フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』 2021年2月 (NHK100分de名著)

著者 :
  • NHK出版
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784142231225

作品紹介・あらすじ

「黒い皮膚」の精神科医が肉迫した差別の構造、その葛藤の軌跡とは。今こそ必読の書。

フランス領カリブ海マルティニークで生まれたフランツ・ファノン(1925-1961)は、アフリカから連れてこられた奴隷の子孫である「黒人」として、さまざまな差別を経験する。人間の自由と平等を信じ、戦時中は自由フランス軍へ志願し、戦後は本国フランスで学んで精神科医となった彼は、「白人」によって「黒人」がつねに劣った存在としてまなざされ続ける現実に激しい怒りと疎外感を覚える……。
精神科医としての医学的知見を動員して人間を観察し、文学作品に描かれた「白人コンプレックス」にも考察を伸ばし、人間の心理に深く内面化された差別の構造に迫ろうとしたファノン。彼の葛藤と思想的足跡が綴られた本書は、いま私たちに何を気づかせてくれるのか。植民地主義がいまだ影を落とし、同胞が差別しあう現代において、人間が抑圧から「解放」されるには、いかなる思索や視点が必要なのか。
現代の文学作品に投影された差別の実状や、ファノンが生きた時代の歴史的背景もふまえつつ、フランスのカリブ海文学に造詣の深い作家・小野正嗣氏が、「ブラック・ライヴズ・マター」を考えるうえでも必読の本書に込められたメッセージを読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 差別体験を描く 胸を刺すように響く、切実な言葉 作家・小野正嗣〈朝日新聞文芸時評21年1月〉|好書好日(2021.02.06)
    https://book.asahi.com/article/14153656

    名著106「黒い皮膚・白い仮面」:100分 de 名著
    https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/106_fanon/index.html

    100分de名著 フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』 2021年2月 | NHK出版
    https://www.nhk-book.co.jp/detail/000062231222021.html

  • 「フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』」小野正嗣著、NHK出版、2021.02.01
    131p ¥576 C9410 (2021.04.04読了)(2021.01.26購入)

    【目次】
    【はじめに】問い続ける勇気を与える書
    第1回 言語をめぐる葛藤
    第2回 内面化される差別構造
    第3回 「呪われたる者」の叫び
    第4回 疎外からの解放を求めて

    ☆関連図書(既読)
    「人種とは何か」寺田和夫著、岩波新書、1967.10.20
    「黒い積荷」マニックス著・土田とも訳、平凡社、1976.03.18
    「ぼくの肌は黒い」吉田ルイ子著、ポプラ社、1978.07.30
    「ハーレムの熱い日々」吉田ルイ子著、講談社文庫、1979.01.15
    「南ア・アパルトヘイト共和国」吉田ルイ子著、大月書店、1989.02.20
    「アパルトヘイトの子どもたち」吉田ルイ子著、ポプラ社、1990.04.
    「南アフリカの新しい風」吉田ルイ子著、大月書店、1995.12.08
    「少女マギー」吉田ルイ子著、ポプラ社、1996.05.
    「南アフリカ「虹の国」への歩み」峯陽一著、岩波新書、1996.11.20
    「私は黒人奴隷だった」本田創造著、岩波ジュニア新書、1987.08.20
    「アメリカ黒人の歴史 新版」本田創造著、岩波新書、1991.03.20
    「キング牧師」辻内鏡人・中條献著、岩波ジュニア新書、1993.06.21
    「キング牧師とマルコムX」上坂昇著、講談社現代新書、1994.12.20
    「「風と共に去りぬ」のアメリカ」青木冨貴子著、岩波新書、1996.04.22
    「アメリカの階梯」西垣通著、講談社、2004.09.07
    「大江健三郎『燃えあがる緑の木』」小野正嗣著、NHK出版、2019.09.01
    (アマゾンより)
    「黒い皮膚」の精神科医が肉迫した差別の構造、その葛藤の軌跡とは。今こそ必読の書。
    フランス領カリブ海マルティニークで生まれたフランツ・ファノン(1925-1961)は、アフリカから連れてこられた奴隷の子孫である「黒人」として、さまざまな差別を経験する。人間の自由と平等を信じ、戦時中は自由フランス軍へ志願し、戦後は本国フランスで学んで精神科医となった彼は、「白人」によって「黒人」がつねに劣った存在としてみなされ続ける現実に激しい怒りと疎外感を覚える……。
    精神科医としての医学的知見を動員して人間を観察し、文学作品に描かれた「白人コンプレックス」にも考察を伸ばし、人間の心理に深く内面化された差別の構造に迫ろうとしたファノン。彼の葛藤と思想的足跡が綴られた本書は、いま私たちに何を気づかせてくれるのか。植民地主義がいまだ影を落とし、同胞が差別しあう現代において、人間が抑圧から「解放」されるには、いかなる思索や視点が必要なのか。
    現代の文学作品に投影された差別の実状や、ファノンが生きた時代の歴史的背景もふまえつつ、フランスのカリブ海文学に造詣の深い作家・小野正嗣氏が、「ブラック・ライヴズ・マター」を考えるうえでも必読の本書に込められたメッセージを読み解く。

  • 言葉の大切さを知ることができました。

    植民地化されること、
    使うことが望ましいとされる言語を与えられること、
    言葉や言語に優劣をつけられること、
    そのことが、アイデンティティに大きな影響を与えること。

    本書から大きな悲しみの声が、聞こえた気がしました。

  • 黒人を作るのは、他者の眼差しである。
    白人の眼差しによって黒人が規定される。

    一定の状況を引き受けたり否定したりすることのできるのが、可能性="自由"である。

    精神病院という制度を人間化しながら、疎外されてきた患者らの人間的価値を回復させること。

    ニグロの使命はない。白人の重荷はない。
    ニグロは存在しない。白人も存在しない。

    白人に過去の償いは求めない。
    しかし、今、そして今後人間が他の人間を踏み躙ることがあれば、断じて許さない。

  • 21/01

  • 簡潔!原本が難しいのでとっても助かりました。

  • この冊子だけだとなかなか難しかった。テレビと並行して読んだから理解ができた感じ。

    内容としては、差別の根深さを改めて感じた。
    白人、黒人といった表現自体が差別表現。

    誰しもが持っている差別意識に向き合うことが重要なのだと改めて思った。

    テレビの最終回の伊集院さんの言葉
    知ろうとし続けることが必要。それがなければ社会の分断になる。
    そして相手を理解したと思ってもいけない。偏見に繋がる。
    そうだなぁと思う。


  • 1.文化的強制
    白人社会の文化を幼少期より自然に刷り込まれる。
    例 映画では白人の主人公。黒人の獰猛な野蛮人。

    ファノンの視点
    フランス人 > アンティル人 > セネガル人
    自身もセネガル人を差別している!!

    フランス人の視点
    フランス人 > アンティル人=セネガル人=ニグロ

    「他者の眼差しによって、自身の価値が規定されてしまう」

    4.
    人間の自由とは、自身で「ウイ」、「ノン」と選択ができることである。
    そこに人種の違いは存在しない。
    社会との関係性を選択できる自由があるか、どうか。

  • 問い続けること。描き続けること。これでよしとしない。それが差別の始まり。

  • P5 L7、後ろL5 P6 L1 P13 L7 P28 L9 P31 L6 P33 後L4? P34 L7、後ろL2 そぐうまい? P39 後L6 P40 L1 P42 L3 P43 後L6 P56 後ろL4 P58 L2 P60 L3 P63 L9 P77 L1 P82 L10 P107 L4 P117 L4 P121 L2

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著者プロフィール

1970年大分生まれ。東京大学大学院単位取得退学。パリ第8大学文学博士、現在、明治学院大学文学部フランス文学科専任講師(現代フランス語圏文学)
著書に『水に埋もれる墓』(朝日新聞社、2001年、第12回朝日新文学賞)
『にぎやかな湾に背負われた船』(朝日新聞社、2002年、第15回三島由紀夫賞)

「2007年 『多様なるものの詩学序説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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