- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150314927
作品紹介・あらすじ
言葉はすれ違ったままにしておかないほうがいいんです――弱小放送部に集った四人の高校生の一年を綴る、声と祈りの青春群像4篇
感想・レビュー・書評
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2021年7月ハヤカワJA文庫刊。書き下ろし。四番の背中、晴天の競馬実況、舞台袖から遠くの君へ、消えない言葉、の4つの連作短編。それぞれ高校3年生の巌泰司、2年生の南条梓、1年生赤羽涼音、1年生白瀬達彦、を主人公にした4人だけの放送部の活動を中心に据えたストーリーが展開する。各話の展開と連作の組立が上手く、4人が互いに補完し合うさまが楽しい。出来すぎ感もあるが面白く纏っている。
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【収録作品】 四番の背中/青天の競馬実況/舞台袖から遠くの君へ/消えない言葉
瑞々しく、甘酸っぱい青春。未来を信じられるのは幸せだ。 -
校庭に響く音に心を奪われ、放送室に入ろうと衝動的に野球部を辞めて、放送部を作った泰司。四人以上じゃないと「部」として成立しないので、放送同好会という形で、一人だけ所属した。
4月に入り、特に宣伝していないのに二人新入部員が入ってきた。Nコン(NHK全国高校放送コンテスト)を目指したい赤羽と白瀬。さらに二年の実況が好きな南條も半ば強制で入部し、放送部として再スタートした。
その裏では、それぞれ四人の悩みもあった。部活や友人など、あらゆる悩みと向き合いながら高校生活を送っていく青春群像劇。
四人の部員それぞれにスポットを当てて、進行していく群像劇でしたが、あの時の高校生活を思い出させるような雰囲気や爽やかさもあって、楽しめました。
放送部として、あらゆる「初めて」を体験していきます。校内放送、実況放送、インタビュー、ラジオドラマといったことに挑戦していくのですが、その活動に取り組む姿に心が躍りましたし、爽やかさも感じました。
初めてだからこそ感じる戸惑い、苦悩、後悔といったものが、部員にのしかかっていきますが、それをどう乗り越えていくのか。年齢は違えども、お互いに励まし合いながら挑戦していく姿に仲間の大切さ・ありがたさを感じました。
その中には、言葉を発信することの難しさも込められていました。大丈夫だと思って発信した情報や発言が、のちに大きな影響を与えたり、心に強く印象を与えたりと様々な「形」となって相手に伝わります。
改めて、伝える難しさを噛み締めました。
伝えるだけでなく、個人個人が抱える人には言えない悩みも登場します。そのあたりの心の揺れ動きも丁寧に描かれていて、共感する所もあり、いつの間にかグイグイと引き込まれていました。
その悩みを経てのそれぞれが体験する活動でしたので、より一層、心に響くものがありました。
一皮剥いていく四人が今後、どんな活動していくのか楽しみです。
気温が高い状況で読みましたが、読了後ちょっと爽やかな風が吹いたような爽快感があって、良い心地になりました。 -
去年読んだ「読書嫌いのための図書室案内」の作者のものだが、評判もまずまずだし感じ良さげだったので買ってみた。
校庭に響いたマイクの音に心を奪われ衝動的に放送同好会を設立した巌(3年生)。
入学早々に入部届を出してきた涼音と白瀬(1年生)に、彼らに通学中の競馬実況を聴かれて入部してきた梓(2年生)。
素人ばかりの放送部の活動とともに4人それぞれの悩みが語られる章立てだが、一番良かったのは梓の話。
競馬を背景に親子の情を絡められると、私の好きなものと弱いもののミックスでもうダメだな。最後のリレーの実況は熱い。
この作者、前作でもそうだったが語り口に何となく理に落ちたところがあって、本作でも話の流れをそうしたいのだろうけど、あれをそんな風に受け取るか?というところがいくつか気になった。
巌のウジウジも白瀬のオドオドも涼音のイジイジもそこまでの意識過剰や刷り込みや囚われにならなくても良いのではないかと思えて、だけども、まあ、そういうところが高校生ってところかも知れないけどね。 -
読みやすく、青春に相応しい一冊。
読了後は爽やかになる。 -
『他人に期待をすること。その期待に応えようとすること。そこで生まれる齟齬。』
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放送部の4人の高校生のそれぞれの悩みや想いを部活を通して描く連作小説。個性も状況も違う部員それぞれのエピソードに部員全員が関わっていく様はまさに青春そのもの。懐かしさ、爽やかさに溢れる素敵な物語でした。
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やっぱし実況かなー。
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「もう」じゃなくて「まだ」。
つらいときは「もう」と思いがち。
いつでも「まだ」でやる気を出せるかも。
リレーの実況が面白かった