禁断の進化史: 人類は本当に「賢い」のか (NHK出版新書 689)

著者 :
  • NHK出版
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140886892

作品紹介・あらすじ

私たちは、「バカ」だったから繁栄した!?

人類は他の生物より、知能が高く、そのために文明を築き成功することができた、と思われている。果たしてそうだろうか。知能の高さと生物の繁栄は直結しているのか? なぜ知能だけでなく、意識が進化したのか? 脳の大きいネアンデルタール人が滅んだのはなぜか? 生物進化についてのわかりやすい解説が人気の著者が、人類史の大きな謎に迫る!

感想・レビュー・書評

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  • 絶滅の人類史を読み、大変感動したのでこの本も期待して読みました。
    やっぱり面白かったです。

    タイトルが鮮烈すぎると思いますが。
    このタイトルの意味を知った時には読み終えているという…。最後の最後にわかりました。そういう事かと。
    絶滅の人類史のラストにも似た、SFチックな、
    と言ってはこの本を読んだ意味がないのかもしれないけど、とにかくちょっと夢を見ているような、締めくくり方でした。
    ネアンデルタール人に会ってみたいな。
    私たちホモサピエンスとネアンデルタール人が共存していたら、いったいどんな社会が出来上がるんだろう?

    この本の後半は脳と意識の話だったけど本当に面白かった。手元に置いておきたい本、2冊目です。1冊目はもちろん、絶滅の人類史です。

  • 大変面白かった。が、やはり意識とは何でどのように生じるかという核心には迫れなかった。やはりそこは神の領域なのだろうか。途中から、意識がなぜ進化上必要となったのか説明が始まりわくわくしたが、結局意識=生きること=目的と結論付けているのはやはり月並みだなと感じてしまった。
    意識がなぜ生じたか、どのような理由があって意識レベルが高いホモサピエンスが生き残ったのか。画一的な行動しかとれないと環境の変化に対応できない。結果高度な判断力を有する個体が生き残り意識が生まれた、、、理解はできるが、意識とは何かという核心は結果わからない。

  • 後半部分からがこの本の本論だろう。意識がどう進化したか。しかし分かってないことが多すぎるせいだろうか、ほとんど結論的な事はない。ます意識とは何かをきちんと定義するところからか。

  • 大変面白かった。
    ・植物状態の人間でも意識があることはある
    ・無意識状態の方が生存能力が高い(盲視:盲目の人がものを避けて歩ける)
    ・チンパンジーも人と枝分かれしてから進化している
    ・ネアンデルタール人が間氷期まで生き残っていれば、繁栄していたかもしれない

    1カ所おかしいと思ったのは、「生きる」とは「生存して繁殖する」と言いながら、「生きる」ことを目的とした自然淘汰と「意識」の存続を目的とした自然淘汰はときに相反すると言ってること。意識を存続すると言う事は(自分が)「生存」することを意味するのだから、重なっている部分と相反する部分がごっちゃになっている。整理するなら「意識」の存続を目的とした自然淘汰は繁殖(種として生き残る)とは相反すると言うべきではないか。

  • タイトルほどのインパクトなし。
    後半は「意識」に焦点を当てています。

    印象的だったのは
    ・植物状態でも意識がある人はけっこうな割合(数字忘れた)でいる。
    ・脳の損傷で視覚を失った人は目で見た映像を写せないだけで、障害物をさけて歩くことができる。
    ・意識が必ずしも生存に有利とは限らない。

  • 700万年ほど前にヒトはチンパンジーと分かれた。そう言われると、ヒトはチンパンジーのような姿からこの700万年をかけていまの姿に進化してきたように思ってしまう。でもちょっと考えると分かることだが、チンパンジーだって700万年の間、何も変わっていないなんてことはあり得ない。手足の長さや形、ナックルウォークなど、おそらく進化の上でいまのようになってきたのだろう。とすると、700万年前の我々の祖先の姿はどんなだったのだろう。そして、2足歩行はいつから始めたのだろう。本書を読むとどうも、もっと前から木の枝の上で2足歩行をしていた可能性があるそうだ。身体はもっと小さかっただろう。けれど頭骨の化石などを調べることでどうやら頭を上にして立っていた可能性があると分かってきているようだ。おもしろい。後半は進化から意識の問題に大きくテーマが変わっている。本書を読み終えてすぐ妻にお願いしたのは、もし僕が植物人間になったら延命措置を続けてほしい、ということ。夏目漱石もどこかで書いていたが、外からは意識がないと見えていても、実はちゃんと聞こえていて、意識がもどったときに自分が死んだらどうこうと話されていた内容を憶えていたという。そういうことは本当にありそうに思う。出力はできないが入力はある状態。僕はそういう状態はもういたたまれない気分だろうと思っていたが、案外幸福と感じていた人々の割合が多いらしい。ひょっとするとずっとお花畑にでもいる気分なのだろうか。まだまだわからないことは多いものだ。いや、分かれば分かるほど分からないことが増えるというのが真実なのだろう。

  • 2023/01/03 amzon 1,023円

  • 2023年、40冊目です。

  • 昔に地質学を学んだ者ですが、分子古生物学という分野があることを知りませんでした。確かに、DNAを利用するとなると「分子」という言葉が適切なんだなぁと妙に納得しました。

    • roytadaさん
      後半は今のChatGPTの将来を考えるのに最高のタイミングです
      後半は今のChatGPTの将来を考えるのに最高のタイミングです
      2023/03/13
  • 進化と意識についての話。
    どこまで科学的裏付けがあるかが分かりづらかったが、意識は脳の神経細胞の統合的な結合であり、パワーを使うことからそこがトレードオフになってちょうどいい塩梅に小脳の条件反射と意識を司る大脳が両方進化したと。
    さくっと読めて面白かった。

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著者プロフィール

更科功
1961 年、東京都生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業。民間企業を経て大学に戻り、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。専門は分子古生物学。現在、武蔵野美術大学教授、東京大学非常勤講師。『化石の分子生物学――生命進化の謎を解く』で、第 29 回講談社科学出版賞を受賞。著書に『若い読者に贈る美しい生物学講義』、『ヒトはなぜ死ぬ運命にあるのか―生物の死 4つの仮説』、『理系の文章術』、『絶滅の人類史―なぜ「わたしたち」が生き延びたのか』など。

「2022年 『人類の進化大百科』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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