暗黒のメルトダウン (上) (ストレイン)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150412654

感想・レビュー・書評

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  • メキシコ出身でアカデミー賞監督「ギレルモ・デル・トロ」とアメリカの作家「チャック・ホーガン」の共著『暗黒のメルトダウン(原題:The Fall)』を読みました。

    『沈黙のエクリプス』の続篇で、〈ストレイン〉三部作の第二作となる作品です。

    -----story-------------
    アカデミー賞監督「ギレルモ・デル・トロ」の 戦慄のアクション・サスペンス
    全米ベストセラー〈ストレイン〉第2部刊行!

    皆既日食、沈黙したジョット旅客機、
    そして、街を襲う血に飢えた「悪疫」……

    巻末解説「ギレルモ・デル・トロ監督との出会い」
    「さすがデル・トロ。わかっているな、と感じさせる。映像でも観たかった」
    「《メタルギア》シリーズ監督・ゲームデイナー「小島秀夫」

    〈上〉
    着陸直後、乗員乗客が死体で発見された旅客機には、不死を望む大富豪の手引きにより、吸血鬼の長老“マスター"が運ばれていた。
    彼らの計画どおり、夜ごと街は吸血鬼に襲われ、「悪疫」がニューヨークに広まっていく。
    殺人容疑をかけられた疾病対策センターの医師「イーフリアム」は、仲間とともに、人類存亡を賭けた決死の闘いに挑むのだが……。
    アカデミー賞受賞監督「デル・トロ」による傑作《ストレイン》シリーズ、第二弾!

    〈下〉
    吸血鬼“マスター"は日の光を浴びせても倒すことができず、「悪疫」はニューヨークから世界じゅうに広まりつつあった。
    最後の頼みは謎めいた古文書『ルーメン』に記された秘密だけ……。
    「セトラキアン老教授」は、危機のなか開催されるオークションにこの古文書が出品されると知る。
    だが入手を試みる教授の前に、因縁ある邪悪な元ナチ収容所長の吸血鬼が立ちふさがる……。
    戦慄の大作ノンストップ・アクション・サスペンス
    -----------------------

    『沈黙のエクリプス』に続き、目まぐるしく場面転換を繰り返しつつ、ハイスピードで進んで行く展開… ダークホラー的要素がより色濃くなっているので、本作品でもグロテスクなシーンは想像力を封印して、目を覆うような場面はサラっとかわしながら読み進めました。

     ■灰色の空(Gray Skies)
     ■寒風(Cold Wind Blowing)
     ■落葉(Fallen Leaves)
     ■降雨(Rainfall)
     ■エピローグ(Epilogue)
     ■巻末解説 ギレルモ・デル・トロ監督との出会い 小島秀夫

    本作品(第二部)では、「エイブラハム・セトラキアン」と吸血鬼「"マスター"」の対決を軸にして、「"マスター"」を含む、吸血鬼の7人の始祖「"長老"たち」等、吸血鬼側の様子を中心に、「セトラキアン」や「イーフリアム(イーフ)・グッドウェザー」、「ノーラ・マルティネス」、「ヴァシーリ・フェット」等の人間側の微力ながら懸命な抵抗が描かれています、、、

    〇「"マスター"」と他の「"長老"たち」との確執、

    〇「"長老"たち」に利用された「オーガスティン(ガス)・エリサルド」や「アルフォンソ・クリーム」等のギャング団の活躍、

    〇吸血鬼「アイヒホルスト」(元ナチ強制収容所所長)がオークションで入手しようとしていた古文書「オッキド・ルーメン」に描かれていた吸血鬼たちの誕生の秘密、

    〇マンハッタンを脱出しようとした「ノーラ」とその母親、そして「イーフ」の息子「ザカリー(ザック)」が遭遇した地下鉄事故、

    〇「ザック」を狙う、吸血鬼化した母親「ケリー」との闘い、

    〇ストーン・ハートグループを率いる大富豪「エルドリッチ・パーマー」が「"マスター"」を利用して計画していた陰謀とその結末、

    〇原子力発電所で「"マスター"」との命懸けの闘いに挑む、「セトラキアン」とメキシコ人の元覆面プロレスラー「アンヘル・グスマン・ウルタード」、

    等々、息もつかせぬ怒涛の展開が愉しめましたね。

    そして、悪疫は全世界に広がり、各地(この場所には意味があるのですが…)の原子力発電所の核爆発とメルトダウンにより人類は絶滅の危機に晒される… というところで第二部はエンディング、、、

    「"マスター"」が圧倒的に優位な中、「イーフ」等は絶望的な状況を打開することはできるのか… うまく収拾できるのか心配になるような状況ですが、この先は第三部『永遠の夜』の展開に期待したいと思います。



    以下、主な登場人物です。

    「イーフリアム(イーフ)・グッドウェザー」
     元CDC(疾病対策センター)所属の医師で疫学者。殺人容疑で指名手配中

    「ザカリー(ザック)」
     イーフの息子。11歳

    「ケリー」
     イーフの元妻。吸血鬼

    「ノーラ・マルティネス」
     疫学者。イーフの部下

    「マリエラ」
     ノーラの母親

    「エイブラハム・セトラキアン」
     ニッカーボッカー骨董質店主。元ウィーン大学教授(東欧文学および伝承を専門)

    「ヴァシーリ・フェット」
     ニューヨーク市有害生物駆除サービス課の仕事を請け負っている害獣駆除業者

    「オーガスティン(ガス)・エリサルド」
     メキシコ系ギャングのボス。18歳

    「アルフォンソ・クリーム」
     ガスのライバルギャング団ジャージー・サフィアズのボス

    「ロイヤル」
     クリームの仲間

    「アンヘル・グスマン・ウルタード」
     メキシコ人の元覆面プロレスラー

    「"長老"たち」
     吸血鬼の7人の始祖

    「"マスター"」
     7番目の長老。ポーランド貴族ユセフ・サルデューの身体を持つ

    「ミスター・クインラン」
     長老たちのチーフ・ハンター

    「アイヒホルスト」
     元ナチ将校で強制収容所所長。吸血鬼

    「ハウプトマン」
     元ナチ将校。吸血鬼

    「エルドリッチ・パーマー」
     ストーン・ハートグループを率いる投資家。大富豪

    「ミスター・フィッツウィリアム」
     パーマーの看護師兼ボディガード。元アメリカ海兵隊

    「ゲイブリエル・ボリバル」
     ロックスター。吸血鬼

    「エヴェレット・バーンズ」
     CDC(疾病対策センター)局長

  • 三つ巴の様相を呈してまいりました。ワクワクが止まらないッス!下巻へGo!

  • "人類はこのままでは滅びるだろう。絶望的な中戦い続ける男たちがいる。
    吸血鬼の親分同士の縄張り争いも激しさを増して行く予感。"

  • 若干本筋からズレた感想ですが、ストリゴイを理解し、打倒する鍵と言われるオッキド・ルーメンなる古文書の裏歴史がさらりとだが描かれており、錬金術師ジョン・ディーや心霊探偵で知られるジョン・サイレンスなる名前も出てきて秘かに大興奮(物語には登場しませんが)。そして更に古文書はルイ14世の寵姫マダム・ド・モンテスパン、またその産婆でもある魔女ラ・ヴォワザンに保管され、ウィリアム・ベッグフォードの手に渡るなど、史実と空想キャラと絡めつつの裏ストーリーにオカルト好きの私は大興奮!もちろん本文も楽しんでおります!

  • いきなり、かなり感染が広がったところから物語が始まる。マスターとセトルキアン一派の戦いがメインになるが、その中で吸血鬼一族の”秘密の書”争奪戦が今回のメインの一つになる。
    しかもマスターと長老との戦いも熾烈になって来た。
    ただ、どうしてもイーフとザック、バンパイアになったケリーとの絡みが鬱陶しい。それにノーラも絡んでくるのだけど、男性陣のキャラに比べて唯一の女性であるノーラのキャラが弱いため、ここの話は退屈。そのうえ、相変わらず被害者描写も長くてこれも不要。もう感染が広がってあちこちで悲劇が繰り広げられてるであろうことは分かっているのだから。

  • サクサク読める。前作ほどではないけれど面白かった。

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著者プロフィール

映画監督・脚本家・小説家。
1964年10月9日生まれ。メキシコ出身。
劇場長編監督デビュー『クロノス』(92)が各国の賞で高く評価され、97年の『ミミック』でハリウッド・デビューを果たした。『デビルズ・バックボーン』(01)、『ブレイド2』(02)を経て、念願だったマイク・ミニョーラの人気アメコミの映画化『ヘルボーイ』(04)を実現。映画はヒットを記録し、続編『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(08)はスタジオをユニバーサルに移して製作。その間にスペインで製作した『パンズ・ラビリンス』(06)は、アカデミー賞脚本賞にノミネートされたほか、カンヌ国際映画祭など各国で高い評価を受けて気鋭の監督として国際的に広く認知されるように。07年にはペドロ・アルモドバルらとメキシコで製作会社「チャチャチャ(Cha-Cha-Cha)」を設立。『ロード・オブ・ザ・リング』の前日談にあたる大作『ホビット』シリーズでは脚本を手掛けた。10年『パシフィック・リム』で、久々に監督に復帰。14年にはチャック・ホーガンとの共著で発表した初の小説「ストレイン」シリーズ(09年)のテレビドラマ化が実現。本作に続き、今後は『Pinocchio』『ヘルボーイ3』『パシフィック・リム2』などの話題作が予定されている。

「2016年 『ギレルモ・デル・トロ クリムゾン・ピーク アート・オブ・ダークネス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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