世界受容 (ハヤカワ文庫 NV ウ 22-3 サザーン・リーチ 3)

  • 早川書房
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本棚登録 : 88
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150413279

作品紹介・あらすじ

突如、拡大・浸食を再開した〈エリアX〉。変容していく世界で人類はなすすべもなく……

感想・レビュー・書評

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  • 皆最後は未知なる世界に飛び込んで行ってしまった。未知なる光に飛び込んで行ったコントロール、どうなったか分からない外の世界に戻ろうと歩き出すグレイシアとゴースト・バード。
    グレイシアは家族があり戻る世界があるけれど生物学者の進化したコピーのゴースト・バードはどこに戻るのか・・。

    なんとも理解し難い終わり方をしてしまった
    色々と解説が欲しい・・

  • 明かされないままの謎は、読者の想像、解釈に委ねられているという印象を受けました。いろいろ考えながら読み進める、面白い読書体験でした。

  • サザーンリーチ3部作。正直長かった!でもすごく面白かった。エリアXに取り込まれた気分。
    分子レベルでの擬態と滅亡した生命の生き残り。

    エリアXを調査する為に調査隊を大量に送り込んだあげく、何の結果も出せない虚構のサザーンリーチ。

    生物学者の視点で書かれた1部の全滅領域が映画化されていますが、1部を読了した時点では映画は良くできていたと思ったけど、アレはほんの表面的な話でしかなかった事が、3部全て読んだ時点ではわかります。

    2部では何も誰も信じられない感覚の中、サザーンリーチの新局長の視点で書かれます。Xファイルのよう。
    コントロール(新局長)の役立たずっぷりと、サザーンリーチ内に起きている異常さがじわじわ来ます。

    そしてエリアXに戻る3部。これまでに出てきた主要人物達の過去現在(未来)が入り混じって各々の視点で語られます。
    ここは混乱しやすいですが、局長(1部では心理学者)を中心に追えばわかりやすいかと。
    あとがきの解説にも親切に、全部読んだ後に3部の最初の冒頭を再読するように、教えてくれている。

    (ネタバレ)
    私の解釈。

    エリアXと地球のその他の場所では時間の流れ方が違う事し、エリアXは地球から恐ろしく離れた生命が絶滅した星に作られた、擬態された生態系であり、その星の超知的生命体が脱出した際に唯一生き残ったモノが灯台に辿り着き灯台のレンズに埋まって眠っていた。
    それを狂信的似非科学者ヘンリーが取り出し、灯台守が触れ感染と擬態が始まる。
    生命体は地球の生態系を完コピし、滅んだ星へエリアXを作る。エリアは拡大し続ける。

    サザーンリーチはエリアXから帰還した(寄越された)ラウリーという傀儡を通してエリアXに調査隊と言う名のサンプルを供給し続ける。
    調査隊の心理学者以外のメンバーは全て記憶を塗り替えられていた。

    エリアXになる前の忘れられた海岸に住んでいた局長は擬態に気付き、エリアXへ自ら赴く。しかし、生命体に感染し、死と同時に別の存在へ変容し、分子レベルでの尋問を受容する。

    生物学者の完璧なコピーと副局長は、自らを貫き最後は受容し変型したオリジナルの生物学者の後を継いだ。

    エリアXが選ばれたのではなく、生命体が眠る灯台のレンズが、原初の森に囲まれ、多種の生物、環境があり、完成した生態系の潮溜りを持つ地域だったために、擬態され侵食されたのでないかと思う。

  • Netflixで映像化されたので見たけどなんか結局何もわからないままで消化不良感が半端ない

  • シリーズ一冊目、二冊目を読んだので、読まざるを得なかったが、長過ぎる。終盤は多少苦痛。オチは期待しないこと。

  • サザーン・リーチ三部作の第三作、完結となります。
    エリアXに抗いようのなくなった登場人物、〝コントロール〟〝生物学者(ゴースト・バード)〟〝グレイス〟に加えて、過去の重要人物〝前局長グロリア〟〝灯台守ソール〟など…多彩な人物に焦点が当てられおり、特定の主人公は存在しません。
    又、時間も散在しており、過去・現在・未来がそれぞれ干渉し合う形で本書は構成されています。
    第一作から本書まで読了しました。
    エリアXやサザーン・リーチ等組織の存在意義、各人の思惑や真実が語られぬまま、物語は終わってしまいました。
    個人的には、作品として不完全な印象を受ける一冊となりました。
    もしも続編が作られるならば、補完を期待します。

  • 面白いんだけど、結局わからずのまま終わるんかい。何も解決しない、何もわからないまま。ソールに起きたあれが何なのか。しかし明らかにしてしまえば物語は陳腐になってしまうかなあ。

  • ううーん…。一気読みしないと全く判らなかったというか、しても判らなかったというか。
    不条理物いうのかな。「え?ここで終わり?」とすっきりしない感がもの凄いです。個人的にはいやだからエリアXの怖さってなに?という最初の疑問に戻ってしまいました。これシリーズ続くんですかね…。
    シリーズ1作目の全滅領域が合わなかったら、無理して読まなくてもいいかもという気がします。うーん!

  • 「全滅領域」「監視機構」に続く三作目。ゴーストバード、全局長、コントロール等視点が入れ替わって語られるが、前作のようにえんえんと精神不安定な視点で語られるよりは読みやすい。すっきり全てが分かるような終わり方ではないが、ところどころ理解できる心情があったり、独特な語り口に引き込まれるし、一気読みだった。世界を受容することについて綴られる手紙が印象深い。

  • 〈サザーン・リーチ〉3部作の第3部……ということで完結編。
    第2部を読み終えたあと、どういうオチをつけるのかと色々考えてから読み進めていたが、概ね予想通りだった。まぁ、このネタならこういうオチをつけるしか無いよなぁ、という感じ。
    第1部、第2部とは異なり、視点と時系列が入れ替わり、語り手も各々異なるのはミステリでよくある構成で、既刊での謎はここで概ね解決される。が、全て解決したのかと言われるとそれはちょっと違っていて、読後感は逆に不穏。そういったところが『バラードっぽい』『ディストピアSFに通じる』という評価の一因になっているのかな。ただ、ラスト自体は割合に希望があるんじゃなかろうか。そういう意味ではバラードとは一線を画している。

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著者プロフィール

1968年ペンシルヴェニア州生まれ。フロリダ大学在学中に短篇集を出版、その後、クラリオン・ワークショップで創作を学んだ。2001年に発表した短篇集City of Saints and Madmenで一躍注目を集め、長篇Veniss Underground(2003)は、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞ほか各賞の候補となった。アンソロジストとしても知られており、米ジャンル・フィクション界のキーパーソンの一人である

「2019年 『ワンダーブック 図解 奇想小説創作全書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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