うぬぼれる脳: 「鏡のなかの顔」と自己意識 (NHKブックス 1054)

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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140910542

作品紹介・あらすじ

脳は、鏡に映った像をいかに自分であると認識するのか。他人の心を読み取る能力は、脳のどこで発揮されるのか。チンパンジーやサルなど他の霊長類との比較検討をふまえ、「私が私である」という自己意識や「私」と「あなた」を弁別するナルシスティックな力が右脳優位で生じることを明らかにする。言語能力と結びついた左脳を重視する通説を覆し、「自己の右脳局在説」で脳科学の常識に挑む衝撃の書。

感想・レビュー・書評

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  • 邦訳題の「うぬぼれる脳」というのは本書の主題とだいぶ異なっている。原題の通り鏡のなかの顔の方が内容を適切に表している。うぬぼれる脳というタイトルから、ヒトが自己を評価をする時に如何にバイアスをかけてしまうかという内容を期待してしまったが、ほとんどは「セルフ・アウェアネス」にまつわる動物や人間の実験事例。

    最終章「セルフ・アウェアネスはなぜ存在するか」で実際のヒトの行動が出てきて、ようやく面白く読んだ。

    セルフ・アウェアネスを獲得する2歳を過ぎると、ヒトはウソを付くことを覚える。ほとんどの子どもが嘘をつく。心の理論課題の成績のいい子どもの97%が嘘をついたのに対し、成績が悪かった子どもは56%だった。相手の心を読むのが上手になるほど、欺瞞を働く見込みも高くなる。

    ではなぜヒトは欺瞞を見抜く対抗手段が発達しなかったのだろうか?

    男女の学生を対象にした実験では、女性は欺瞞者を分けるのがうまく、男性はあてずっぽうで推測しているようだった。面白いことに、男性は女性に比べて欺瞞を見抜く成績が悪かったにもかかわらず、自分の判断に自信を持っており、逆に非常に成績がよかった女性のほうは、それほど確信を持っていなかった。また女性は男性の嘘を見抜くほうが、同姓の嘘を見抜くより上手い。

  • ★様々な実験をとおして、自己と他者の関係性の問題を考察している。自分を客観的に省みることによって、自分の心を相手に投影することが可能となり、その結果、他者の立場を想像する能力が生じる。という見解を導きだしている。
    この本の面白いところは様々な実験の様子、そして理科系脳を持たない私には、実験に望む前の仮説の立て方が(文章としては書かれていないが)理詰め感があったこと。そして、人間にセルフ・アウェアネスを獲得する過程とその実験。
    この本をきっかけに、街で見かける乳児達の眼差しの奧を探ろうとする癖がついてしまったほどだ。
    2013.09.15

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00136384

  • 対象分野の研究の歴史と実験の過程の報告部分が大半を占め、しかも、それが一般読者の目線ではなく研究者本人の目線で説明されているため、非常に退屈。1/3ほど進んだところで読むのをやめてしまった。、結局、「うぬぼれる脳」とはいかなる意味なのかすらわからずじまいだった。対象分野に心底興味を引き付けられないと、前編読み通すのは至難の業だろう。前に読んだ「暗号解読」が暗号研究の歴史を紐解きつつ、うまくスリリングある記述にまとめあげていたのと対照的。

  • [ 内容 ]
    脳は、鏡に映った像をいかに自分であると認識するのか。
    他人の心を読み取る能力は、脳のどこで発揮されるのか。
    チンパンジーやサルなど他の霊長類との比較検討をふまえ、「私が私である」という自己意識や「私」と「あなた」を弁別するナルシスティックな力が右脳優位で生じることを明らかにする。
    言語能力と結びついた左脳を重視する通説を覆し、「自己の右脳局在説」で脳科学の常識に挑む衝撃の書。

    [ 目次 ]
    序章 意識とはなにか
    第1章 鏡のなかの顔-意識をいかに測定するか
    第2章 己を知るチンパンジー-鏡のテストと類人猿
    第3章 自己が芽生えるとき-セルフ・アウェアネスの発達
    第4章 あなたが知っていることを私は知っている-心の理論
    第5章 右脳は劣位か-脳の構造と機能
    第6章 脳はどこで自分を見るのか
    第7章 自己を失った脳
    第8章 私とあなたが出会うところ
    第9章 セルフ・アウェアネスはなぜ存在するのか?-新しい脳のモデルを描く

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  • ミラーニューロンについて興味があって借りてみた。このころから脳科学にのめりこんでいった気がする。

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