わたしを宇宙に連れてって ~無重力生活への挑戦

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815083

作品紹介・あらすじ

筑波宇宙センターの宇宙飛行士採用試験から、スペースシャトルの訓練用トイレまで、口の堅いことで有名な宇宙開発研究機関の扉をこじ開けて突撃サイエンス・ジャーナリストがわたしたちを宇宙の旅に連れ出してくれる。アメリカで最高にPOPなサイエンス・ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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    2014年度の「宇宙~Universe~ 」でも取り上げられました。

  • アメリカで最も愉快なサイエンスライターと評されるメアリー・ローチが連れて行ってくれる宇宙は予想のやや斜め上を行く。メアリーのこれまでの著作のテーマは死体、霊魂、セックスで、下世話な話題を扱いながら本書でもみられるように独特のユーモアを交えながら下品にならない軽いタッチが特徴だ。原題は「Packing for Mars」火星探検に行くためにこれまでの宇宙開発を下敷きにどう準備するかを広範に取り上げている。

    「宇宙開発のエキスパートにとって、あなたは巨大な頭痛の種だ。」無重力も狭い閉鎖空間も当然ながら人間が長期に暮らすには向いていない。食事、お風呂、トイレ、洗濯と日常生活の全てが頭の痛い問題になる。短期間のミッションなら我慢しろというのが一番簡単な解決法だが火星まで行こうかとすると数年がかりのミッションになるので宇宙飛行士の健康だけでなくモチベーションも大事な要素になる。これがすごく厄介なのだ。

    最初の場面はJAXAの宇宙兄弟で有名な閉鎖空間試験現場から。第一期宇宙飛行士に求められたのは勇気やカリスマ的な才能だったが現在ではストレス耐性や協調性が重視されている。これはミッション期間が長期間になるからだ。例えばNASAでチームワークに関する研究を行った所男女混成>男性のみ>女性のみだったらしい。火星に行くならベストなチーム構成は?アポロ計画の飛行士マイケル・コリンズによれば去勢済み男子クルーがベストだとか・・・。ちなみに体型が小柄で協調性の高い日本人は宇宙飛行士に向いてると言う評価だ。狭い部屋にも慣れている。

    無重力下ではトイレが大問題になる。地球上のトイレは重力を元に設計されているので宇宙では全く役に立たない。当初使われたのは糞便バック、袋の開口部に粘着剤がついていてぴったり張り付けて用を足す。問題はこれで終わらず、口を閉じたままほっとくだけだと大腸菌の働きでガスが出て破裂してしまう。”逃亡者”を作らないためには殺菌剤をふりかけもみ込まなくてはならない・・・。スペースシャトルでは宇宙用便器が開発されたが開口部はわずか10センチ、正しい位置で使用すれば気流で回収するので”逃亡者”は逃げられない。NASAでは正しい位置合わせの訓練用におまるカムつき便器でトレーニングする。自分のお尻をみながら座る位置決めをするのだが、メアリーはチャレンジしようとするも断念。しかし火星に行くには尿も貴重な水分と言うことで濾過した自分の尿を飲んでみせる、チャレンジャーだわ。

    無重力空間では平衡感覚が無くなる。重力下では耳石が転がりどちらが下かわかるが宇宙で頭を急激に動かすと耳石はでたらめにぶつかり、目から入ってくる情報との狂いから宇宙酔いを起こす。船酔いにしてもそうなのだがなぜ吐くのかはよく分からない、吐いても解決にならないのだから。海の上なら魚が集まってくるぐらいだが、宇宙ではこれも大変。バイザー内がゲロまみれで何も見えないのではニュータイプでない人はモビルスーツに乗るべきではない。ただの水でも表面張力で肌に貼り付くのでゲロは凶悪だ。閉鎖空間では臭いがこもりもらいゲロを誘発、うわぁ〜っ。おならですら空気の流れがないとそこにずっと漂い続ける。

    お風呂も問題で基本は入らないのだがこれも悪臭のもとだ。足、股間、脇の下が特にひどい。ずっと着替えない不潔実験では最初の1週間は皮脂の分泌量は変わらない。衣服は汗と汚れのほとんどを吸収する。ジェミニ7号の2週間のミッション終了後には地上での実験以上に宇宙飛行士のパンツはひどい有様になっていた。その頃使ってた集尿器は時々豪快にお漏らししたらしい。無重力下ではシャワーの水滴は集まり大きな塊になるのでからだを洗う役には立たない。現在では日本女子大の開発した宇宙下着が素晴らしい成果を上げている。光触媒の作用により汚れを分解し、抗菌剤が菌の繁殖を防ぐ。若田光一さんは28日間同じ下着を履き続けても不快感はなかったらしい。光触媒を働かせるにはパンツ一丁の時間が長かったのだろうが・・・

    食事もいまでは美味しく食べれる宇宙食が増えているらしいが当初はとにかく少量でハイカロリーが標準だった。毎食エナジーバーみたいな物だ。しかも水分は減らして唾液で戻す。逆にぱさぱさなものはくずが出るのでNGになる。また食事はそのままトイレの問題に直結する。ペットが喜んで食べ糞の処理が楽なそんな食事が理想なのだ。

    無重力セックスは可能なのか?やはりそう来たかというところだがポルノ映画会社が無重力体験の弾道飛行を貸し切ったことはあるらしい。メアリーが調べた限り真実は不明だ。無重力空間では血液が上半身に集まる。映像でみる宇宙飛行士の顔がむくんでいるのはそう言う理由でへそから下には血液は集まらないらしい。と言うことは・・・。

    他にも骨密度を調べるための寝たきり実験や、アポロは実は宇宙に行っていなかったと言う陰謀が生まれた国旗の秘密、着陸時の重力加速度の影響を調べるマネキンの落下実験はエイリアンの噂を呼び、アストロチンプ(宇宙チンパンジー)が当初チンポノート(セーラーパンツをはいた猿になる)と言われた話などコネタの脚注が満載。厄介な荷物を火星に運ぶためには滑稽に思える様な莫大な努力の積み重ねが続けられている。宇宙兄弟には出てこない日常の時間がミッションの時間以外の全てを占めるのだから当然なのだが。

  • 愉快な突撃サイエンスライターとして売れっ子らしい。
    ちょいと下品つーか下世話な話を絡めて、人間を宇宙飛行させるためにどれだけ地上で実験しているか、実際行ったときどうなったか、をレポート。
    無論だいたいはNASA周辺に突撃しているのだけれど、日本関係の部分も結構ある。
    初っ端はJAXAでの宇宙飛行士選抜について。
    後はロシアにも取材してるね。

    海外の翻訳物は読みにくいけど、(笑いのツボもいまいちだし)今までに読んだ中ではだいぶましだと思う。
    この間「ゼロ・グラビティ」見たから、興味もあったし。


    ブックデザイン / 福田 和雄
    jacket image of astronaut / Getty Images
    原題 / "Packing for Mars:the curious science of life in the void"(2010)

  • 私の知らない世界はどこにでもある。

  • まあまあ

  •  宇宙開発の一番の悩みは人間。機械と違って統一規格がないし、文句も言う。閉所にいる事でストレスを溜め、無重力に酔い、入浴を我慢し、大変な思いをしてトイレをする。これらの問題を大真面目に研究しているNASAでのエピソードを紹介した本。

     「宇宙でセックスは可能か」って章を目当てに買ったけど、それ以外も全部おもしろかった。ジョークを入れまくってるのでサクサク読める。

  • 資料ID:21105431
    請求記号:538.9||R

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著者プロフィール

1959年生まれ、カリフォルニア州オークランド在住。
「アウトサイド」誌、「ワイアード」誌、「ナショナル・ジオグラフィック」誌、「ニューヨーク・タイムズ」紙など多数寄稿。
代表作は『死体はみんな生きている』『セックスと科学のイケない関係』『わたしを宇宙に連れてって  無重力生活への挑戦』(いずれもNHK出版)など。

「2017年 『兵士を救え! マル珍軍事研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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