薔薇密室 (ハヤカワ文庫 JA ミ)

著者 :
  • 早川書房
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (638ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310646

感想・レビュー・書評

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  •  第1次世界大戦から第2次世界大戦にかけてドイツ・ポーランドの国境近くの修道院で行われた秘密の実験。
     
     脱走兵に、ポーランドの少女、修道院の作男、と、語り手は変動していく。でもって、どれも<信用のならない語り手>なのだ。
     なので、翻弄され困惑し、気がつくとがっつり世界に取り込まれている。

     にしても、薔薇と人間を融合させるという実験が、あの病気の治療云々につながっていくとは…。
     とはいえ、まぁ、どれもこれも共感できない人物のオンパレードで、ある意味、人間の基本的な嫌な部分、というか自分自身が嫌悪していることを凝視させられる気になる。
     やっぱ、怖いです、皆川博子。

     でも、癖になる面白さ。

  • ミルカ側の物語が好き。
    ユーリクの愛情がまっすぐ過ぎる。せめてミルカが生きてる事を知って欲しかった。

    読み終わってから冒頭部分を読み返してさらに切なくなった。

  • 脱走兵コンラートが逃げ込んだ古い僧院では、ホフマン博士が人間と薔薇を融合させる実験を行なっており・・・
    いくつかの物語が交錯しながら、しだいに集約していき、思わず引き込まれる。理屈はともかく、この物語の世界にハマったもん勝ちって感じかな。

  • 頑張って読み終えた。

    私の日常とかけ離れた、濃密で妖しい、美しくねじれた世界。

    触れようと手を伸ばせば、容赦なく鋭い棘で傷つけられ、こちら側に来る勇気はあるのか、と静かに詰問される。

    私は流れ落ちる血をも忘れ、汝に見とれるばかり。

  • 久しぶりに続きが気になって一気に読んでしまった。
    カテゴリー分けがこんなにも難しい作品は珍しい。
    ミステリーとして読むと正直言って結末は物足りないと思う。

    でも面白かった。
    美しくて哀しい。


    ミルカとユーリクの章が個人的にツボにはまってしまった。
    思わず久しぶりにきゅんとした。

    またじっくり読み返したい。

  • 皆川ワールド炸裂

    読み終えるまで、まだまだ時間がかかりそう

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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