゃ面白く読めた。

    たぶん今後も読み返すお気に入りの一冊になりました。

  • p81で断念

  • ある部屋の歴代の居住者たちのお話。それぞれが無関係なのに、同じことを思ったり、違うことを感じたり、知らぬ間に何かを引き継がされていたり、そんなことが時代背景の細かな描写とともに語られている。

  • 蛇口を替えたことで、そのよさをちゃんと感じ続けながら自分は生きてきたのだろうか。(47)

  • ★星4.4
    初めての作家さん。
    第一藤岡荘五号室に、1966年~2016年の間に入居した13人(世帯)の住人の、それぞれの物語。
    物語は、時系列ではなくランダムにそれぞれの住人にスポットが当たるってのがテンポ良くて好き。
    最終章は、何かあるんじゃないか!って思わせるようなフラグがありちょっとハラハラ…でも結局、日常に戻るのが、この物語の良さなのかなって思いました。
    何気ない日常を描く、とっても好きなタイプのお話でした。

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著者プロフィール

1972年生まれ。2001年「サイドカーに犬」で文學界新人賞を受賞しデビュー。02年「猛スピードで母は」で芥川賞、07年『夕子ちゃんの近道』で第一回大江健三郎賞、16年『三の隣は五号室』で谷崎潤一郎賞を受賞。他の著書に『佐渡の三人』『もう生まれたくない』『私に付け足されるもの』『今も未来も変わらない』など多数。

「2022年 『夜の夢こそまこと 人間椅子小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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