デジタル・ファシズム: 日本の資産と主権が消える (NHK出版新書 655)

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140886557

作品紹介・あらすじ

DXで、日本が外資に根こそぎ売られる。

コロナ禍の裏で、デジタル改革という名のもとに恐るべき「売国ビジネス」が進んでいる!
GAFAやBATHなど巨大海外資本は今、デジタル化で規制緩和される日本の公共を狙っている。
デジタル庁、スマートシティ、GIGAスクール構想…分野を横断して見ると浮かび上がるのは、
多様性が破壊され画一化が進むだけでなく、知らぬ間に日本の資産と主権が外国企業に奪われる、
決して報道されない未曽有の危機だ。
日本の水や米、海や農地などに値札がつけられ叩き売りされている現状をレポートし、
20万部を突破したベストセラー『日本が売られる』から3年。
気鋭の国際ジャーナリストが緻密な取材と膨大な資料をもとに明かす、「日本デジタル化計画」の恐るべき秘密。

感想・レビュー・書評

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  • 2022年新書大賞第4位作品

    堤未果さんの著作は初めて読みました。きっかけは今年度の新書大賞をググってたら新書大賞ベスト20なんてのが出て来て面白そうなので読んでみたんです。

    新書ってサクッと読めて面白い本があるので好きなんですよね。年間100冊読了を一応の目標としている僕にとっては数字稼げるジャンルが新書なんです(笑

    本書は一言でいうとデジタル賛美の風潮に一石を投じる書ということになります。また現代の自分さえよければという風潮に「今だけ金だけ自分だけの強欲資本主義」と名付けて強烈な批判を試みています。

    日本は公の機関も民間企業も欧米に比べサイバーセキュリティがとんでもなく脆弱なんですよね。セキュリティ対策が手薄なために自衛隊や防衛省はサイバー攻撃リスクに晒され、医療や年金、銀行口座、行動記録に購買履歴など国民の個人情報を守っていた地方自治体の要塞はもはや崩される寸前という著者の主張には同感です。早く気づいて手を打たないととんでもないことになりますよ。

    さらに堤さんに言わせるとデジタルを通じて政府が狙われ、ジャバンマネーが狙われ、日本の教育が狙われているらしいです。まさに警世の書です。

    多少、極端というか大げさに感じる記述もなくはないですが、まぁそれはご愛嬌と受けとめておきました。

    非常に興味深く読めた一冊でした。

  • 令和の黒船。デジタル化の開国要求

    ・無知なるが故、あるいは、力がないが故、結ばざるをえなかった不平等条約の締結の再現(■が相当)
    ・世界の潮流の中で、先の見えない、自己犠牲をともなった、明治維新ばりの制度の大変革の嵐

    勝、坂本、西郷ら英雄なき、逆張り状態の令和の時代に、米中という黒船が再び日本を、植民地にせんがために迫っているようにも思えました。
    著者は、そのような状況を「デジタル・ファシズム」と呼んでいます。

    気になったのは、以下です。

    <データとはなにか>
    ・英国のSF作家アーサー・C・クラークは、こんな言葉を残している。「技術はある地点から、専門家以外には魔法と区別がつかなくなる」
    ・台湾の若きデジタル担当大臣オードリー・タン氏は、社会がデジタル化することによって民主主義が深まるという。人々は共感し合えるようになり、オンラインで対話を重ねながら、同じ一つの問題を解決できるようになるはずだと。
    ・だが、彼女はそこにある一つの条件をつけた。「ただし、決して権力を集中させてはいけない」
    ・セキュリティ対策が手薄なせいで、自衛隊や防衛省は常に某国からサイバー攻撃リストに晒され、医療や年金、銀行口座、行動記録に購買履歴など、国民の個人情報を守っていた地方自治体の要塞は、もはや崩される寸前だ。
    ・デジタルは「ファシズム」と組み合わさった時、最もその獰猛さを発揮する
    ・法則とはいつも、後から来た誰かによって、破られるためにあるからだ。
    ・ショック・ドクトリン:戦争や災害などが起こった時、その混沌に便乗し、政府などの利権につながるルール変更を一気に導入する、新自由主義的手法のことだ。
    ・通常ならば、憲法や法の規制が邪魔して少しずつしか進まないが緊急事態下では驚くほどスピーディーに進むからだ。

    <日本を包み込むデジタル包囲網>
    ■中国の「国家情報法」は、定住者でも国内旅行者でも、中国人である限り、中国当局に求められた時には、持っている情報をすべて提出することが義務づけらえている。
    ・個人情報は1か所に大量に集められるほど、サイバー犯罪に弱くなるのだ。
    ・世界は米中を筆頭に、IT人材の争奪戦が起きている
    ・国民の幸福のために奉仕する公務員にとって最も大事なことは、利益や生産性よりも、公正性だ。だから日本の「官民人事交流法」では、公務員の利益相反を防ぐために、兼業や、出身企業からの給与の受け取りを固く禁じてきた。
    ・デジタル庁は、今世紀最大級の巨大権力と利権の館になるだろう。
    ・「デジタル・ガバメント実行計画」に沿って、各府省や地方自治体のバラバラになったデジタル情報を1つにまとめ、「政府共通プラットフォーム」にしなければならない。
    ・政府は知っているのか。アマゾンが、CIAやNSAなど、米国諜報機関と関連が深い企業であることを
    ■GAFAMなどが、日本でデジタルビジネスをする際に、個人情報などを管理するデータ設備を日本国内におく要求は、2020年1月1日に発行した「日米デジタル貿易協定」によってできなくなっている。
    ・そのことを、トランプは誇らしげに、「4兆ドル相当の日本のデジタル市場を開放させた」
    ■2018年に成立した「クラウド法」によって、米政府は米国内に本拠地を持つ企業に対し、国外に保存されているデータであっても令状なしで開示要求をできるようになっている。
    ■2020年5月27日、「改正国家戦略特区法(スーパーシティ法)」は賛成多数であっさりと成立した。10年前に米シンクタンクが描いた「日本デジタル化計画」はこれで一揆に加速してゆくだろう。
    ■2013年6月14日、安倍政権下で作られた自由なビジネスを邪魔する規制にドリルを開ける「国家戦略特区法案」がひっそりと成立した。

    <地方自治の縮小と解体>
    ・デジタル化の強みであるデータの統合や自動化、効率の追求とそれに伴うサービス民営化という一連のステップを進めていくと、必然的に自治体の必要性は薄まっていく。
    ・総務省は、デジタル化に伴い、地方自治制度を解体する「自治体戦略2040構想」を発表した。
    ・選挙で選ばれた地方議会には介入させず、財源措置をはじめ、地方行政はすべて国が主導する中核都市が運営するので、トップダウンで物事がさくさくきまってゆく算段だ。
    ・日本は公務員数が先進国でもとびぬけて少ない国になった。
    ・自治体の解体、公共部門を民間企業のビジネスにするアウトソーシング、公務員削減と非正規化に、住民の個人情報保護法の規制緩和。これらの点を結ぶと見えてくるのは、世界一企業がビジネスをしやすい環境を目指す<新自由主義政策>だ。

    <サーバ問題>
    ・全世界でデジタル化が進む中、どの国でも神経質になっているのはサーバ問題だ。サーバを制するものはデジタルを制す
    ・だからこれまでサーバは必ず自国内に設置しなくてはならないという条項が入っていた。
    ■しかして、日本をはじめ、RCEPの参加国は、なんとこの条項を削除せよという中国の要求を呑んでしまった。このために、インドは、RCEPから離脱することになった。

    <個人情報>
    ・個人情報は性悪説で守るべし。行政をデジタル化する際、安全保障とともに最大リスクになるのは「個人情報保護問題」だ。
    ・デジタル政府に必要なたった一つのこととは、「公共」の精神だ。

    <キャッシュレス>
    ・日本はいまだキャッシュレス決済率は、約3割と、世界でもまれに見る現金大国だ。
    ・キャッシュレス決済一位は、韓国で、カード地獄
    ・韓国に次ぐキャッシュレス社会の中国は、子どもの成績から、交友関係、自身の思想信条に至るまで、ありとあらゆる個人情報を、アリババとテンセントに吸い取られる
    ・「データ」とは、現代版産業革命の石油だ。
    ■日本の「キャッシュレス化」の足を引っ張る、全銀システム利用料をなんとしても見直せという声を盛り込み、2020年7月に政府が閣議決定したのは、「成長戦略実行計画案」だ。
    ・日本は政府の意向で、今後様々な個人情報が入ったマイナンバカードが、銀行口座と紐づけられようとしている。

    <デジタル通貨>
    ・アクセンチュアは、国連や大手製薬会社、マイクロソフトなどと共同で、RFIDマイクロチップをすべての人間に埋め込む国際デジタル認証プロジェクト<ID2020>を推進している。
    ・マレーシアのマハティール首相は、「ドルを受け入れたら最後、ドルによる制裁で国の成長が阻まれてしまう」といった。
    ・金融を支配すれば、全世界をコントロールできる
    ・匿名性とプライバシーはコインの裏表のような関係だ。
    ■高齢者を危険に晒す悪法が静かに成立した。2021年6月9日に国会を通過した「改正特定商取引法」だ。
    ・デジタル化で利便性が向上するのは、消費者ではなくて、販売者だ。
    ・デジタル化でクーリングしにくくなる。デジタル化してしまえば、契約書の存在には簡単には気づけなくなる。
    ■韓国大手の新韓銀行とゆうちょぎんこうが提携した。顧客の個人情報が韓国に流れるリスクとイコールだ。

    <教育>
    ■自治体の個人情報保護について、2021年5月12日に国会を通過した「デジタル改革関連法」で、大幅に改正された。
    ■2020年7月に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」をみてもわかるように、政府は<オンライン教育>を協力に推進している
    ・情報科の教員は足りず、プログラミング科目は、デジタル教科書を導入しても教える教師がいない。

    目次

    プロローグ
    第1部 政府が狙われる
     第1章 最高権力と利権の館「デジタル庁」
     第2章 「スーパーシティ」の主権は誰に
     第3章 デジタル政府に必要なたった一つのこと
    第2部 マネーが狙われる
     第4章 本当は怖いスマホ決済
     第5章 熾烈なデジタルマネー戦争
     第6章 お金の主権を手放すな
    第3部 教育が狙われる
     第7章 グーグルが教室に来る!?
     第8章 オンライン教育というドル箱
     第9章 教科書のない学校
    エピローグ
    参考文献

    ISBN:9784140886557
    。出版社:NHK出版
    。判型:新書
    。ページ数:288ページ
    。定価:880円(本体)
    。発行年月日:2021年08月
    。発売日:2021年09月01日

  • 「アメリカや中国に遅れをとるなとデジタル技術だけ拙速に導入して大切なことを見落とせば本末転倒だ。前述したように私達大人ができることは公教育という公共の空間の価値を認識すること、そこに入る私企業が子供達の未来や人権を脅かさないよう法の力でしっかり線引きをすることだ。」日本デジタル化計画の裏側がよくわかる本です。

  • 薄々わかっていたようなことがはっきりと書かれていて、知らないけれどこれはやばいと思う話が満載。

    ちょうど知るべき報道がなされるようなタイミングで全然別の大きな報道がなされて、重要なニュースが隠れたり霞んだりすることが多いのもやはり本当なのだなと知りました。どうでもいいニュースをやたらとしつこく煽って、ずーっと引っ張ることが多いと感じていましたが、そういうときには大体国絡みのニュースで隠したいことがあるんだと、今後は気をつけて他の媒体でもニュースを見るようにしようと思いました。芸能ネタばかりやるテレビ報道はもうだめですね。

    レビューではないですがマイナカード、国が地方交付税を「人質」に取ったせいで公務員である身内がマイナ担当部署から職場で「追い込み」かけられて家族である自分もマイナカードを登録させられました。(いいのか?こんなことして 怒)本当にこの国のやってることはおかしいことばかり。堤さんが「諦めてはいけない」と書いているのを読んで本意を隠して屈したことを後悔しました。
    しんどくても嫌なことは嫌、と言っていかなくてはいけないのだと改めて考え直しました。

  • ページをめくるたびにため息が出る。政治家は何してんだ、と。無知のままではいられないと思うけれど、知るほどに不安がつのって辛くなる。
    ただ、エピローグは「どんなにささやかに思えたとしても、私たち消費者の取る行動は、水に投げた小石が幾重にも輪を広げるように、必ず社会を変えるのだ」と強い言葉で締めくくっていて、ちょっと元気が出た。
    便利さと引き換えに何を失うのかを、きちんと考えねば。

  •  堤さんの本はなるべく読むようにしていて、紹介される恐ろしい未来が後に現実問題として身近に迫る。水道民営化など、ずっと前から本で知っていた。今回も恐ろしい話題が分かりやすく紹介されている。

     小1の長男が学校からipadをもらってきて、最初は子どもにこんなタブレットなんかよくないと思っていたけど、家でもタイピングや文字の手描きの練習など熱心にゲーム感覚でやっていて、すごくいいものではないかと考えを改めた。最近はプログラミングで簡単な動画を作って遊んでいる。しかし、この本で紹介されたまさに教育がデジタル企業など支配者側に狙われている真っ只中であることに驚愕する。

     油断することなく、取り組みには注視が必要だ。

     ペイペイなど胡散臭いと思う以前に億劫でキャッシュレス化せず、ほぼ現金決済しているのもむしろよかった。

  • 堤未果氏は、ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒、ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士課程修了、国際連合婦人開発基金(UNIFEM)勤務、NGOのアムネスティ・インターナショナル・ニューヨーク支局員、アメリカ野村證券勤務を経て、フリーのジャーナリスト。『ルポ 貧困大国アメリカ』(2008年)はベストセラーとなり、日本エッセイスト・クラブ賞、新書大賞を受賞。アメリカや日本における社会問題に関するルポ、ノンフィクション作品の執筆多数。
    本書は、行政、金融、教育の分野で進むデジタル化の裏側に、GAFAをはじめとする外国のテック企業が存在する事実と、そこに潜むリスクを明らかにしたもので、2022年の新書大賞第4位を受賞した。
    著者は、2019年の新書大賞第4位の『日本が売られる』の中で、水、土、農地、森、海、仕事、学校、医療、個人情報ほか、あらゆる、日本人の資産・日本人の未来を方向付ける制度が、「今だけ金だけ自分だけ」の強欲資本主義の餌食となり、ビジネスの対象になっている(=売られている)ことを示したが、本書では、それから僅かの間に、政府・当局が強力に推進するデジタル改革の名のもと、行政、金融、教育という極めて重要な分野で、外資による支配が加速度的に進んでいることに、改めて警鐘を鳴らしている。
    本書では、デジタル化の進展は、スマートシティ、キャッシュレス化、デジタル通貨、GIGAスクール構想、オンライン教育のような具体的な成果を通して、一見、我々の生活を格段に快適にしてくれるように見えるのだが、そのためには様々な情報の集中が不可欠なのであり、情報の管理の方法を間違えれば、それらはどこまででも悪用されかねない、即ち、快適さとリスクは表裏一体であることをわかりやすく説明している。
    そして、それらの情報の集約が、米中の巨大テック産業によって為されつつあり、それにも関わらず、日本政府に危機意識が希薄であることを、一義的に問題視しているのだが(このような書き方が、一般読者にはわかり易いからだと思われる)、著者の本質的な問題意識は、更に、こうしたデジタル化が、人間の生や社会の在り方を根本的に変えてしまうリスクがあることに向けられている。本書の中には(確か)出てこないが、情報の一元管理は、ジョージ・オーウェルの『1984年』やオルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』に描かれたディストピアにおける必須条件であり、初期的ステージとさえ言えるのだ。著者が題名に「ファシズム」という言葉を使った意味はそこにある。
    本書には、文科省の公式ホームページに貼られた「学校における一人一台端末環境」公式プロモーション動画の中にある、小学生の女児が手元のタブレットを見ながら、あどけない笑顔で、「タブレットがないと、全部自分の頭で考えないといけない」と語る場面が引用されているが、自分の頭で考えることなく、情報を一元管理している「誰か」に全てを教えてもらい、決めてもらう。。。そして、その「誰か」とは、最早人間ではなくAIかも知れないのだ。。。背筋が寒くなる世界である。
    よって、我々が本書を読んで考えなくてはならないのは、情報を外国に支配されることの是非に留まらず、情報の取り扱い方が、我々人間の未来を左右することを理解した上で、我々はどのような未来を望むのかということなのである。
    著者が明らかにする事実は、いつもながら、我々に厳しい現実を突き付けるが、裏を返せば、我々にはまだ方向転換をする余地は残されているのであり、そのきっかけにしたい一冊である。
    (2023年11月了)

  • S図書館
    テクノロジーの華やかさとスピードの裏で、この国に迫り来る危機と宝物を守るため、心ある日本の人々に伝えたいと思い書いた本(プロローグ)

    《感想》
    内容は非常に為になった
    著者の考えは少なめで、事実を突きつけ、あなたはどう考えるかということだろう
    デジタルの裏側、ショックドクトリンの内容の新自由主義も触れられていた
    批判が多く述べられていたので、まるで反政府のような感じがした
    調べたら堤氏の配偶者は、立憲民主党の参議院の方だった
    だからか?と頭によぎった
    もし与党だったらこの本を書いただろうか?
    疑問が残る
    だとしても、政府に有利な法案が、何かの裏でひっそりと可決成立していたという事実が数多くあった
    知らないでは済まされない
    真実知る努力をしないといけないな

    デジタル関係では、日本人のプライベートは、米中韓に見られていると言っても過言ではないことがわかった
    Google、Twitterはアメリカ
    LINE、TikTok、zoomは中国
    ゆうちょ銀行は韓国(新韓銀行と業務協約)
    ある意味、日本人のデータや資産類が人質になっているということはないだろうか
    ○○しないならデータを開示するぞとか、すでにデータを見たうえで、○○できるじゃないかのような、各国の強気の態度が将来出てくるのではないかと心配になる
    それに日本のセキュリティは何もかも脆弱ということを念頭に、厳選して使い、自分でできる範囲の守りをしないといけない

    教育の面で素晴らしいことが書かれていた
    デジタル世代の子供達の教育は、今の大人の私達に責任がある
    下記のように堤氏は考えている
    デジタルは単なる手段でデジタルありきでないと思う
    この点は賛同する

    引用
    270 AI は問いをくれない
    くれるのは 答えだけ
    もし人間から問う力がなくなれば考える力も失ってしまうだろう
    人間にとって大事なのは問うことなのだ

    271倫理観や哲学は、人間が内側の世界を深めたり、それによって見ている世界を大きく拡げたり、間違った方向に暴走しようとした時、 私たちが人間らしさを失わないために、原点に戻って踏みとどまるための羅針盤になる

    テクノロジーと教育の関係を、もう一度 じっくり考え直すことだろう

  • 知らなかった事、そんな風に考えた事がなかったような内容が多く充実した読書。

    個人情報を扱うデータサーバーを日本に置けない?
    日米デジタル貿易協定。僅か30時間で通過し、20年1月に発効。Amazonなどの企業が日本でデジタルビジネスをしても、個人情報を管理するデータ設備は日本におく事を要求できない。トランプは、誇らしげに、440兆円の日本のデジタル市場を開放させたとコメントしている。他にも、日本国内で用いられるZOOMやLINEが海外サーバーを経由する事は良く知られている。海外サーバーに個人情報が管理されていれば、活用されるリスクは常にある。

    他にもスーパーシティやデジタル給与構想PayPayの提携会社、SB Iホールディングスの北尾社長と竹中平蔵社外取締役。竹中が社外取締役を務めるオリックスでもまた、自社がPayPayを日本に導入する際の仲介ビジネスによって潤う。

    デジタル給与、仮想通貨については、ドル離れの思惑も錯綜する。アメリカの連邦準備制度理事会FRBはドルを刷るたびに、原価を差し引いた残額を国債として政府に貸し付けて利子を得る、通貨発行益と言う巨大な利権がある。貿易決済に使われる事で、他国に対する強力な政治力となる基軸通貨でもある。アメリカの意に沿わない国に対しては経済制裁の名のもとにドル決済を停止することができる。デジタル通貨によってこれらが力を失う。

    中国は決済システムををドル決済のSWIFTではなくCIPS人民元クロスボーダー決済システムに移行している。虎視眈々と。中国は賢い。だから嫌われる。日本は嫌われもしない。大丈夫か?

    終戦直後の1946年、日本で行われた預金封鎖。2024年からお札が新デザインに切り替わる。旧貨幣を預金封鎖すれば、新札への交換に際して一人ひとりの資産が明らかに。それに財産税をかけることも可能。当時の預金封鎖は、財産税徴収が目的だったと言うことが明らかになっている。マイナンバーと銀行口座を連動させることで、個人資産把握も可能。預金封鎖なんてあり得るか?しかし、マイナンバーと口座紐付けは、何やらきな臭い。なお、期待するタンス貯金は2020年12月時点で101兆円と過去最高。

    他にもサンフランシスコで毎年開催されるハビットカンファレンス(人間の習慣に関する会議)では中毒性を極限まで高められるかについて真剣に話し合われている等。

    支配され、操作される。知らぬうちに、侵食される。スマホ中毒、情報操作。よく勉強し、自衛しなければならない。

  • 教育のデジタル化は一気に進み、その反省が出てくるのは何年後か。

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著者プロフィール

堤 未果(つつみ・みか)/国際ジャーナリスト。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒業。ニューヨーク市立大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券を経て現職。米国の政治、経済、医療、福祉、教育、エネルギー、農政など、徹底した現場取材と公文書分析による調査報道を続ける。

「2021年 『格差の自動化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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