寿命論 細胞から「生命」を考える (NHKブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140911280

作品紹介・あらすじ

なぜ「寿命」という決められた死が存在するのか。じつは寿命は原初の生命には存在せず、有性生殖の誕生と共に生まれたものである。遺伝子の働きからタンパク質の生滅、細胞器官の挙動までゆらぎを孕む生命システムのメカニズムを明らかにし、ゾウリムシからヒトまでの寿命の法則を吟味することで、生物の多様な生と死の姿を描き出す。原核細胞から真核細胞へという進化のドラマを追い「死」を取り込んだ生命の進化戦略に迫る渾身の生命論。

感想・レビュー・書評

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  • 寿命の定義:受精から死に至るまでの個体の継続期間。種子の期間を含む。

  • 著者はずっとゾウリムシを使って研究を続けてきた。ずいぶん前に「生物の寿命と細胞の寿命」という本も読んでいて、本書はその後の研究成果が書かれているようだったので、すぐに購入し読み始めた。が、難しい。高校生物の知識がほとんど薄れてしまっており、読んでいてもすんなりと入ってこない言葉が多い。特にジャームとソーマという言葉は大変重要なキーワードで、全編に渡って登場するのだが、どうもしっくり来ないまま読み終わった。というレベルの理解度なのだけど、確かに単細胞の生物が分裂を繰り返して増えていく場合、それは永遠に続く命と考えていいのだろうか、その生物の寿命っていったいどう決めればいいのだろうか、という問いがおもしろそうだということはわかる。永遠の命を失うにも関わらず、なぜ生物は有性生殖を選択してきたのか、その問いの答えが、今まで言われてきた、環境の多様性に適応するため、というだけではなさそうだ、という話もおもしろい。とにかく、テーマはとっても興味深いのです。もう少し、分かりやすく、エッセンスを教えていただけるとうれしい。(少し前に読んだ同じNHKブックスの「細胞の意思」という本も難しかったから、ひょっとして、これは日本放送教会の編集者の問題なんだろうか・・・。それとも単に、私の生物に対する知識不足か。)

  • 原核生物からの進化により死を取り込んだ真核生物。なぜそのようになったのか、ゾウリムシを長年研究してきた著者が、これまでの研究を総動員して考察した渾身の一冊。

    トピックは多岐に渡るが、必ずしも寿命が最長となるように遺伝子が設計されているわけではなく、特定の細胞に"機能不全"を起こすと寿命が伸びる。これは非常に興味深かった。

  • [ 内容 ]
    なぜ「寿命」という決められた死が存在するのか。
    じつは寿命は原初の生命には存在せず、有性生殖の誕生と共に生まれたものである。
    遺伝子の働きからタンパク質の生滅、細胞器官の挙動までゆらぎを孕む生命システムのメカニズムを明らかにし、ゾウリムシからヒトまでの寿命の法則を吟味することで、生物の多様な生と死の姿を描き出す。
    原核細胞から真核細胞へという進化のドラマを追い「死」を取り込んだ生命の進化戦略に迫る渾身の生命論。

    [ 目次 ]
    第1章 寿命にはさまざまな形がある(動物の寿命・植物の寿命 個体の寿命・細胞の寿命 ほか)
    第2章 寿命と遺伝子の関係を探る(生命表と生存曲線 遺伝子で寿命はどう変わる ほか)
    第3章 「寿命の法則」を考える(有性生殖はなぜ寿命の始点となるか 時間・体重・エネルギー消費量 ほか)
    第4章 寿命の進化をたどる(細胞進化の方向性 原核細胞から真核細胞へ ほか)
    終章 寿命から「生命」を考える(寿命とは何か 寿命とは抑制系の進化である)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 読売新聞2011.02.27朝刊。科学面で紹介されていました。

  • 有性生殖と寿命の関係を掘り下げているらしい…面白そう。

  • なぜ「寿命」という決められた死が存在するのか。じつは寿命は原初の生命には存在せず、有性生殖の誕生と共に生まれたものである。遺伝子の働きからタンパク質の生滅、細胞器官の挙動までゆらぎを孕む生命システムのメカニズムを明らかにし、ゾウリムシからヒトまでの寿命の法則を吟味することで、生物の多様な生と死の姿を描き出す。原核細胞から真核細胞へという進化のドラマを追い「死」を取り込んだ生命の進化戦略に迫る渾身の生命論。

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著者プロフィール

1941年生まれ.理学博士.奈良女子大学名誉教授.1965年静岡大学卒業,京都大学大学院理学研究科入学.1969年同博士課程中退,京都府立医科大学教養課程助手,講師(1974).1975年奈良女子大学理学部助教授,教授(1994),理学部長(2000).1981年ワイオミング大学(米)・ミュンスター大学(独)客員研究員.1988年日本動物学会論文賞.2005年奈良女子大学定年退職.

主な著書
『生物の寿命と細胞の寿命―ゾウリムシの視点から』(平凡社1993),『寿命論―細胞から「生命」を考える』(NHK出版2009),『有性生殖論―「性」と「死」はなぜ生まれたのか』(NHK出版2014).共著に『Paramecium』(Springer 1988),『生命システム』(青土社1997),『ゾウリムシの遺伝学』(東北大学出版会1999),『ダイナミックスからみた生命的システムの進化と意義』(国際高等研究所2008),『生きものなんでも相談』(大阪公立大学共同出版会2009),『生き延びること』(慶応義塾大学出版会2009),『生物進化の持続性と転移』(国際高等研究所2011),他.

「2018年 『生老死の進化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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