- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140883198
作品紹介・あらすじ
私たちの生活に欠かせない存在である漢字。その漢字と社会との接点から起きた事件をたどると、日本社会における漢字のあり方が浮かび上がる。本書は、1970年代末以降に起こった漢字にまつわる怪事件、珍事件を検証し、2010年に施行される常用漢字の改定を含めた漢字のゆくえを考察する。漢字を愛する漢和辞典編集者ゆえに語れる「漢字世相史」、ここに誕生。
感想・レビュー・書評
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図書館
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漢和辞典編集者によって書かれた、日本社会における漢字のあり方を1920年代から遡って考察した書籍。
なかでも印象に残ったのは、太平洋戦争で日本が敗戦した際に「日本が負けたのは、小難しい漢字学習に時間をとられて国民の教育水準が向上せず、科学技術面での発展が後れたからだ」という論理。そのために、漢字を「制限」するための「当用漢字表」ができた。
しかし、高度経済成長期となった1960年代には高等教育機関へ進学する人口が増加し、国民の読み書き能力が飛躍的に上がったため、漢字を「制限」する必要性がなくなっていく。そこで、考えられたのが、一般社会で用いられる漢字の「目安」を示すということだった。1981年に「常用漢字表」が完成する。
2010年7月7日時点、2005年の中川文科相の諮問に基づいて、電子メール時代に即した常用漢字表の見直し案である「改定常用漢字表」の検討がなされている。
追加文字や削除文字の粗方の内容は決定しているに近いが、「読めればよく書けなくてもよい」「しんにょうなどの表記が点が一つであるものと二つであるものなど混在していて、教育機関でどのように指導するか困惑してしまう」「追加要求の多い字なのに採用は検討中」「マイナスな表現の文字追加が多い」など、未ださまざまな課題を残している。
もちろん、正式なものの公示前なので、それを受けて著者がどのような感想を持たれているのかはわからないのが、少し残念です。 -
[ 内容 ]
私たちの生活に欠かせない存在である漢字。
その漢字と社会との接点から起きた事件をたどると、日本社会における漢字のあり方が浮かび上がる。
本書は、1970年代末以降に起こった漢字にまつわる怪事件、珍事件を検証し、2010年に施行される常用漢字の改定を含めた漢字のゆくえを考察する。
漢字を愛する漢和辞典編集者ゆえに語れる「漢字世相史」、ここに誕生。
[ 目次 ]
“広場”の風景
無邪気な子どもの物語
かい人21面相と昭和戯賊
爛熟する消費社会
バブルとワープロ専用機の二重奏
ねえ、バラって漢字で書ける?
新党十勇士とネット時代の夜明け
平成大不況を生き抜くには
漢字は正しく書かなくちゃ!
情報化社会の暗い穴
中国から、そして中国へ…
漢字を知らない総理大臣
“広場”の消滅
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
事件簿と言っても、漢字の事件が起きたわけではありません。著者の同時代に起きた事件や出来事の中から、漢字という視点から眺めてみた場合、きわめてエポックメーキングなものを拾い集めて語ったものです。著者の漢字に対する目線はいつもとてもやさしいものです。