- Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150019273
作品紹介・あらすじ
特捜部Qに閉鎖の危機が訪れる! 検挙率の上がらないQには周囲から厳しい目が注がれていた。そんな中、王立公園で老女が殺害される事件が発生。さらには若い女性ばかりを襲うひき逃げ事件が――。次々と起こる事件に関連は? 一方、ローセは苦悩の淵に……
感想・レビュー・書評
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「俺たち三人で見つけたんだ」
はいQチーム(あ!)の物語は今回も面白かった!
使い古されたストーリー展開なんですが、ベタ展開好きなので問題ないです
いわゆる読者には見えてるけど登場人物には見えてないという奴です
核心のすぐ近くを行ったり来たりする主人公たち、でも気付かない
もうめっちゃやきもきするやつ
アサド!錯覚じゃないよ踏み込んじゃって!
カール!その扉開けるんだってば!
志村!後ろ後ろ!って奴よね
いや志村出てなかったわ
志村はチームQじゃなくてチームDだったわ
そしてボンクラ野郎だったゴードンがなんだか急成長
ちょっとうれしい
結局さー、惚れた女にいいとこ見せたいってのが男を一番成長させるのよね -
未解決事件を扱う<特捜部Q>シリーズ第七作。
前作「吊るされた少女」事件から二年が経った2016年の設定。
一番気になっていたアサドの親指の状態だが、やはり無事というわけにはいかなかったようだ。だがアサドも特捜部Qリーダーのカールも、内面の混乱はともかくとして表面上は日常を取り戻しているようだ。
一方で前作の終盤から様子のおかしかったローセが、二年経った現在も仕事ができないほどの酷い精神状態に陥っている。そしてついには精神科に入院という事態で一時的に特捜部Qから離脱という状況だ。
今回の作品は今までと構成を変え、現在進行形の事件と特捜部Q側とで並行していくスタイルを採っている。
現在進行形の事件は後に特捜部Qが追っている過去の事件と繋がることが分かるのだが、それは更にローセとも繋がり、出来過ぎと取るのか奇妙な因縁と取るのかは別として、いずれにしても先が気になるサスペンスタッチである。
副題は「自撮りする女たち」(原題「SELFIES」)だが、「自撮り」がテーマというよりは、身勝手な女たちといった感じ。
社会福祉政策が充実しているデンマークゆえのもう一つの顔、つまり権利は主張するがそれに伴うやるべきことはやらない人間たちがここにもいるということだ。
そうした人たちを相手にする福祉課の職員も日々不満を抱えている。最近よく聞く言葉で言えば『モヤモヤ』だ。
自分はこんなに頑張っているのに、なぜ自分より楽をしている人間がなぜ自分より良い目に遭っているのか。
こういう感覚は誰もが持つことだろう。よく聞くハラスメント問題もこういう『モヤモヤ』が発端になっていることが多い。
自分と周囲を比べても仕方のないことと分かっていても、仕事でそうした人間に接しなければならない人にとってはかなりのストレスだろう。
だが面白いことに、そういう身勝手な女たちの中でも互いに『モヤモヤ』を感じている。つまり、自分はこんなに頑張って補助金を引き出すためのアイデアを出したり体を張って頑張ってるのに、彼女は何もしないで楽をしている、みたいな。
読んでいるこちらからすれば五十歩百歩、どっちもどっちだろ、と言いたいところだが、身勝手な女たちや福祉課職員のそういう『モヤモヤ』はついに暴走を始め、殺意まで芽生えさせるのだ。
正直言って、身勝手な女たちサイドの人間は女に限らず出てくる人物たち皆共感出来ないので、完全な傍観者としてどんな破滅的結末を迎えるのかという単純な興味で読んでいた。
一方でローセがこれまで特捜部Qでパワフルに仕事に向かっていた姿と裏腹に、これほどの深く重い傷を背負っていたとは想像もつかなかった。彼女の猛烈な仕事への取組の裏で時折見せるエキセントリックな行動も説明がつく。唯一の救いはローセの妹たちがローセを心配し愛していること、そして何より特捜部Qの面々がローセのためにこんなに頑張っていること。
何とかローセには復活してもらい、再びあの猛烈な仕事ぶりを見せてもらいたい。
冒頭に書いたようにこの作品の設定は2016年、この作品が日本で出版されたのは2018年1月。それからもう2年近くが経とうとしているが、続編が出るとの話は聞かない。
今作ではカールのトラウマの元凶である「釘打ち事件」については何も出てこない。だがその「釘打ち事件」で大変な重傷を負ったハーディは少しずつ回復の兆しを見せている。これは吉兆なのか、それともカールにとってなにか不都合な真実が明かされる凶兆なのか、ドキドキする。
またアサドの、カールの知らない一面が少しずつ見えてくるのも興味深い。彼は一体何者なのか、なぜデンマークに来て、何をしようとしているのか。
早く続編を読みたいような、怖い結末なら見たくないような。 -
「特捜部Q」もシリーズ7作目。
デンマークの大人気ミステリです。
地下の特捜部に追いやられているカール・マーク警部。
部下はほぼ警官ですらないメンバーで回しているが、事件の解決率はかなりのもの。
今回は秘書のローセに焦点が当てられています。
福祉国家として知られる北欧のデンマーク。
福祉事務所には給付を望む市民が詰めかけ、中には働く意志がなくなんとか言い訳してお金だけは貰おうという根性の人間も。
相手をする係員もストレスを抱えているのでした。
そんな状況で出会った気まぐれな若い娘たちが意気投合、思わぬことから犯罪に‥?
背景には、歴史を背負って破綻した家族たちの重いものも含まれるのですが。
おしゃれだけはする若いコたちの身勝手な言い草が情けないやら哀しいやら。
さらに、真面目な官吏のはずの担当者の切れっぷりのほうがすごくて、笑えてくるほど、ぶっ飛ばします。
ローセは有能だけど変わり者。というのはわかっていましたが、これほど壊れてしまうとは‥
鬼気迫る描写の後に、過去のつらい状況が明らかに。
現在の事件とも運悪く絡み合い‥
救いようがないと思われたいきさつがあっても、時とともにじわりと事態は動きます。
ローセを救おうと懸命に突き進むカール、アサド、ゴードンたち。
ラストに光が差し、泣かされます。
ローセのために★1つ追加で。 -
シリーズ7作目。前作に続き、ローセが大変で、いろいろ起こる事件よりもローセのことが気がかりで読みながらしんどい部分もあり、かなりぎりぎりのところまで本当に大変でしたが、なんとか救いのある結末まで読んだところでまたしてもクタクタに疲れてしまいました。アサドもカールも精一杯やっているのに後悔してもしきれないことがあれこれ思い浮かびいたたまれなかったです。最初はいけ好かない変な奴という印象だったゴードンまでが健気で一途でいい青年になっていて、シリーズの中でも時が流れているのを感じたりも。事件の関係者視点と、捜査側の視点とで交互に語られる構成はこれまでと同様ですが、最近起こった事件によって、過去の未解決事件が思い起こされ、3階の刑事たちの捜査と、特捜部Qの過去の事件の捜査と、ローセのことも絡まりあって進むので何となく読んでいるだけでは筋が追えなくなったりして、何度か数ページ単位で戻って読み返したりしながら読了しました。事件としては、動機はこれまでで一番底が浅い身勝手で狭了なものなのに対し、だからこそかもしれませんが一足飛びにばんばんヤバい事に手を染め、場当たり的に行動し、自滅していくなかでもすべて他人のせい、みたいな描かれ方の犯人像で、読んでいて疲れました。事件はそんな感じでしたが、人間ドラマは濃厚で読み応えたっぷりでした。続きが早く読みたいです。
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ローセの過去をからめた事件。
親子のトラウマや抜け穴のある社会福祉制度など(フィクションとはいえ)幸福の国デンマークでも問題を抱えていることを感じる。
最後のシーンはいつもより明るくて、ずっと読んでるファンとしては胸が熱くなった -
【消えたローセに一体なにが起きたのか?】
北欧ミステリーの人気シリーズ【特捜部Q】第7弾。
今回のテーマはデンマークの社会福祉政策の闇だ。
デンマークは社会福祉政策が充実しており、教育・医療・介護が無料であるほか、失業者への支援も手厚い。
しかし、今作にでも出てくるような、狡猾に生活保護の不正受給をしたりする輩が存在する。
そんな輩を対応しなければならない職員。
そしてある日芽生えた殺意。
また時を同じくして、特捜部Qの仲間であるローセの失踪を追うカール達。
今作では、精神を病んでしまったローセの壮絶な過去が明かされるので、ローセ推しの方は必読だ。
ローセ編は時に読むのが辛くなるほどで、よく今までカール達と事件を解決してきたなと思う。
過去と決別した新しいローセに期待したい。
今回は題名にもある自撮りする女たちのような、自分にしか興味のない者たちが事件を引き起こすので、無計画な所や行き当たりばったりな所が多々あるのだが、逆にそこがリアルで良かった。
実際に起きている事件も、練られた計画性のあるものよりは突発的な犯行が多いので、犯行の心情はこんな感じなのかなと想像しながら読めた。
しっかり社会問題を提議しつつ、サスペンス要素もあり、ハラハラしながら楽しめる1冊だ。
こんな人におすすめ .ᐟ.ᐟ
・北欧ミステリーが好きな人
・社会派ミステリーが好きな人
・サスペンスが好きな人
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今回はカールの例の過去の事件についての言及がなかったな。
北欧諸国が高福祉の人権重視社会というのは幻想じゃないかと、北欧ミステリを読むたび思う。
そしてヨーロッパは絶対ナチスの罪を忘れない。 -
面白かったが、事件が同時並行していて少し読みにくかった。
人間の持つ残虐性について考えながら読んだ。
戦時におけるそれと、殺人の場合。
男と女。
後悔する人と、エスカレートする人。
違いはどこにあるんだろう。
後半は怒涛の展開だが、人の優しさや温かさが溢れるラストに救われる。
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シリーズは7作目、すっかりファンになっている。39ページで初めて主人公カール警部補が登場した時に『待ってました!』と、この高揚感。
今回のストーリーでは助手のローセ女史が事件に巻き込まれ、彼女自身の影の部分がクローズアップされた。そして、同じくアサド助手の来歴が垣間見えるシーンも用意されている。もちろんカール警部補の少しおとぼけ感を醸しながらも、急転直下の鋭い切込みも楽しめる。
寝る前の少しの時間の読書だが、全570ページのポケットミステリーの残りがどんどん少なくなっていく。謎解きが目的ではない。登場人物の躍動をもう少し楽しみたいだけだ。次回作を楽しみに、読了。 -
映画から入って、小説ははじめて読んだのだけれど、いや~やられた、参った。何故これまで読んでこなかったのか悔いた。ローセ、ローセ、ローセ、ローセの事が脳にこびりついてえらいことになっている。これからももちろん読む。正直2度読んでもいいくらい込み入っている本作品。衝撃的
俺たち三人チームQです(^^)v
俺たち三人チームQです(^^)v