神狩り (ハヤカワ文庫 JA 88)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150300883

感想・レビュー・書評

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  • ありえない言語構造から、人間の論理では理解できない存在……神……へと話が繋がり、神を追い詰めるために言語構造を解き明かそうとする。よれよれになり、くじけそうになりながらも諦めない主人公が格好いい。

  • 最近続編が出版されたようなので、読んでみようと考える。しかし、前作を読んだのは大昔のこと、内容は全く忘却の彼方、それなりに面白かったはずとのみ記憶する。ということで、再読。

    なんとまあ読みやすいことか。至極あっさりした内容に、読みやすい文章も、この適当なページ数もね、すべてそれなりに○。今の感覚なら、中編とするのが適当だろう。

    そういえば、「弥勒戦争」なんてのもあった。これも好感触をもったことのみ記憶する。ともかく、続編はどんなだろうか。

    因みに、私が今回読み直したのは早川JA文庫のやつ。
    (2005年記)

  •  名前だけは昔から知っていたが読む機会のなかった本。
    神の残した古代文字が見つかり、それを解読しようとする・・・その事は神との戦いにつながる・・・という壮大なテーマだがページ数は少なく、ストーリーはコンパクト。
     結局何が起こっているのかわからないまま登場人物は次々に神に殺されていく・・・で、戦いはこれからだ、という所で終わる。
     人間は五つの論理記号を持っているが神は二つしか持っていない とか
    関係代名詞が七重以上入り組んだ文を人間は理解できない
    ~人間の短時間記憶の容量を超えるため~が、神の言葉には十三重以上の関係代名詞が使われている(P128)・・・
     など言語構造に関する記述は面白かったが、ストーリーは本質的なものを書き得ず、表面をぐるぐる回って中に入っていけない、という感じ。
     でもこれ以上書けないよなあ・・・と思ったら 神狩り2が出てるみたい。
     ちょっと興味はあるが、結局 神 は描写できないんだろうなあ。
     

  • 山田正紀氏のデビュー作。古代文字を解明しようとした若い学者が勝ち目のない「神」との戦いに巻き込まれてゆく話。
    氏の作品は「オフィーリアの物語」と「イノセンス  After The Long Goodbye」の2作しか読んだことがないけれど、それらと比べると随分若書きだなあという印象がある。書き手と主人公に対して「一体なにをそんなに尖ってカッコつけているのか」と小一時間問い詰めたいレベル。
    キャラの心理的な流れも事件の流れもまだまだ生硬なところがあって、決して読みやすい文章ではないが、でもそれが十数年たつと、あの「オフィーリア」の流麗な文章に化けるのだから、それだけ資質が凄いのだろう。
    実際、「神は人間の敵であり、人間を使って残酷なゲームを楽しんでいる」という設定からして壮大過ぎるし、衝撃も大きくて、この設定は後々のSF作品に影響を与えているのではないか。
    例えばサイボーグ009の「天使編」や「神々との闘い」はまさに同じネタで、サイボーグたちは人間を超越し、なおかつ人間を弄んでいるらしい存在と戦う話になっているし、昨年公開された映画版も神の存在について問う話になっている。

  • 花崗岩石室に刻まれていた謎の古代文字、そこには「13の関係代名詞が入り組んだ構造を持ち二つの論理構造からなる言語」が刻まれていた。
    それは明らかに人間が使いうる言語ではなかった、なぜなら人間が思考するには関係代名詞は一度の文で七つまでしか使えない。人間の短期記憶の仕組みが関係しているらしい。また、なぜなら人間は最低でも五つの論理記号(そして、ならば、あるいは、でない、必然である)のだ。
    つまり、この古代言語は人間の論理能力では扱えない代物だったのだ。では一体誰がこのような言語を使っていたのか―

    主人公である情報工学の学者である島津は、人間よりも一段階上の論理能力を持つ存在、つまり「神」でしかありえないと考えるようになる。
    この古代言語はいわば人間の思考について一段階上の段階から記述したメタ言語ではないのか、そしてこの言語によって世界のすべてが「神」によって記述されているのではないか―

    序盤は「古代文字」についてのハードSF的な考察が割と多い。しかし後半、島津が理亜達と行動を共にするようになる辺りからはミステリーの楽しさが勝るようになる。また思索的な部分も言語についてから神とは何か?というより壮大なテーマについて語られるようになる。
    ここで語られる「神」とは、私たちを支配しようとする管理者で、人間はそれにあらがい戦わなければならない。それでこの本のタイトルは『神狩り』であるというわけだ。

    思いのままに世界を操る「神」に島津は勝利することが出来るのか?戦いの果てに何が?

  • おもしろくワクワクしながら読んだ。最後は唐突というか尻切れトンボ的だったけれども、戦いは続くということなのだろう。

  • ある工事現場から見つかった古代文字を通して、
    人間が神に一矢報いろうとするお話。

    神を狩るというすごいテーマなうえに全編通して暗いです。
    でもかなりおもしろかったです。
    いままでぼんやりと考えていた神というものを、
    目の前に突きつけられて、考えてみろって言われた感じ。
    新鮮。

  • 忘れもしない大学生の時に初めて読んだ山田正紀氏の作品。
    衝撃的でした。
    とにかく面白いの一言につきる。
    一気に読んだ記憶があります。
    今読んでも絶対に面白い!!

  • 「人類を弄ぶ神」「人類を神の支配から解放する」というメインモチーフにぶっとび。その着想だけでなく、神の実在を証明する手がかりを設定し説得力を持たせたことの勝利。

    後半の展開は??だけど、それを補って余りある着想のすばらしさ。

  • 日本SF小説の金字塔・・というコピーにつられて読んだのですが、なるほど確かに当時にしてみると(これは30年以上前の作品です)、かなりインパクトがあったのだろうと感じる作品でした。
    30年前の作品ではありますが、起・承・転・・とぐいぐいと作品世界に引き込んでいく力は今読んでも衰えているとは思いません。

    しかしやはり「現在」の科学的知識あるいはSFの知識からすると、ディテールが甘いと感じざるを得ません。
    もっとも残念だったのが、「結」の部分にあたる第三部です。
    話が唐突かつ種々の謎を投げっぱなし・・という、大いに不満が残る内容でした。

    古典として考えれば評価4としても良い作品なのですが、上記の理由により評価は3としました。

    なお2005年に「神狩り2」という続編が書かれているそうです。
    そちらについてはいずれ。

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著者プロフィール

1950年生まれ。74年『神狩り』でデビュー。『地球・精神分析記録』『宝石泥棒』などで星雲賞、『最後の敵』で日本SF大賞、『ミステリ・オペラ』で本格ミステリ大賞、日本推理作家協会賞を受賞。SF、本格ミステリ、時代小説など、多ジャンルで活躍。

「2023年 『山田正紀・超絶ミステリコレクション#7 神曲法廷』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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