NHK「100分de名著」ブックス アラン 幸福論

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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815243

作品紹介・あらすじ

思想と市民をつなぐ架け橋として、日常生活に立脚して幸福への指針を導き出した二十世紀フランスの哲学者、アラン。彼は「哲学は、生についての省察である」という立場から、幸福は誰かに与えられるものではなく、自らの意志と行動によってつくりだすものであると説いた。美しい言葉で織りなされる即興の思惟は、同時に力強い誓いを要求する。つい不幸に陥りがちな私たちの在りようと、自他にとっての幸福の本質とは何かを探る。鎌田實氏との対談/読書案内/年譜を新たに収載。

感想・レビュー・書評

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  • 「喜びは、行動とともにある。
    幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ」

    アランの『幸福論』は以前からいつか読みたいと思っていましたが、原著を読むのは敷居が高いので、このシリーズでとりあえず読んでみようと思いました。
    どんな本かというと「寒い夜に湯気を立てている一杯の温かいスープのような書物」であり、さまざまな生活の場面における幸福についての断章(フランス語でプロポ)全部で93編から成っているそうです。
    アランに師事した小説家アンドレ・モーロワが遺した言葉に、「私の判断では、世界中でもっとも美しい本の一つである」という言葉があるそうです。

    プロポの中で心に残ったものを挙げてみます。
    〇私たちは他人の幸福を考えねばならない。というのはまさにその通りだ。しかし、私たちが自分を愛する人たちのためになすことができる最善のことは、自分が幸福になることである、ということは十分に語られていない。
    〇不幸になったり不満を覚えたりするのはたやすい。ただじっと座っていればいいのだ。人が自分を楽しませてくれるのを待っている王子のように。
    〇自分からは動かない。だからこそ不幸になるのです。気分にまかせて生きている人は皆、悲しみにとらわれる。否、それだけではすまない。やがていらだち怒りだす。
    〇人間にとっての最大の敵は自分自身である。
    ただ待つだけだったら、不幸しかない。

    アランが言いたかったのは、「困難も不幸も本当の原因さえ分かれば、多くの場合、対処法はさほど難しいことではない」ということです。

    面白かったです。
    読んでいて、目からうろこというのはこういうことではないかと、何度も思いました。
    読む前は、こんなまぶしいタイトルの本を、自分が読んでもいいのかと思ったりしたのが、嘘のように軽くなりました。

    〇「幸福は行動の中にしかない」
    「意志」とともに「行動」を起こすこと。

    アランの原著と世界三大幸福論のもうひとつの、ラッセルの『幸福論』も、読みたかったのでこのシリーズで購入しました。

  • 「幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ」

  • 「幸福」はそれ自身が徳である。我々は高邁と礼節を用いて自身から不可分である情念を制御し、意思・努力・行動で自分のみならず他者・自らを取り巻く環境を形成していく。この他人とともに自己を形成する過程に「幸福」は内包されている。心や意識が硬化し、ただ「待っている」だけでは「不幸しかない」。巻末にあるように、ニーチェの「力への意志」に近いものがあり、道徳の系譜や善悪の彼岸と合わせて読みたいと感じた。

  • アランの「幸福論」を解説した本。
    自分のことを不幸だと思ってしまうこと(情念)がいけないとか、発生してもいない心配事を考えて不幸と思ってはいけないとかは考えさせられた。
    貧者とも平等であるという考え方で、与えたり施しにも否定的のようなのでメンタルヘルスが弱っているときに読んだらどう思うかなぁ・・。「幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ(プロポ77)」

  • 悲観主義は気分によるものだが、楽観主義は意思によるものである。

  • 人生の指針になる。
    幸せになるのは意志が必要。また人間の義務とまで言っています。

  • アランの「幸福論」を丁寧に解説してある良書でした。
    邦訳も読みたくなりました。
    「幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ」なんてグッと来ました。
    他人を幸せにしたいならますば自分から。
    もっともっとスマイルで日々を謳歌します。

  • 幸福は自らの行動で掴みにゆくもの、ということ。NHKオンデマンドとともに読了しました。前向きになります!

  • 「世界三大幸福論」の1つであるアランの幸福論の内容を知りたくて読んだ本。読んで参考になった。「幸福論」が読みたくなった。この本の中で紹介されていた「幸福論」の言葉の中でP52の「悲観主義は感情で、楽観主義は意志の力による。」と、P98の「幸福とは報酬など求めなかった者たちのところに突然やってくる報酬である。」、「幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ。」という言葉が好き。

  • アランの幸福論の概要がわかります。

    さまざまな生活の場面における幸福についての断章(プロポ)で構成されているそうです。
    この本自体はさらっと読めましたが、本編は味わって読まなければ得るものは半減すると思います。

    ・礼儀を知らない人はよい人間関係を築けない。
    ・悲観主義は感情で、楽観主義は意志の力による
    ・幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ。

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著者プロフィール

合田 正人 1957年生まれ。一橋大学社会学部卒業、東京都立大学大学院博士課程中退、同大学人文学部助教授を経て、現在、明治大学文学部教授。主な著書:『レヴィナス──存在の革命へ向けて』『レヴィナスを読む』(ちくま学芸文庫)、『ジャンケレヴィッチ』(みすず書房)、『フラグメンテ』(法政大学出版局)、『入門ユダヤ思想』(ちくま新書)、主な訳書:レヴィナス『全体性と無限』(国文社)、同『存在の彼方へ』(講談社学術文庫)、同『われわれのあいだで』『聖句の彼方』『神・死・時間』『歴史の不測』、デリダ『ユリシーズ グラモフォン』、『ベルクソン講義録 全四巻』、セバー『限界の試練』(以上、法政大学出版局)、アド『ウィトゲンシュタインと言語の限界』(講談社)ほか。

「2022年 『困難な自由〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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