6度目の大絶滅

  • NHK出版
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本棚登録 : 291
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140816707

作品紹介・あらすじ

地球ではこれまで5度の大量絶滅が起きている。隕石衝突、火山活動、氷河期到来など、いずれも突然の大規模な自然災害で多くの種が消滅した。そして現在、サンゴ類の1/3、淡水産貝類の1/3、サメやエイの1/3、哺乳類の1/4、爬虫類の1/5、鳥類の1/6、植物の1/2がこの世から姿を消そうとしている。恐竜時代には1000年に1種だった絶滅が、いま、毎年推定4万種のペースで人知れず進行しているのだ。このままでは、2050年には種の半分が消えてしまうかもしれない。世界各地でいったい何が起きているのか?そして原因は何なのか?絶滅の最前線で、歯止めをかけようとする研究者たちの時間との闘いが熱く繰り広げられている。『ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー』2014年ベストブック10冊に選ばれた話題作。

感想・レビュー・書評

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  • 2016.9.28忠生図書館 9/20読了2016.9.21返却

  • 絶滅という概念ができるまでや、現在絶滅に瀕している種のストーリーを眺めながら、人の手によって現在起きれいる変化を実感することができた。
    人の移動によって引き起こされる変化を止める事ができるのか?保護した生態系は果たして自然と言うことができるのか、とても考えさせられる内容だった

  • 最初の数章が冗長に感じました。これは原著が描かれた当時に人新世、アントロポセンという概念がまだまだ一般に普及していなかったので世界中で現在かつ過去も含めて人間によって引き起こされた生物の絶滅を物語風に追い、本題(第5章以降)への誘いという体を取ったのではないかと思います。

  • 大絶滅にかかわる学説史的なものを背景に、著者が世界各地を訪ねて取材した学者たちの活動をアンサンブル的に(もとは雑誌連載)散りばめてある。カエルのツボカビ、化石発掘、恐竜絶滅、海洋酸性化、熱帯多雨林、サンゴ礁、人新世、ネアンデルタール人などなど盛りだくさん。ヒトの手により現在進行中のまさにグローバルな事態を、地質学的な時間軸の中にすっきり位置づけてくれた。

    個々のエピソードは何かしら聞いたことのある話がほとんどだだったが、個人的には以下の点などが新鮮であった:

    ・イースター島の環境破壊の原因は、直接的にはヒトよりもむしろネズミであった可能性が指摘されている(そのネズミはヒトが連れてきたにせよ)

    ・生物種の多様性は極から赤道に向かって増えていくが、それがなぜかについては通説がまだない(仮説はたくさんあるが)

    ・旧人類もネアンデルタール人も他の哺乳類と拡散パターンは同じで、海を越えてマダガスカルやオーストラリアには行かなかった。それをしたのは現生人類だけ

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001068629

  • NYTの敏腕記者による生物の大量絶滅に関するレポート。
    これまでの隕石や噴火、氷河期の到来で5度の大量絶滅があった。
    そしていま「サンゴ類の1/3、淡水産貝類の1/3、サメやエイの1/3、哺乳類の1/4、爬虫類の1/5、鳥類の1/6、植物の1/2がこの世から姿を消そうとしている。恐竜時代には1000年に1種だった絶滅が、いま、毎年推定4万種のペースで人知れず進行しているのだ」。

  • 私はこの本に「いままでに起きた大絶滅の内容と対策」を求めていました。
    しかしこの本は前文が「絶滅という現実を飲み込めなかったかつてのキリスト教信者」で、メインが「大絶滅で滅びる可能性の高い動植物の紹介」でした。

  • 野生動物の絶滅を警鐘する資料はレッドデータブックやレッドリストのように赤い表紙が象徴的です。この本も赤い表紙で野生生物に迫る絶滅の危機を訴えています。
    (一般担当/take)令和2年1月の特集「紅白の本」

  • 地球上に「生命」が現れてから約40億年もの間に、さまざまな種が生まれては絶滅していった。
    現代の私たちは地層や化石などの研究によって過去に5回の大規模な絶滅(ビッグファイブ)があったことを知っている。
    (ウィキペディアの地質時代、大量絶滅を参照)
    過去の大絶滅では当時に存在した種のうち70〜90%が失われたといわれている。私たちにいちばん馴染みがあるのが白亜紀末の大絶滅で、当時地上で大繁栄していた恐竜類が隕石の落下による影響で一斉に絶滅したことは有名だ。

    そして、今現在、6度目の大量絶滅が進行中で、その主な原因が私たち「ヒト」である、という事がこの本のテーマである。
    私たちヒト(現生人類)が約15万年前から存在しはじめ、アフリカをはじめとしてヨーロッパやアジアの各地へ拡散していったときから、当時各地に存在していた動物たち、マストドン、マンモス、スミロドン、オオナマケモノなどの巨大獣が次々と絶滅していった。ヒトが原因となる絶滅の有史後の例としてとりあげられているのが1800年に絶滅したとされるオオウミガラスだ。

    さらにこの本では今まさに絶滅しようとしているたくさんの種について、調査や保護の様子が記述されている。
    グローバル化の影響と思われるツボカビ病によって個体数を激減させている南米の両生類。
    二酸化炭素の増加による海水の酸性化によって2000年代末には絶滅する可能性があるとされるサンゴ類。そのサンゴ礁が作りだす生態環境に依存しているといわれる数千〜数百万種の海洋生物たち。
    アメリカのコウモリが大量死しているのはヨーロッパのコウモリとは共生しているカビによる「白鼻症」のせいで、これもまたヒトのグローバル化が原因であること。等々。

    この本の読者が読後になにか不満を感じたとしたら、それは章構成の乱雑さに混乱したせいかもしれない。
    私が思うには、「人類が絶滅という概念を獲得する話(おもにフランスの博物学者キュビエを中心とする)」と「過去の大絶滅(ビッグファイブ)に関連する話(地質学者と物理学者のアルヴァレズ親子が隕石衝突説で古生物学会に殴りこみをかける等)」と「6度目の大絶滅で(たぶんヒトと関わったせいで)滅んだ動物たちの話」と「現在進行中の絶滅危惧種の話」の章が入りまじって構成されているので、読んでいてすこし混乱するのだ。

    構成にすこし難があるとはいえこの本のテーマは刺激的で、重要な問題提起をしていると思う。
    ヒトが化石燃料を使用して大気中の二酸化炭素濃度が高まり地球温暖化をひきおこしたり、急激な環境改変が生態系の破壊などにつながっていることは一般的に認知されている問題だが、この本ではそういった周知の問題だけではなくて、もっと踏みこんで「ヒト」が世界に及ぼす影響について示唆している。

    その点で圧巻なのは最終章の手前、ネアンデルタール人のDNA採取を試み現生人類との関係を研究している遺伝学者ペーボの話だろう。ペーボが探すのはネアンデルタール人にはなくて現生人類にあったもの、彼が「狂気のようなもの」と呼ぶ何か、おそらくは6度目の大絶滅を起こさせる原因でもあり、ヒトのヒトらしさの本質でもあるものだ。それは文中で示唆されているように「飽くなき好奇心を抱く」内容である。

    上にあげたウィキペディアの大量絶滅の記事中にもあるが、現代が6度目の大絶滅の最中であるというのは大多数の生物学者の一致した見解だそうだ。
    そしてこの本が示唆するように大量絶滅の原因がヒトにあるのかどうかは確定してはいないが、ヒトは温暖化や環境破壊をする一方で絶滅危惧種の保護活動をしたり保護区を作ったりもしているわけで、とても不思議な生物であることは確かだと私は思う。

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