無常の月 ザ・ベスト・オブ・ラリイ・ニーヴン (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房
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本棚登録 : 141
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150121730

作品紹介・あらすじ

FOX2000映画化のヒューゴー賞受賞作「無常の月」ほか、ヒューゴー賞受賞作3篇に、星雲賞受賞作など、傑作全7篇を厳選!

感想・レビュー・書評

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  • SFマガジン700収録の一遍がいいな、と思ったので。
    まずは短編集から。
    数々の賞を取られた作家さんなのに、ちゃんと読むのは初。

    SFマガジン700収録の『ホール・マン』はこちらにも収録。
    結果、この一冊の中で一番好きなのは『ホール・マン』だった。
    静かで、クールで、ちゃんとSF。
    ファンタジーじゃなく。
    というのが素敵。

    全体として3種類くらいにタイプ分けできるかなーと思う。

    まずは、ああ、これがSFってものだな、というタイプ。
    異星人とか宇宙とか。
    軽く読めるしこれを(私が好きな)ハードSFと呼んでいいものかは悩むけど、ちゃんとしている。
    ちゃんとしているというのは、ファンタジーじゃなくてSFということ
    (私の中のファンタジーの定義は、知識ではなく想像力で書かれた架空の世界の作品)。
    かつ単純に、物語として、小説として、上手。
    アクション多めの短編もあるけれど、ただの活劇ではなく、仕組みがあったりちょっと小気味が良かったり。
    切れ味が良い部分がしっかりある。
    知性を感じるって言うかね。
    私の理想よりはちょっと元気がいいけど、良いと思います。

    次のタイプは活劇タイプではないSF。
    私が一番好みのタイプ。
    『ホール・マン』、そして『無情の月』。
    『無常の月』は短編集のタイトルにもなっている作品で、
    宇宙とか異星人は出てこないタイプのSF。
    発想が素晴らしい。
    物語のトリガーである“そのもの”の直接の描写は出てこないのに迫真に迫っている点、
    最初よくわからなかった主人公の行動がだんだんと判明し集約していく描き方、
    よくできているなあ、と思う。
    発想と描き方の両方が良い。
    ヒューゴー賞を取ったらしいけど、わかる。

    ちょっとダメだったのは、『馬を生け捕れ!』。
    コメディなのかな。
    コメディなんだろうな。
    後書きを読むと、次に私的に「うーん」だった『終末も遠くない』もラリイ・ニーヴンらしいようなので、こういうのも書く人なんでしょうね。
    (と調べたらファンタジーもお得意らしい)
    まあ好みの問題なんだけど…。
    これが最後のタイプ。

    ハードSFタイプの物は是非積極的に読んでいきたい。
    そしてこのくらいが理論と物語のバランスが取れていていい。
    やっぱりグレッグ・イーガンはそのバランスがいまいちだな、と改めて。

  • 鴨は旧版「無常の月」も持っていまして、被っている収録作は2作のみ。現在絶版の短編集「中性子星」からもセレクトされており、ラリイ・ニーヴンをまんべんなく知るにはちょうど良い短編集だと思います。
    バリバリのハードSFからファンタジーまで、ぱっと見はとっ散らかった感じですが、バックボーンに当時最先端のハードSFとしての筋が一本通っているところが、ニーヴンの面目躍如。軽いタッチの見た目とは打って変わって、相当考え抜かれた理論派作家なのだろうと思います。

    ・・・が、まぁ、軽いですね(^_^;
    SFという文学ジャンルの中でも特に、ハードSFはアイディア一本で勝負できるジャンルです。SF的アイディアと舞台設定がしっかりしていれば他は多少浅くても問題なし、というのがハードSFの特徴ですが、そんな特性を踏まえても、今読むとニーヴンは軽い。面白くないわけじゃないんですけどねー。
    鴨的には、旧版「無常の月」の方が、収録作品にバリエーションがあって面白かったかな、という気がします。いずれにしても眉間に皺寄せて読むタイプの作品ではないので、気楽に楽しんでください。

  • 久しぶりの短編集だがハードSF。
    ラリイ・ニーブン、昔リングワールドも読んだっけ。
    図書館の返却期限を過ぎてしまって全部読み切れなかったのが残念。表題作の無常の月を読むだけでも価値有り。

  • マイクロブラックホールのお茶漬けとかと同じ時代だったのか
    潮汐力に気付かないのは変に感じた
    イーガンと違い付いていけるハードSFで楽しめました

  • ラストの1話を除き既読作品でしたが、楽しめました。文章や構成が好きなんだろうな。

  • SFに文学を求めるなら訳で読んでも全く意味無い

  • 「帝国の遺物」、「中性子星」、「太陽系辺境空域」、「無情の月」、「ホール・マン」、「終末も遠くない」、「馬を生け捕れ!」の七篇の短篇を収録。
    最初の四篇が、どうにも分かりにくくて…。期待はずれだった。凝った設定のSFは、その世界観に馴れるまでに時間がかかるからなあ。

  • 「帝国の遺物」
    「中性子星」
    「太陽系辺境空域」
    「無常の月」
    「ホール・マン」★★★
    「終末も遠くない」
    「馬を生け捕れ!」★★★

  • 『まんが宇宙大作戦』「過去から来た新兵器」の設定に使われているノウン・スペースの一端を知りたくて読んだ。その他にもある様々なシリーズの一短編がそれぞれ収録されていて楽しめた。

  • 1960~70年代のSF短編集。時代を反映して定常宇宙説とか量子ブラックホールとかが出てきて興味深い。そういった素材をもとにぞくっとさせる「ホール・マン」やミステリ仕立ての「中性子星」が面白い。でも1番好きなのは「無常の月」。異常に明るい月夜の一晩を過ごす恋人たちのロマンチックな話かと思ったら、ラストはこんな話になるとは。とても印象的。

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