美の幾何学―天のたくらみ、人のたくみ (ハヤカワ文庫 NF 370 〈数理を愉しむ〉シリーズ)
- 早川書房 (2010年8月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150503703
感想・レビュー・書評
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理論物理学者の伏見康治氏、画家の安野光雅氏、数学者の中村義作氏が、シンメトリーや遠近法、文様や寄せ木などをテーマに幾何学の美しさと面白さを語り合う。
著者の一人に安野光雅さんが入っていたため手に取ったのだが、高校以来幾何学に触れていない自分にはかなり難しかった。最初の方こそ、生物の形はシンメトリーが多い、といったわかりやすい話から始まるが、対談が進むにつれてどんどん内容が専門的になっていき、アラベスクや四次元の話になると、想像が追い付かなくて頭の中に「?」が飛び交う状態であった。
それでも「へえ、なるほど」と思ったのが、寄せ木のつくり方。
寄せ木は一つの模様が延々と繰り返される絵で、エッシャーや安野光雅さんが取り入れていることで有名だ。知識のない者から見ると、複雑な模様をどうやってつくりだすのか想像もできなかったのだが、本書では幾何学の論理で寄せ木が簡単につくれることを説明してくれる。実際につくってみたらもっと理解が深まるようなので、一度チャレンジしてみようと思っている。
教育の現場では、代数などの実務に「一見使える風」の数学が中心になっており、幾何学の割合は減っているのだという。本書が刊行された1979年時点でそうなのだから、より実務に直結する学問が優先されるようになった現代では、おそらく幾何学の割合はさらに減っているのだろう。
しかし、幾何学は論理が美しく、視覚的に理解しやすい分野で、数学の面白さを堪能できるすばらしい学問である、と対談者は口をそろえて言う。
実をいえば、学生時代に数学が苦手だった私も、唯一幾何学の証明問題だけはわからないなりに面白さを感じていた。
この本の内容をすべて理解したわけではないが、安野さんの言うとおり「一つの美学として」「趣味として」幾何学を楽しめたらもっと視野が広がるのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
<シラバス掲載参考図書一覧は、図書館HPから確認できます>https://libipu.iwate-pu.ac.jp/drupal/ja/node/190
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群論などを学習しているときの副読本となる。群論に興味を持つきっかけにもなるかも。
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主に対称性幾何学に関する楽しい雑談。初出が1979年ということで時代を感じさせる。たとえば、準結晶はまだ発見されていない。
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床とかを眺める癖がついてしまう。
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寄木模様の作り方、だまし絵の書き方、四次元の世界の話などを物理学者、画家、数学者が語り合うという内容。
図解と解説で数学のセンスが全くない私でも興味を持って読めた。
3人の語り口はとても柔らかいけれど幾何学への強い思い入れが感じらる。1979年新書の文庫版なので古い記述もあるが、巻末あとがきで訂正されている。 -
理解出来ないところが多くて1/3くらい読み飛ばした。