中東から世界が崩れる イランの復活、サウジアラビアの変貌 (NHK出版新書)

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  • NHK出版
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レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884904

感想・レビュー・書評

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  • なんとなく、最近、中東問題に関心があって(きっかけは忘れた)、新書を少しづつ読んでいる。

    イラクに詳しい酒井さんの本を読んで、中東問題は、宗教、宗派の対立というより、欧米中心の国際秩序の矛盾のしわ寄せが中東にきていて、そこに国や民族ごとの経済的利益、安全などを求めたリアル・ポリティクス、ジオ・ポリティクスの問題なのだ、という視点を学びつつある。

    あと、これまで中東といえば、パレスティナが問題の根源と思われていたのだが、いまやそれは問題の背景に下がっているという認識に驚き。

    というなかで、別の著者のものも読んでみようと思って、こちらも読んでみたが、基本、大きな話は一緒なんだな〜。

    こちらは、イランとサウジアラビアの問題がわりと丁寧に書いてあって、イラクに詳しい酒井さんの本と組み合わせるとさらに絵柄はクリアになってくる。

    そして、ISの問題も実は収束に向かいつつある。が、中東に根源的な矛盾が解決し、現状に不満の人々が減らない限り、テロはなくならないという認識にわかってはいても、暗い気持ちになる。

    で、この本を読んでいると、本当にパレスティナ問題への記述が薄いのに驚く。

    この著者は、イスラエル関係の本も結構書いているのだが、この分量の少なさは、本当に印象的だな〜。

  • ニュースの断片的な情報くらいの知識しか持っていないので、大きな中東の情勢を理解することができた。自分自身の理解レベルに合っていたので、とても分かりやすく、興味深く読むことができた。

  • メモ

    P163
    コリン・パウエル
    黒人初の参謀本部議長(制服組トップ)
    湾岸戦争(1990)で圧倒的勝利。
    自身のベトナム戦争の経験から、パウエル・ドクトリンを打ち出した。
    「国民の支持する明確な戦争目的」「圧倒的な戦力を一挙に投入」「出口戦略」

    デイヴィッド・ペトレイアス
    イラク戦争(2003)の指揮官
    テロやゲリラ相手の戦いが増え、パウエル・ドクトリンは時代遅れと提議、「野戦軍用の対ゲリラ戦マニュアル」を編集した。

  • 中東問題はちまたで言われる宗教戦争ではなく、単なる地政学的問題であることを史実から解き明かす。

    二国間の関係にも複数の国が関与していることを広い視野で解説している。

    筆者は日本がこれまで築いてきた「善意の基盤」を壊すことなく独自の中東外交を展開せよと提言する。

    本書が上梓されたのはトランプ政権以前だが、今のアメリカに追随する危険性を予見しているかのよう。

  • 評判がいいのが納得です。コンパクトですが、中東情勢がよく整理されていました。中東諸国をはっきりと“国”と“国もどき”に分けていますが、日本以外の多くの国々はすでにそういう目で見ていて、分割のシナリオもあるようです。非情なグランドデザインを描くのは日本人の苦手科目ですね。

  • 中東の国々の事が良くわかった。特にイランやサウジアラビアは、イメージが違っていた。

  • 第一章 サウジ、イラン「国交断絶」の衝撃
    第二章 イスラム世界の基礎知識
    第三章 「悪の枢軸」・イランの変質
    第四章 「国もどき」・サウジアラビアの焦り
    第五章 国境線の溶ける風景ーアフガニスタン、イラク、シリア、イエメン
    第六章 テロと難民
    第七章 新たな列強の時代へーアメリカ、ロシア、中国、ヨーロッパ、トルコ、エジプト、イスラエル動向
    終 章 中東と日本をつなぐもの


    中東本を何冊か読んだがこれは良い。
    中東研究のスペシャリストがわかりやすく書いてくれた。
    難しすぎない、ちょうどいい、でも深い。(なかなかない)

  • 読了。
    シリア内戦やISの事がニュースにならない日は無いほど混迷を極める中東情勢だが、極力本質論に絞って分かり易く解説した良書。その多くがイスラム教に起因する問題のように誤解されがちだが、本来排他性の強い宗教ではないし、事実オスマン帝国は多民族国家であり、異教にも寛容であった。本書を読むと、結局すべての問題は第一次大戦後のオスマン帝国の解体と、欧米の身勝手な分割統治に起因している事が良く分かる。国家と民族/宗教が全く一致してない以上、どう足掻いても国民意識を統合することなど不可能なのだ。

  • 私は、中東の政治について、全く疎いが、ニュース等で中東のことが知りたいと思ってた時に出会った、非常にわかりやすく、うれしい本。

    中東は「国もどき」≒国家として体をなしていない国がほとんどという表現が、乱暴な表現のようでいて、「そうなんだろうな」と思える説明がしてあった。王様はたまたまその国の中心を治めているだけで、地方は地方で独自に有力者が収めている。王様は内政/外政ともに微妙な駆け引きを行い、国を治めている。という。日本の江戸時代も、ヨーロッパも国といっているが、地方は地方の文化があったということと同じだろう。
    そんな「国もどき」の代表がサウジアラビアであり、そのサウジアラビアの、動きが最近、強国風になっている。。。

    また、シリアについての記述など、民衆を殺戮しているアサドは気の触れた悪魔としか思っていなかったが、アラブの春の流れから、放っておくと自分の命がなくなるため、対応方法を冷静に選択すると、このような非情な結論となるということが分かった。色々な周辺国との駆け引きも「政治」的な判断が重々されていることが分かった。また周辺諸国のそれぞれの視点から見て、アサドを容認するかしないかの差もよくわかった。
    正義は国の数だけあるし、利害関係でそれぞれの国は動いている。

  • イラン人=ペルシャ人と、その他のアラブ諸国=アラブ人という違いがあること。サウジが国家の程を成していないこと等、眼からウロコな話が多く出てきた。まだまだ、マスコミの報道からは知り得ない事がたくさんありそうだ!

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著者プロフィール

1946年新潟に生れる。1980年学習院大学人文科学研究科博士課程修了。文化女子大学名誉教授。著書『スウェーデンボルグの思想』(講談社)『スウェーデンボルグの宗教世界』(人文書院、1997)他。共訳書 カッシーラー『カントの生涯と学説』(門脇・高橋・浜田監修、みすず書房、1986)。

「2019年 『カントの生涯と学説 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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