- Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150411053
感想・レビュー・書評
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なんか、訳が特徴的だなぁ。
面白いのだけど、時々使われてる言葉に引っかかってしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミュンヘンオリンピックのテロ事件への報復を企てるユダヤ人グループは作戦に失敗し、一人生き残ったハンナは隠居した孤高の暗殺者に助けを求める。
上巻のほとんどを孤高の暗殺者ニコライ・ヘルの過去に割いている。
これが日本人もびっくりするほど丁寧で深い日本の描写になっている。特にどうと言うことのないシーンが日本の純文学に引けを取らないほど美しく語られる。
物語が大きく動く訳ではないのに目が離せない。
下巻が楽しみ。 -
巨大組織〈マザー・カンパニイ〉VS〈シブミ〉を会得した孤高の暗殺者ニコライ・ヘル。上巻の大部分で語られる日本を舞台にしたニコライの生い立ちは淡々とした語り口ながらも、波乱万丈で読み応え充分。下巻への期待が高まる。
囲碁をモチーフにした章題や、時折挟まれるもっともらしいホラ話も愉しい。 -
覆面作家トレヴェニアンが、2005年の12月に亡くなったことを、近々公開になる映画「ミュンヘン」とのかねあいで、どーんと再販されてます。
なぜにミュンヘンなのか、前置きを書くと長くなるのではしょりますが、幼年期を日本ですごした暗殺者ニコライ・ヘルを主人公にしたサスペンス。導入とかでハリウッド的な派手なアクションを期待すると肩すかしをくらいます。中盤は青春小説ですな。
にしても、トレヴェニアンはすごい。
ヘルは、すでに引退した暗殺者として登場するのだけど、もうその設定からしてシブイ。日本で育ち、囲碁を通して、シブミの境地にいくことを目標としているヘル。その洞察は日本人以上に日本人です。
日本を舞台にした海外小説はいくつかあるけど、どれも???な部分がある。が、これは違和感が全くなかったです。
最初はちょっとなんだか読みにくい。
「ワイオミングの惨劇」も最初がちょっとしんどかったので、多分トレヴェニアンはそういうタイプの作家なんだろう。
でも、あとはぐいぐいとひっぱっていってくれます。
最後の最後まで、息が抜けない。
ああ、いいもの読んだぜ。 -
覆面作家トレヴァニアンの作品。
独特の言い回しが婉曲ながらも的確に事の本質を捉え、思わず唸ってしまう筆致力。
たとえば「シブミ」の定義について
「シブミという言葉は、ごくありふれた外見の裏に潜むきわめて洗練されたものを示している・・人の態度の場合には、はにかみを伴わない慎み深さ、シブミの精神が『寂』の形を取る芸術においては、風雅な素朴さ、明確、整然とした簡潔さを言う。シブミが『侘び』としてとらえられる哲学においては、消極性を伴わない静かな精神状態・・そして人の性格の場合には、なんといったらいいか、支配力を伴わない権威とでもいうのかな・・」
実に見事な定義である
第二次世界大戦前の魔都上海でドイツ人の父とロシア人の母の元に生まれ、日本の軍人に育てられ日本人の魂を宿した男ニコライ・ヘル。洞窟探検家、一部の人々には腕利きの暗殺者として有名な彼のもとへ、殺された同志の仇を討ってほしいと現れた旧友の姪。相手が巨大な組織の上、もう暗殺業を引退していることを理由に、何とか穏やかに事を進めようとするものの上手くいかず、再び戦いの場に立つニコライ・ヘル・・・。
上巻では、大戦前の上海から戦中戦後の日本を舞台にニコライ・ヘルの成長がメインに描かれています。外国の作家が日本を描くと、ちょっとヘンなところが見られることも多いのですが、本作にはそういうこともなく、よくぞここまで調べて書けたものだと感心してしまいます。大事なもの、大切な人たちを戦争で失いながら、占領軍が支配する東京で生きていくニコライ・ヘル。読み応えたっぷりです。
それにしても囲碁を小説でここまで読ませるとは・・・感嘆の一言です。
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ミュンヘン五輪テロ事件の首謀者グループへの復讐のため、立ち上がったユダヤ人武装グループ。しかし計画は事前に察知され、空港での待ち伏せ攻撃により壊滅してしまう。一人生き残ったハンナは、父の友人であり、伝説的暗殺者であるニコライ・ヘルを頼るが…
というお話です。25年前の作品ながら、実に秀逸な作品ですね。
読んでいて古さを感じるとすればコンピュータ関連の部分だけで、あとは概ね満足ではないでしょうか?
しかしこの作品の本当の肝はアクションではなく、上巻の『日本を舞台にしたニコライの学習と成長』の部分かと。
主人公の精神的成長の要素として、囲碁や桜、侘びなどの要素を実に正確に読み解いて記述し、成長を描いています。
また極東軍事裁判やアメリカ人の精神に対しても、非常に正確かつ手厳しいことを書いており、文化的批評としても素晴らしいかと。
『9・11』を経た後に読んでも違和感を覚えない、というのは実はすごいんじゃないですかねー。何せ、それぐらい本質をズバッと突いている、ってことですから。
ということで、冒険小説好き以外にもオススメできる一冊であります。
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トレヴェニアンが思わせぶりに紹介する殺人方法とか、面白いんだよね。日本にゆかりのある暗殺者ニコライ・ヘルの冒険。面白い!
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レビューは下巻にて。
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モントリオール、カナダなどを舞台とした作品です。
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つまらない。
例えば<クイネル>とか<ディーヴァー>などのように、うわっこれって面白!な感じはいっさいなし。
でも一応上下読み終わった、いつか面白くなるんではなかろうかと期待してたんだが、ダメでした。
展開というか話がものすごくチグハグ
どこかの書評で時代を超えても通用している云々とあったが
そんなすごい本では全くない。