重力波は歌う――アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち (ハヤカワ文庫 NF)

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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150505097

感想・レビュー・書評

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  • 当時、浪人生だった自分は、受験に向かう電車の中で、重力波の検出に関するニュースを読んだ。
    その時、マイケルソン干渉系の問題が今年の入試には絶対出るんじゃないかと思っていたが、案の定、複数の大学で、出題されたことをよく覚えている。

    自分は、タイムトラベルについて、自分が生きているうちに可能なのか、もし実現したらどうなってしまうのかと、強い関心を昔から抱いていた。
    ウラシマ効果という重力の強さによって時間の流れが変わるというもの、それと重力波、重力エネルギーというものを用いれば、タイムトラベルが可能なのか?とか色々考えていたので、この重力波というワードは非常に気になる言葉であった
    この本を手に取ったきっかけはそんな感じだ。

    いざ読んでみると、重力波に関する理論的な知識などの内容は一切なく、シンプルに、重力波検出までの歴史を紐解いたドキュメンタリーだった。
    これはこれで非常におもしろかった。
    衝撃だったのが、自分の大好きな映画「インターステラー」の脚本に関わる物理学者が、キップソーンだったことだ!
    思わぬところで、自分の興味がつながり、驚いた。

    研究者の実態を、この本を通して初めてみることができた。理論物理学者の、未知の法則を解明しようとする、飽くなき知的好奇心には、強く尊敬の念を抱かずにはいられない。

  • 研究の裏にあったごたごたをひたすら並べている。

  • 巨大な科学プロジェクトの裏側の人間関係が中心の読み物.

  • つい最近ノーベル物理学賞で話題になった重力波に関するノンフィクションである。

    重力波の物理学的な理解というよりも、それを観測するための観測装置や観測所に携わった人の歴史が中心である。

    重力波は、Einsteinが発見した相対論から導くことができるある種の波動である。
    近代物理学は、すべて場(Field)と呼ばれる空間を基礎としており、粒子が場を通じて相互作用していると理解する。
    つまり、電荷通しが直接力を及ぼしているのではなく、各電荷が場を形成し、その場を通じて各々の粒子と相互作用しているというように定式化するのだ。

    たとえば、電子を空間の1点において、それを動かすと電子が作る場は変化することとなる。この場の変化は電磁波と呼ばれ、われわれが観測できる形となる。
    このロジックで、重力を媒介する粒子(これを重力子と呼ぶ)を仮定する(重力場を想定してもいい。現在、重力子は未発見の粒子であるので、重力場を仮定したほうが自然ではある)
    この重力子(重力場)が動くことがあれば、上の議論と同じように何かしらの波が発生するのではないかというのが、重力波である。
    問題は、重力は電気よりもずっと小さいので、重力場が少し変化した程度では小さすぎて観測できないのだ。

    ということで、観測するためにはスケールが大きい対象が必要である。この場合はブラックホールが最適だ!
    非常に重い物質が動けば動くほど発生する重力波も大きくなるのだ。

    重力波を観測した設備をLIGO(Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)重力波望遠鏡と呼ぶが、この観測装置が観測した重力波はブラックホールの衝突で発生した際のものであり、その大きさは地球到達時になんと地球が1mm動くくらいの重力波である。
    超絶精度である。
    1mmなんて近くに電車が通っただけで、飛行機が上空を通過しただけ簡単に変位するくらいである。
    実際はレーザー干渉計で1辺数キロで変位を見ているので、もっと小さい変位と(約10^−18 m)なる。

    これを検出する装置の発明は、まさにノーベル賞受賞にふさわしい快挙である。
    本書を読むと研究開発や予算の確保でいろいろな物語があったのだと伺うことができる。

  • 早川書房さんはカズオ・イシグロ祭状態のようですが、ノーベル物理学賞の関連書籍も出してましたねー。

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