マンガ ギリシア神話〈1〉神々と世界の誕生

著者 :
  • 中央公論新社 (1999年11月1日発売)
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784124901658

感想・レビュー・書評

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  • ガイア(大地)が自ら産み出したウラノス(天空)と交わり、ティタン(巨人)神族を12神産み出した。そしてその次に産んだのは、一つ目の巨人キュクロプスたちと頭が50、手が百本あるヘカトンケイルたち。ウラノスは父親なのに醜いキュクロプスやヘカトンケイルたちを地の底に閉じ込めてしまった。
    ウラノスの行為に怒ったガイアはティタン神族の子供たちに父であるウラノスを殺すように命じるが、父親を殺すことなどできない。そこで、ただ一人「父親であっても許せません。」と実行したのが、末っ子のクロノス。大きな鎌でウラノスをザクッ!神様だから死ななかったみたいですが、性器が切り落とされて海に落ち、波にもまれ、泡になり、その泡から美の女神アプロディテが産まれた。エェーッ!
    ウラノスを倒したクロノスは地中に閉じ込められたキュクロプスたちを結局助け出さずに、ウラノスに変わり支配者として君臨した。けれど、常に怯えていた。いつか、かつての自分と同じように自分の子供が自分を裏切る日が来ると。だから、子供が産まれるたびに、すぐに呑み込んでしまった。産んでも産んでも子供を夫に呑み込まれてしまう可哀想な妻のレアは一人だけ呑み込まれないように隠して育てた。それがゼウス。
    そして、またゼウスがクロノスを追い落とし、先に呑み込まれていた兄や姉たちも助け出す。
    そういうわけで、今度はゼウスが君臨するわけだけど、やっぱりゼウスも自分の子供を怖れていて、今度はなんと産ませないように、身籠った奥さんのメティスを呑み込んでしまった。
    息子は父親を裏切るという運命はグルグルと続いてしまうわけです。
    ある日、ゼウスは頭が凄く痛くなって、ヘパイストスに頭を斧でパッカーンと割ってもらったら、中から知恵と戦いの神、アテナが出てきた。子を産む前に呑み込んだメティスから産まれて育っていたのです。
    ゼウス一族はティタン神族との戦いに勝ったから、天と地の支配者になったそうです。そしてその時にクロノスたちティタン神族は地の底の闇の世界に閉じ込められ、クロノス派のアトラスは地の果てで、天空が落ちてこないよう支え続けるという罰が与えられたそうです。
    で、私達人間は、プロメテウスという神様が水と土で粘度細工みたいに作り出して、ゼウス様が命を吹き込んだものらしいです。
    今、キリスト教などで「全能の神」と言われているゼウスを含め、神々の世界に道徳心なんかなかったんだな。欲望の固まり。人間らしさ剥き出し。
    けれど、ゼウスが人間から“火”を取り上げたとき、こっそり人間に火を渡してくれたプロメテウスは、ゼウスの怒りを買い、磔になり、3万年間、毎夕、大鷲に肝臓をついばまれるという罰を受けました(肝臓は再生されるから死なずに苦しむのです)。キリストみたいな神。

  • 同じ人物が繰り返し登場するので、一気に読むに限る。
    時々前にもどって確認できるので、漫画はほんとうに便利。

    そうそう。この本が出たあとに、冥王星が太陽系惑星じゃなくなったんですよね。
    科学が変わることで歴史や神話にも影響がでる。

    この本でもっとも興味をもったのはプロメテウスです。好みでもあります。
    ギリシャ神話はめちゃくちゃ想像の世界であるのに、「毎日大鷲に肝臓をついばまれる」という表現だけが妙にリアル。

    里中さんは「肝臓は再生能力をもっているということが古代ギリシャの医学でわかっていたのでは?」と考えるそうです。

    私が考えたのはhttp://www.nttdata-getronics.co.jp/profile/spazio/spazio65/koike.htm
    國學院大學教授の小池寿子さんによるものを、引用します。

    >理性は、肝臓の苦みを利用して、腹腔に宿る人間の本能的で獣的な欲望を威嚇して統制し、またその甘みを利用して、正常な状態に保つ働きを有するのである。 そして前者の場合には、肝臓は萎縮し、変形し、後者の場合には健全な形状となる。たとえば暴飲暴食など不摂生から生じる生活習慣病も、理性を働かせて慎め ば改善されるわけだ。

    プロメテウスは「あらかじめ考える者」だから、哲学的な意味で「肝臓」なんだと思います。

  •  この本は「ギリシア神話」について、漫画で読むことができるため、理解し易い。
     何巻にも渡って描かれている。この巻では、「神々の誕生」から神につくられた人間を襲った「大洪水」までが描かれている。
     また、ギリシア神話を読んだことがない方には、入門書として最適であると思う。

  • ギリシャ神話は関係性が分かりにくいので漫画にしてくれて良かった。

  • 奇しくも語る。『要するにギリシア神話は「あんな話」「こんな話」がてんでバラバラ。だから、自分の解釈で順序だてるしかない!』

    ギリシャ神話もこのくらいのボリュームで端折ってくれると、わかりやすくなることに気づかせてくれました。削るのは大変だったろうね。一方では、神々の名前の羅列になっているのは、しかたがないのかもしれない。

    本当は、作品内に登場する神々に、それぞれの物語がある。たとえ、本書では名前だけでも。
    逆に、「パンドラの匣」では、匣を開けた後のくだりが素敵です。「そして 信じてください 私がいれば 道はひらけると」そんな気にさせられます。

  • 高尚なレディコミ。
    「天地創造を成す全知全能の神にとっても、愛は永遠でない」ということ。
    行為としての愛、結果としての死が延々と繰り返されてゆくだけで
    ま〜〜〜 しょうもない神ばっかり。
    愛だの恋だのセックスだの、天上の悦びも案外そんなもん。
    ラブ・ホリック。僕らは僕らで、海でも眺めて暮らそうぜ。

  • 里中満智子さんがギリシア神話をマンガ化したシリーズの第1巻。
    サブタイトルは「至高神ゼウス」でした。

    旧約聖書とローマとギリシアの神話がゴチャゴチャになっているので、これで整理しようと思います。

    けっこう日本の神話も含めてかぶる話があるんだね。
    末子相続的な話とか、洪水とか…ね。

    しかし、ゼウスさんを筆頭とするオリンポスの神々は、かなりの恋愛至上主義で人間くさい感じがするなぁ…。

    至高神って言われても、ゼウスさんのどこが至高なのかは全然わかりませんでした。
    女性に超~積極的ってことだけは、よくわかりました。

  • ギリシア神話の基礎をマンガで分かりやすく学べた!\(^o^)/

    ギリシア神話は、きちんと順序立てたストーリーが組み立てられていない。
    各地でそれぞれ少し内容が違っている場合があるので、神話や伝説がてんでんバラバラに存在していた。
    古代作家達も自分の解釈で書き残していた。
    最初は世界はカオス混沌だった。
    暗黒界~エロス愛~ヘメラ昼~ガイア大地~ウラノス天空~山々、ポントス海を生み出した。

    大地と海の出会うところに生命が生まれた。水と大地で生命ができると思い、泥のお団子みたいに土と水から作り出したものが、『人間』だった。

    ★ティタン神族
    天空と大地が交わって生まれた十二神。
    英語読み→タイタン。巨人。大事業の意味がある。
    タイタニック号の名もタイタンにちなんで、つけられた。
    アメリカで作った大陸間弾道弾も『タイタン』だった。

    正式の結婚を引きかえに体をゆるし、妃におさまった女性 ヘラ。
    英語では、『ジュノー』
    6月は、Juneジューン。
    ジューンブライド、『6月の花嫁をは幸せになれる、、』という意味が広まった。

    ★大自然=神
    旧約聖書の『ノアの箱舟』と同じ。

    争いや恨みなど、人間たちはせっかくの知恵を闘いに、使ってしまう。
    これを清めるため、逆らうことのできない大自然の力こそが神そのものだという事実を思い知らせるため、大洪水を起こす!
    丘の上で箱舟を作っていた、人間2人だけが生き残ったとさ。

    ★古事記=日本神話
    イザナギの命。イザナミの命が結ばれる。
    最高神 『天照大御神』女性は、天と地をおさめる。高天原タカマガハラにいる。
    スサノヲのミコト 『海』を支配。
    月読命ツクヨミのミコト
    『根の国 冥界、死者の国』
    ギリシア神話と違うところは、最高神が女性てまあること。

  • 里中満智子/著
    ヨーロッパ文明の一つの原点となるギリシア神話全話を大家・里中満智子が流麗なタッチでコミック化。

  • ギリシア神話をかなり忠実に再現している漫画。

    ギリシア神話を読むうえで一番厄介なのが人物関係である。特に登場人物の婚姻関係・親子関係は非常に複雑で、読んでいる最中に混乱することもしばしばある。
    しかし、この漫画だと1話ごとにその回に出てくる登場人物の家系図が載せてあるので安心して読むことができる。

    ギリシア神話初心者におすすめな1冊である。

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著者プロフィール

マンガ家。第1回東アジアMANGAサミット事務局長。1948年大阪府生まれ。16歳のとき「ピアの肖像」で第1回講談社新人漫画賞受賞をし、プロのマンガ家生活に入る。その後数々のヒット作を生み出し現在に至る。主な作品に「アリエスの乙女たち」「あすなろ坂」「鶴亀ワルツ」他多数。「あした輝く」「姫が行く!」で1974年講談社出版文化賞受賞。「狩人の星座」で1982年講談社漫画賞を受賞。マンガジャパン事務局長。(社)日本漫画家協会常務理事。大阪芸術大学芸術学部文芸科教授。文化庁文化審議会著作権分科会委員などを歴任。

「2005年 『アジアMANGAサミット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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