精霊の箱 下: チューリングマシンをめぐる冒険

著者 :
  • 東京大学出版会
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本棚登録 : 233
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130633642

作品紹介・あらすじ

新米魔術師になって数か月.ガレットの前にはさらなる波乱万丈の運命が待ち受けていた――『白と黒のとびら』第2弾は,チューリングマシンがテーマ.主人公をはじめとする様々な登場人物とともに,「計算」の本当の姿、またそれにまつわる数々の話題に親しもう.【上下巻】

感想・レビュー・書評

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  • 一言で言うととても面白かった。自分が今まで読んだ本の中で、ここまでストーリーと学問を美しく融合させた読み物はなかったと思うほどに、物語も、学問も、両方とも面白かった。学問の方については、最後こんなところまでこれるんだと感動すらした。作りが巧妙で非常に素晴らしいと思った。

  • 主人公、ガレットの成長。
    『ここぞというときに「正しいこと」を選択できること』が資質の少年が、若く優秀な魔術師、になるまでの物語。
    学び思考し、試練に立ち向かい、死を乗り越え、旅に出て…。ティルと再開するエピローグがとても良い。
    展開が進むにつれて学ぶべき対象も複雑になり、登場人物たちと同じ時間の流れを擬似的に感じられる。物語と学問の融合。
    言葉を正確に使うこと。
    オートマトン、難しいけれど学んでみたい。

    ファンタジーとしてもすごく好きで、映画化してほしいくらい…。

  • 解き明かしていくべき「謎」にコンピューター技術についての理論を設定している点が特徴。
    このアイデアをどう捉えるかで大きく評価が分かれる本だと思う。
    私は純粋にファンタジーとしても面白い(エピローグがいい!)と思い、チューリングマシンの理論を勉強するきっかけにもなったので高く評価する。

  • 内容は,副題通りチューリングマシンについてが基本で,2進数や情報の符号化,,電気回路,暗号技術などの現在のコンピュータに用いられる技術について触れられている。

  • ?年明けの恒例行事となるか?!今回は久しぶりのナリタ紹介回です。魔法使い見習いの青年が、師匠の指導を受けながら様々な問題や謎を解き明かしていく、という、なんともまっとうすぎるファンタジー作品である本作。しかしながら、その根底に流れる原理原則は形式言語理論、情報工学、数学といった現実のハードサイエンスである、というのだからさあ大変(タナカ的に)。物語として、そして教材としての高い完成度を両立した本作を前に、いつも以上にナリタの多弁熱弁が冴え渡ります!
    13:34〜 古典コテン「若返り薬」夢野久作(海若藍平)
    24:57〜 紹介回
    -
    「白と黒のとびら:オートマトンと形式言語をめぐる冒険」「精霊の箱:チューリングマシンをめぐる冒険」川添愛 (エピソード265, ナリタ紹介回, 2017.01.31配信)
    http://hontana.info/2017/01/31/2017-1-31-%e3%80%8c%e7%99%bd%e3%81%a8%e9%bb%92%e3%81%ae%e3%81%a8%e3%81%b3%e3%82%89%ef%bc%9a%e3%82%aa%e3%83%bc%e3%83%88%e3%83%9e%e3%83%88%e3%83%b3%e3%81%a8%e5%bd%a2%e5%bc%8f%e8%a8%80%e8%aa%9e%e3%82%92/
    ===
    ?ナリタの挑戦的作品紹介に対し、タナカ、辛くも読了!ほとんど理解できていないながらも、ファンタジーと科学とを融合しうる物語を前にタナカは畏怖の念を抱きます。そして話はファンタジーとSFとの境界線という”禁断の地”に踏み込むことに。5年前の「Uフォン論争」(第13回配信)を端に発する大きな宿題に、今夜ひとつの解答がもたらされるか?!ジャンルを越えて知的興奮を惹起する本作の凄さをお楽しみください。
    10:28〜 ホンタナ的ライフハック「ファシリーテーション・グラフィック」掘公俊, 加藤彰
    38:33〜 感想回
    -
    ファンタジーの線引き・5年越しのUフォン論争再び 〜「白と黒のとびら」「精霊の箱」の感想から〜
    (エピソード266, タナカ感想回, 2017.02.07):
    http://hontana.info/2017/02/07/2017-2-7%e3%80%80%e3%83%95%e3%82%a1%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%82%b8%e3%83%bc%e3%81%ae%e7%b7%9a%e5%bc%95%e3%81%8d%e3%83%bb%ef%bc%95%e5%b9%b4%e8%b6%8a%e3%81%97%e3%81%aeu%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%b3%e8%ab%96/

  • 2017.2記。

    最初に書いておくが「めちゃくちゃ面白い」。

    チューリングマシン、より簡単に言ってコンピュータとは要するになにか。本書は、二進法、実行と停止、遷移図など、「計算」をつかさどる原理や仕組みについて、魔法使いの弟子が「いにしえの呪文を解読する」という物語の形を借りて解説。それがまた壮大な陰謀との戦いに仕立て上げられているのだからすごい。難点があるとすれば、論理式の解説部分が面白すぎて、恋や冒険のパートを読み飛ばしたくなるところだが、実はそれが理解のヒントになっていたりもするから侮れない。

    著者は言語学が専門のようで、計算とは何ぞや、を突き詰める過程では数学よりも言語が全面に出てくるところも典型的文系の私には鮮烈。それでいて、例えば「暗号理論」の部分では整数論の奥深さを垣間見られる。暗号化するより復号化(解読する)ほうがずっと難しい理由が「累乗(で暗号化する)よりも累乗根(で元に戻す)のほうがずっと計算が大変だから」という直観的な理解とか、個人としての収穫の一つ。

    蛇足だが、物語の輪郭は村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」だと予想する。というか併せて読み直せば相当の発見がありそう。そうか、計算士と記号士との戦いってのはこれか・・・と。「チューリングをめぐる冒険」というタイトルも「羊をめぐる冒険」からインスパイアされていそうだし。

  • 前作にも出てきた学者の友人たちと協力して、陰謀を暴いていくガレットたち。崩壊してしまった魔法をガレットが救えるのか。それにしても、前作のあんなところが伏線になっているとはなあ。

  • (特集:「先生と先輩のすすめる本」)

    ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00538919

  • ガレットはティルを助けに浄罪界に行く。学術院のユフィンとガレットは破壊の書の謎を解くことに懸命になる。そして、ハウェイの子孫との戦いが始まった。今回はチューリング・マシンをめぐる話題である。

  • 値段はするけどストーリー、ふつうに楽しめる。
    長期的な恋だ。あーつら。

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著者プロフィール

川添 愛(かわぞえ・あい):1973年生まれ。九州大学文学部卒業、同大大学院にて博士号(文学)取得。2008年、津田塾大学女性研究者支援センター特任准教授、12年から16年まで国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授。専門は言語学、自然言語処理。現在は大学に所属せずに、言語学者、作家として活躍する。 実績 著書に『白と黒のとびら』『自動人形の城』『言語学バーリ・トゥード』(東京大学出版会)、『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』朝日出版社、『コンピュータ、どうやってつくったんですか?』(東京書籍)『ふだん使いの言語学』(新潮選書)など。

「2023年 『世にもあいまいなことばの秘密』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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