三の隣は五号室 (中公文庫 (な74-1))

著者 :
  • 中央公論新社
3.53
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本棚登録 : 184
感想 : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122068131

作品紹介・あらすじ

傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。

病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。

――そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。



驚きの手法で描かれる、小さな空間に流れた半世紀。

今はもういない者たちの一日一日が、こんなにもいとしい。

優しく心を揺さぶる著者最高作。



谷崎潤一郎賞を受賞した、アパート小説の金字塔。



〈解説〉村田沙耶香

感想・レビュー・書評

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  • 珍しい小説、おもしろかった。
    みんながこういうささいなことを思ったり考えたり、工夫をしてみたり、していると思うと、かわいらしく思える。
    難しいだろうけど、映画とかでも観てみたい。

  • NHKの72時間というドキュメンタリーを思い出した。ある場所を3日間定点観測する番組だが、この小説の場合はあるアパートの一室を数十年にわたって観察している。
    この部屋にやってきて、数年住み、去っていった、年齢も性別も経歴も異なる人たち。後から住む人たちは、前の住人たちとは全く関係はないのだけれど、なんとなくその痕跡を引き継いだり、同じようなことを思ったり、全然異なる生活を営んだりして暮らしていく。ある場所に積み重なる、様々な人生・時代の地層のような感じ。すごく面白い観点だなと思った。

  • ある部屋の歴代の居住者たちのお話。それぞれが無関係なのに、同じことを思ったり、違うことを感じたり、知らぬ間に何かを引き継がされていたり、そんなことが時代背景の細かな描写とともに語られている。

  • 『三の隣は五号室』長嶋 有
    こういう小説もアリなのか。純文学って本当に面白い。
    ある人の何気ない暮らしが全く知らない別の人の暮らしに少しのドラマを与える。これを読んでいると、自分のマンションの『前の人』はここでどんなことを考えたんだろうとか、どこにベットを置いてどんなテレビを見てたんだろうとか分かるはずもないことを色々と想像してしまった。
    解説で村田さやかさんが書いてたけど、自分もいつかはこの部屋において誰かの『前の人』になるだろうし、自分はその誰かのことなんてどうでもいいんだろうな。

     何にもしていない時間でも人は思った以上に「生きて」いて、自分とは別の誰かに何かしらの影響を与えている。すごくドラマチックだなぁと思いました。

  • 蛇口を替えたことで、そのよさをちゃんと感じ続けながら自分は生きてきたのだろうか。(47)

  • ★星4.4
    初めての作家さん。
    第一藤岡荘五号室に、1966年~2016年の間に入居した13人(世帯)の住人の、それぞれの物語。
    物語は、時系列ではなくランダムにそれぞれの住人にスポットが当たるってのがテンポ良くて好き。
    最終章は、何かあるんじゃないか!って思わせるようなフラグがありちょっとハラハラ…でも結局、日常に戻るのが、この物語の良さなのかなって思いました。
    何気ない日常を描く、とっても好きなタイプのお話でした。

  • 傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。そして全員が去った。それぞれの跡形を残して―。今はもういない者たちの一日一日が、こんなにもいとしい。驚きの手法で描かれる、小さな空間に流れた半世紀。優しく心を揺さぶる著者最高作。第五二回谷崎潤一郎賞受賞。

  • 第一藤岡荘の5号室を舞台に、同室に居住した合計13代の住人が織りなす物語。方法論としては「問いのない答え」と同様、多くの人々・出来事が連想ゲームのようにつながっていくというところなのだろうが、「問いのない答え」よりもさらに研ぎ澄まされているように感じる。何しろ、場所は同じ五号室でも、時間を前後していったり来たりしながらなんの違和感もなく、しかしなんでもないのにちょっとひっかかる言葉が、結構ページ数を離れてもしっかりと想起されるようにできている、というのは物凄いことではないだろうか。そこで描かれていることは他愛のないことかもしれないが、しかし時を超え人々が共有するものがある、ということが、何か意味があるような気がしてくる。それが大事なのではないか。なお本作は住人達の名前が第1代から13代までどこかにその代の数字を含んでいるということで、アパートものの傑作である「めぞん一刻」へのオマージュを捧げていると思われるが、アパートものの傑作としても数えられるであろう。
    「人生にはしばしば、そういう時間がある。誰も自ら語らないし誰から語られることもないが、あるはずだ。側溝や、自動販売機の下に転がっていった小銭に手を伸ばしたり、瓶になにげなく差し込んだ指が抜け亡くなったり、タイルとタイルの間のもう落ちない黒ずみをこすったり、洗面台の排水溝に落としてしまった母親の指輪を拾い上げようとしたり。そういうときのあらゆる苦闘を『人生の時間』と誰も思っていない。だけど、仕事や恋愛や、なにか大事な時間を経たのと『同じ』人生の時間上にそれらのこともあるはずだ。」

  • 「文化住宅」というような、昔よくあった建物の1つの部屋の様々な移り変わりを、その部屋の中にある物や雰囲気をテーマにして優しく語り続けられていく。よくあるような手法に思えて、そういえば真新しい表現方法で楽しく読むことができました。
    それにしても密人さんの部屋の中にあった箱の中身は何だったんだろうか…?

  • *傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。そして全員が去った。それぞれの跡形を残して―。今はもういない者たちの一日一日が、こんなにもいとしい。驚きの手法で描かれる、小さな空間に流れた半世紀。優しく心を揺さぶる著者最高作*

    うーむ。
    表現的なセンスは好みなのですが・・・この、凝った手法が全く合わず。
    時代や登場人物が入り乱れ過ぎ、感情移入する前にこんがらがってしまって、あえなく途中棄権。評価がいいのに、読み解けなかった己が残念。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。東洋大学第2部文学部国文学科卒業。2001年、「サイドカーに犬」で第92回文學界新人賞を受賞しデビュー。02年、「猛スピードで母は」で第126回芥川賞、07年、『夕子ちゃんの近道』で第1回大江健三郎賞、16年、『三の隣は五号室』で第52回谷崎潤一郎賞を受賞。その他の著書に『佐渡の三人』『私に付け足されるもの』『今も未来も変わらない』などの小説、および漫画作品に『長嶋有漫画化計画』『フキンシンちゃん』がある。

「2021年 『もう生まれたくない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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