原始仏教 その思想と生活 (NHKブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140011119

感想・レビュー・書評

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  •  宗教,それも仏教関係の本を読むようになるとは,我ながら驚いています。
     本書は,おやじの本棚にあったもので,読んでいると親父のメモや線引きなどがしてありました。
     うちは,浄土真宗の教えを受けていて,親父の世代までは,毎朝夕にお経を上げていました。わたしは,そんな両親を見て育ったわけですが,まったく信心深くはならずに,寺に行っても仏像や建物を見るだけ。普段,仏壇は閉まったままです。能登の仏壇って豪華なんですがね。
     さて,本書は,インドで生まれた仏教のさらに先にあったものから説明されています。著者の「むすび」によると,

    パーリ語の聖典が先年邦訳されたが,大冊が七二巻あり,その中には難解な議論も種々述べられていて,理解も容易ではない。

    といいます。相当苦労して,それをわたしたちにもわかる日本語で書いてくれて,ありがたいです。

     仏陀,菩薩,j如来,比丘尼…など,今じゃ,普通に使われていることばの意味なども,なじめて知った(というか手塚治虫のマンガ以来)という感じ。
     以下所だけ,引用してみようかな。

     もちろん原始仏教聖典においては,仏に対する信仰が盛んに強調されているが,それはブッダを模範としてその教えを実践すべきことを解いているのであって,ブッダに,他人を救済する霊力,神秘力があると考えていたのではない。ブッダはただ模範的な理想人と考えられていた。さらばこそ,「かくの如く来りし人」(如来),「かくの如き人」と呼ばれている。(本書p.92)

     う~ん,そうだったのだ。仏様にお願いしてもダメだよ,みんな。

  • NH4a

  • ゴーダマ・ブッダの生涯がベースなので、第一結集前の話であり、経典整理されていない原始仏教の初期の話。よって、良くも悪くも宗教的ではなく、道徳倫理的な話が中心。ただし、整理されていない分、自己矛盾的な思想もあるような。

  • 中村元先生が、最初期の仏典に依り、誕生間もない原始仏教教団の思想と生活倫理を描き出すもの。仏教というものに対する見方が変わってきました。

  • ブッダブームがまだ去らないので、続けて借りてきて読んだ本。読みやすかったし、この作者さんのブッダへの愛をとても感じた。でもそのせいで、ブッダをちょっと美化しすぎな感じも受けた。最初に読んだ本の作者さんが、とても冷静だったので、比較してしまったのかもしれない。

  • 仏教の成り立ちと,仏教の初期の教えを淡々と解説した書籍。
    ゴーダマ・ブッダの悟り至る過程を記述した部分が胸を打つ。
    私は,「初期」であることに価値を見出さない。
    けれども,原始仏教と現代日本に伝わる大乗仏教とが確実につながっていることを確認できるのはとても興味深い。

  • 図書館で廃棄処分になったものをいただいた。修業には、街から遠すぎず、近すぎず、静かなところがよい。間違いない。

  • 原始仏教の思想体系が論理的にまとめられているので理解が深まります。

  • 3-2 宗教論

  • 自己以外の何ものをも自己とはみなさないことによって到達されるのである。それは他の面から考察すると現在において生きることなのである。

    原始仏教の思想はたしかにニヒリズムと呼ばれても良い一面の性格がある。しかしそれは自己をまともに凝視することにより自己以外の一切の価値を否定することを通じて真実の事故の実現を目指し社会性の獲得とともにやがて慈悲の実践に向かうことになったのである。

  • 日本で最も仏典に精通していたであろう
    偉大な仏教学者が書いた原始仏教の概説。

    キリスト教は聖書、儒教は四書を読めば、
    とりあえず基本は勉強出来た事になるが、
    仏典の数は膨大で、何を読んだら良いか分からない。
    仏教聖典という本があるにはあるのだが、
    原始仏典と大乗仏典が混じっていたりする。
    という訳で原始仏教を勉強するのに、
    大枠を理解するには適切な本じゃないかと思う。

    内容に関しては原始仏教の成り立ち、
    価値観や制度などが項目ごとに分けられており、
    基礎知識が無くても???にはならないはずである。

  • 現代の日本人にとっては「今」の仏教の姿は普通なのだと思いますが、このような形---葬式仏教とも呼ばれますが---になったのは江戸時代の話です。つい、2~300年の間の話なわけです。
    仏教が生まれてからすでに2,500年ほど経っているわけですから、この2~300年の間の変遷なんて、考えようによってはほんとささいな変化だと思います。
    ささいな変化でも、それしか知らないとそれが「本物」だと思ってしまうのはしかたないところでしょうね。

    僕はある日思ったのですが、「そもそも仏教って何?」。
    ほかの宗教についても詳しいわけではありませんが、仏教っておもしろいですよね。キリスト教やイスラム教のような絶対神を持ちません。お釈迦さま自体が神というわけではありませんから。

    そんなこんなでお経などもいろいろと読んでみましたが、たどり着いたのが「原始仏教」でした。「初期仏教」と呼ぶのが正しいようですが。

  • 「仏陀がどう言おうと、古い文体に引きずられ読めぬ」

  • 筆者は東大の教授で、インド哲学の著書をいくつも発表している方である。
    ちょうど、インドに旅行に行きたいと思っていた頃に何気に買ったと思われる。

    やや専門的で難解ではあるが、ちまちまと読み進めていくのは楽しい限りで、
    インドという奥深い世界を一端を垣間見れたような気持ちになったものだ。

    しかし、ブッダは白いご飯を食べていたらしいという記述を呼んだ時、えらく身近に感じたものである。
    白いご飯を見ながら、ああ、何だブッダも同じ白いご飯を食べたんだと……(笑)

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著者プロフィール

新潟大学人文学部准教授
1977年、東京都八王子市生まれ。1999年、東京都立大学人文学部史学科卒業。2009年、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学、博士(史学)。
八王子市総合政策部市史編さん室専門員、獨協大学法学部特任助手を経て現職。
著書・論文に、『東京の制度地層』(公人社、2015年、共著)、『新八王子市史 通史編5近現代(上)』(八王子市、2016年、共著)、『新八王子市史 通史編5近現代(上)』(八王子市、2017年、共著)、「1930・40年代日本の露店商業界紙『関西俠商新聞』・『小商人』・『日本商人』について」(『資料学研究』12号、2015年)、「戦災の記憶の継承と歴史資料――長岡空襲の事例に即して」(『災害・復興と資料』8号、2016年)など。

「2018年 『近現代日本の都市形成と「デモクラシー」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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