裏世界ピクニック5 八尺様リバイバル (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
4.15
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本棚登録 : 313
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150314484

作品紹介・あらすじ

空魚主催の混沌のラブホ女子会、鳥子の大学訪問、裏世界の探検で出逢った謎の婦人―― 大人気の怪異探検サバイバル、第5巻!

感想・レビュー・書評

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  • 第5巻。とても人間味があったというか、人の感情や愛情が描かれていることが多く、なんだかほっとした。とは言え、不可解な裏世界については今までにない事象や出来事が出てきて、恐怖だけではない干渉が物語を膨らませる。空魚が大好きな鳥子の気持ちとその気持ちの受け入れ方に戸惑う空魚。そのお互いの気持ちや感情を、鏡を通して認識する中間領域を描いた「斜め鏡に過去を視る」はとても良かった。第4巻で依存か?と感じた気持ちは薄れた。

    「ポンティアナック・ホテル」
    前回の裏世界探索の時に約束をしたラブホ女子会をすることになる。2人で行いたい鳥子に気後れする空魚は、小桜、茜里、夏妃を誘い5人で行うのだが、途中からの記憶がない。

    「斜め鏡に過去を視る」
    ラブホ女子会後に鳥子と連絡が取れない空魚は、鳥子の大学に行ってみる。鳥子は意図せず左手で空魚に触れてしまい、空魚だけが中間領域に入ってしまう。空魚の側だけからガラスに映る鳥子を認識でき、鏡からの脱出を試みる。

    「マヨイガにふたりきり」
    AP-1に乗り裏世界を探索する空魚と鳥子は、今までに来たことがない尾根道を進む。その先に見慣れない建物があり、そこは立派な庭園のある屋敷だった。

    「八尺様リバイバル」
    以前に裏世界で出会った肋戸の妻と名乗る者から夫の捜索依頼をされる。肋戸は行方不明になった妻を探すうちに裏世界に来たと言っていたが、果たしてこの妻の言うことは本当なのか?

    「マヨイガ~」のタイトルにあるふたりきりは空魚と鳥子ではないふたりだった。今までとは趣が違う裏世界のことが描かれていたり、潤巳るなの回復が少し伝えられたりと、まだまだこの先が気になることが出てきている。次はシリーズ初の長編のようなのでちょっと楽しみだ。

  • あっという間に読み終わった。
    また盛り上がってきたぞ〜!

  •  今回の話はバリエーション豊かで、短編集っぽさが強く出ていたように思う。
     裏世界に侵入したとき、或いはそれに属するものと邂逅したときの、ひりつくような緊張感は健在で、ホラーをあまり嗜まない身としても(或いはだからこそ)十分に楽しめた。
     SF的なアプローチで裏世界の事象を解き明かす面白さは、今回は少し抑えめな気がする。二人の関係性も前回大きく進展した分、これまでのように、最後に解像度が一段階高まって終わるという感じでもなく、終わり方としては少し弱いように感じた。二編目以外は、正直今後回収される要素が多いように感じて、しこりのようなものが残ったので、星4をつけた。
     とはいえ、決してつまらなかった訳ではない。鳥子の気持ちに確信を抱きながらも、踏み込む決断ができない空魚は焦れったいが、そういう葛藤をこそ読みたかった。追い打ちをかけるように、本作らしい手法で、鳥子の自分に対する感情の大きさに気づかされるのも良かった。勿論、気味が悪いながらも、どこか心惹かれる裏世界の情景描写は良かったばかりか、ますます磨きがかかっているように思えた。

     余談だが、前回くらいから、古い怪談に起源を持つモチーフが取り込まれているのは、なにか意図があるのだろうか。

  • SF。ファンタジー。連作短編集。シリーズ5作目。
    シリーズを追うごとに、百合ラブコメ感が強くなってきているような…。
    個人的には、SF要素、ホラー要素が弱く感じて、やや不満。
    ファイル18「マヨイガにふたりきり」での、裏世界の環境に関する考察はかなり好き。たまには、真面目にSFしてくれても良いかも。

  • 空魚と鳥子の関係が微妙に進展してて、ドキドキしながら読んだ。
    6巻もすぐに発売なので、楽しみ!

  • 今回も面白かった。
    相変わらずのフォークロア系ライトホラー百合。
    ふたりの関係がじれったいくらいに少しずつ進んでいる、というか鳥子のほうはもう覚悟しているのだが紙魚のほうがもだもだしていて結果鳥子に怒られたりしている話。
    紙魚は生い立ちもなんかありそうで自分の感情にも他人の感情にも疎いところがあって、そこがじれったいのだけれど紙魚の代わりに鳥子が怒ったり泣いたり色々してくれたお陰で紙魚もちょっと感情豊かになってきたなという印象。もうなくてはならない相棒だなあと思う。
    「わけのわからないもの」が一番怖いものだと思うので、今回もいい感じだった。
    登場人物も増えた(?)し、前の巻で引っ掻き回してくれた美少女も目覚めたことだし、次の巻で少しメインストーリー的な話が動くかなといった感じ。
    今後も楽しみ。

  • 百合化進行。
    シリーズ化進む中でやむを得ないんだろう。
    それにしても、相手型の視点から自分への気持ちを見るのは、反則級だとは思う。
    語り部の女性の位置付けが、ギリギリバランス保ってる感じなのか。

    テーマがずいぶん薄まって来た気がする。だから、シリーズものは苦手だ。少年ジャンプの人気漫画じゃあるまいし。あくたれジャイアンツかよ。

    さ、次行くぞー。

  • ラブホ女子会に始まり八尺様に再び会うまでの4つのエピソードからなる連作短編。恐怖成分は少しだけなりを潜めて(でも怖いものは怖い)、今回は鳥子の空魚への想いと空魚の鳥子への気持ちを中心として語られています。鳥子の学生生活を垣間見ることができたのも良かった(最寄り駅的にモデルは○智大?)。煮え切らない空魚にモヤモヤするけど、これは生い立ちが関係しているのかなと思ったり。「裏世界の意志」は一体何か。毎度のことながら、今後の展開が大いに気になります。

  • シリーズ第5弾!

    今作はラブホ女子会から!
    女の子5人でラブホへ行って、やはりそこでも不可思議現象
    獅子舞もどきが現れて、無意識裸で踊ってしまう
    怖い云々よりも、覚醒した後の羞恥心が大変そう…
    あと、ラブホ女子会色々食べててちょっと楽しそうに…思ったり笑

    続いてが、中間領域と言うなの鏡の世界へ
    つんつんな鳥子ちゃんに翻弄される空魚ちゃん
    そんな中空魚ちゃんだけ中間領域へ〜
    表世界との繋がりは、窓越し、そして鏡越しに映る鳥子ちゃん
    そして不思議源現象を通して鳥子ちゃんから見た空魚ちゃん自身を知る
    人から見た自分自身ってだいぶ恥ずかしい気がする

    続いては不思議なお家、マヨイガ
    突如現れた立派な家は、めちゃくちゃ豪華
    そこに住む婦人と犬
    普通に良いな、この家…って思ってしまう怖い怖い
    恐怖の合間のホンワカな時間の物語

    最後は初期に出会った八尺様
    初期よりもボロボロで、ボロボロだからこそ絶対見た目は恐ろしいだろう
    過去に出会った男性と、その奥様を名乗る女性
    女性は本物か、それとも偽物か……
    そして裏世界で出会った少女は次の巻で出るだろうか?楽しみ〜!

  • 今回も面白かった。どれが一番好きかな?今のところはポンティアナックホテルかな。

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著者プロフィール

小説家。代表作に『裏世界ピクニック』(ハヤカワ文庫JA)、『そいねドリーマー』(早川書房)など

「2019年 『迷宮キングダム 特殊部隊SASのおっさんの異世界ダンジョンサバイバルマニュアル!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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