からくりアンモラル (ハヤカワ文庫 JA モ 3-2 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
- 早川書房 (2007年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150308964
感想・レビュー・書評
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あとがきにスタンディングオベーション。
この作家は信用できると思った。
『実は、この世の小説や漫画やアニメや映画やテレビドラマには、私の嫌いな少女が掃いて捨てるほど出てきます。
弱くてバカで、自立していなくて、甘ったれで、すぐに涙を見せ、よい意味でのプライドに欠けていて、男に対する依存心が強く、危機的状況になるとすぐに悲鳴をあげ、怒るとヒステリーを起こし、たびたび第三者に偶然スカートの下のパンツを見られてしまう(自分の意思でパンツを見せるのなら、許してやるのだが)』 -
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https://opc.kinjo-u.ac.jp/ -
性愛SF。SF?っていうのもありましたが面白く読みました。
嗜虐性の高いお話が多かったように思います。でもどこか切なさも帯びていて好みでした。
お話は「いなくなった猫の話」「ナルキッソスの娘」が好き。性愛は「愛玩少年」「一卵性」が好きです。「レプリカント色ざんげ」はまさか羊が語り手だと思わなくてびっくりしました。 -
性愛SFというだけあってかなり直接的な性的表現が出てくるので苦手な人はいるかもしれないが、好きな人には深く刺さるであろう、独特な雰囲気を持った短編集だった。
「からくりアンモラル」☆☆☆
思春期を迎えた少女が自分を性的な目で見られることに嫌悪感を覚えるというのは物語でよく見る描写だが、そこからロボットを通して自分を見ることで愛のようなものを得るというのはおもしろい。
「あたしを愛したあたしたち」☆☆☆☆
思春期を迎えた少女が自分を性的な目で見られることに嫌悪感を覚えるという構造は「からくりアンモラル」と同じ。
過去・現在・未来の自分たちで互いに自分を慰めるというのは、一見ひねくれた自己愛のようだが、それがとても真っ直ぐなものに感じてしまう不思議。
「愛玩少年」☆☆☆☆
私にはマゾヒスティックな趣味はないので直接的な性的興奮を覚えることはなかった。
しかし、ラストシーンで唯一の理解者となりうる存在が奪われたときには何か変な高揚を覚えた。
とても残酷で悲しい出来事のはずなのに、Mのひととかいわゆる寝取られ趣味の人の気持ちが少しだけわかったような気がした。
「いなくなった猫の話」☆☆☆☆
私の好きなロマンティックSF。
「繰り返される初夜の物語」☆☆☆
無意味と知りながらロボットに恋して振り回される愚かな話。
「一卵性」☆☆☆
一卵性の双子を愛するというのはこれまた変わった自己愛か。
「レプリカント色ざんげ」☆☆
SFにありがちだが、変わった世界の出来事の紹介のような物語で、あまり登場人物の精神に触れた気がしなかった。
「ナルキッソスの娘」☆☆
美談のように書いているが、私はヒロシのような適当な男が苦手なので、感情移入できなかった。
「罪と罰、そして」☆☆
サディストの愛というのは、言わんとしていることはわかるのだが、私には理解しがたい感情だ。 -
短編集。SF。エロSF。恋愛。
SF設定は、ロボット、タイムスリップ、吸血鬼、キメラ、記憶移植、共感能力、アンドロイド、記憶の共有など、さまざま。
エロいし、SF設定ではあるけど、基本的には切ない恋愛がメインだと思う。
なかでも特に切ない「いなくなった猫の話」が素晴らしい。
「繰り返される初夜の物語」「レプリカント色ざんげ」もとても好き。 -
2回目
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お笑い官能小説から入った身としては、この作者さんの切なくて痛い文体は新鮮でした。「一卵性」が特にお気に入りです