- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150700669
感想・レビュー・書評
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クリスティの長編。ポアロシリーズ二作。ポアロの方針や探偵としての考え方を提示した作品。
相方はヘイスティングス。
ヘイスティングスは相変わらずロマンチストで、一種のお約束だ。再読により、ヘイスティングスのキャラクターに辟易している自分がおり、僕自身大人になったなぁと感慨に耽る。それにしても今回の彼はめちゃくちゃだが、子供を見守る様に俯瞰で見つめているポアロは大人だ。
ストーリーとして、ポアロの元に富豪のルノーから自身のことについて調査依頼が届く。ヘイスティングスと共にフランスにあるジュヌヴィエーヴ荘に訪れるが、依頼人であるルノーが既に殺害されており、ポアロは殺人事件に乗り出す。という物だ。事件はジュヌヴィエーヴ荘を中心に広がり、過去に起きた似た様な方法の殺人事件、謎の第二の死体、ヘイスティングスが運命的な出会いをするシンデレラの招待等複数の謎が混ぜ合わされて構成されている。
ポアロは人間自体が謎を解明する重要な物であると理解し、心理学的な観点と一つ一つの事実をロジカルに整理し組み合わせる事により真相を解明していくが、今回はその対比としてジロー警部が登場し、アクセントになっている。彼は猟犬の様に現場に這いつくばり様々な物を見つけて組み立てるが、ワンマン思考であり、ポアロに言わせれば想像性に欠ける。今回ポアロに打ち負かされた事で反省してくれれば良いが(笑)憎めないキャラクターだ。
ネタバレ含むが、事件について強盗殺人と見せかけて実は偽装で、過去の殺人事件をしる脅迫者から逃げる為、偽装工作していたはずが実際に殺害されてしまう。犯人がつかまり、しかしどうも犯人では無さそうな中、一人の女性が自身か殺人を犯したと告白し、物語は決着したと思っていたが。そこから更にドンデン返しがあり、ポアロが冒頭に注意していた結末になる。やはりクリスティの構成力は見事だ。
終始手に汗握り面白かったし、ジローをもう少し掘り下げて欲しかったが。やはりフーダニットに関してはクリスティはずば抜けており、真犯人の動機も納得のいく物だ。女性の恐ろしさがありありとわかる作品だ。
今作も再読により印象が変わった作品だ。以前は翻訳も古い作品だったため、イメージが違っていたのだろう。しかしヘイスティングスの挙動がいちいち邪魔に感じてまい、いつになったらポアロを信頼するのだろうと思ってしまう。一方で今回彼は結婚し、ポアロおじさんはどれだけ愛に明るい人なのだろうと嬉しく思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミステリ。ポアロ。シリーズ2作目。
ポアロ対ジロー刑事の推理対決。
事件は複雑ながら、謎解きは少しアッサリ。
今作はヘイスティングズが主役の物語だったように思う。
シンデレラの存在が事件をかき回し、作品に緊張感を与えている。いいキャラクターだなぁ。 -
ポアロかっこいい。
そして、何よりヘイスティングズの恋。 -
腑に落ちない。悪人の子は悪人と決めて良いのか?ゴルフ場というのもピンとこない。
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事実が二転三転としていくので
読みづらさを覚えてしまうかもしれません。
ただし後半にかけてのその描写は
ある意味「うまい」と思えるものなのですが…
「過去の事件」がキーとなります。
勘が鋭い人は序盤に出てくる事実で
ある関係を見抜くことが出来ることでしょう。
ある意味恐ろしい因果ですな。
そして終盤の
息も詰まる最後の事件…
そして発覚する犯人は
驚かざるを得ないでしょう。
次々出てくる事実に
惑わされることなきよう… -
1923年発表
原題:The Murder on the Links -
アガサ・クリスティーの本の中で今の所いちばん好き。
中盤の段階で事件の全容は明らかになるのに、依然犯人は隠れたまま。そこからラストへの展開には驚きました・・・素晴らしい!