- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140884676
作品紹介・あらすじ
1985年。アメリカン・ポップスの青春が、終わった。ポップスの歴史を鮮やかに読みとく1冊!
感想・レビュー・書評
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呪いとは祝いの逆のベクトル。呪縛と祝福は背中合わせかもしれない。80年代という時代に起きた奇跡的な作品に集まった煌びやかなスターたちの関係性とアメリカという国の白人と黒人の問題、音楽と映画(映像)に関して西寺郷太という稀有な文章も書けるミュージシャンが自らの想いと記憶、資料と熱意を持って記した一冊。
この奇跡のあとに起きた呪い、80年代が終わってグランジ・オルタナティブという90年代の季節がやってくるのは当然だったのかもしれない。この場所にいなかった呪いから逃れたスターたちのその後も。
そして9月にはそこに居なかったプリンスについての『プリンス論』が刊行される。
情報が過多になり、検索すれば出てくるネットが当たり前になった世界ではその「検索ワード」がわからなければもう検索も知ることもできないのだ。郷太さんはこういう時代があったことを知らない世代に対して知っていることを伝えようとしている。それは音楽の歴史だしポップスの時代と今に繋がるものたちを橋渡しする役目は自分にしかできないと自負しているからだろう。
知らないことがあるのは幸せだ。僕は80年代前半生まれだから全然知らなかったことばかり。また当たり前のように知っているミュージシャンの見え方が音の聞こえ方が変わってくる一冊。 -
前半のアメリカンポップスの歴史については、とてもよくまとまっていて秀逸。☆5つでもいいくらい。しかし、如何せん、タイトルにもなっている「呪い」の部分については、何だかなあ…という感じ。満足感とがっかり感が見事に同居してしまっている本だと思った。
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まあまあかな
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アメリカの音楽シーンを簡単にまとめてくれているのは面白い。このへん、ほんと疎いからね。
でも「呪い」の部分がイマイチな感。
そりゃあ、絶頂の人ばかりが集まるんだから、レコーディング後に絶頂じゃなくなるのは当たり前だと思う。「平均への回帰」みたいなもんで。 -
2017年5月25日読了。1985年に発表された、45名もの大物ミュージシャンによるチャリティー曲「ウィ・アー・ザ・ワールド」のレコーディング風景と、その前後での世界的な音楽の変化について読み解く本。衝撃的なタイトルだが、読んで考えてみると80年代前にピークを迎えたアーティストがその後も勢いを維持するケースが稀であり、この曲は単に象徴的なものであって、別に呪っているわけではない、ということか…。メイキング映像はレコーディングの様子、アーティスト同士のやりとりなどが克明に記録され見応えがあるようなので、是非見てみたい。
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奇跡的なひと晩は、どういう文脈で訪れたか?
音楽の内側では白人と黒人の差が小さくなった現在(外側はまだ余裕で修羅の国)。そこに至る過程となった時代。
プレスリーから80年代までを俯瞰し、80年代にあるケタ違いのピークを迎え、そしてそれが作り手としても聴き手としても過大な消費となり、"we are the world以前の旧世代"という枠を作ってしまった転換点。
まだ生まれてないタイミングだったけど、そんな人にも80年代が捉え直せるよいまとめでした。
→次の一冊...プリンス論(同著者) -
2016.9.18