靴に棲む老婆〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
4.11
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150701567

作品紹介・あらすじ

製靴業で成功したポッツ家で決闘騒ぎが起き、巻き込まれたエラリイは一計を案じるが……奇妙な童謡殺人を描くクイーン中期の傑作

感想・レビュー・書評

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  • 新訳読みやすかった。マザーグースの見立て連続殺人なのだが不穏感は少なく、事件から謎解きへの流れは逆にきびきびとした印象。解説にもあるようにポッツ家の異常者は発表当時程驚かれないかも。エラリイの好みのタイプはわかりやすい。

    • akikobbさん
      いや、モノマネしきれてないですね^^;
      短くまとめるの理想なんですけどね、捨てきれなくて(映画も、面白いのに70分くらいの短さのが好きです)...
      いや、モノマネしきれてないですね^^;
      短くまとめるの理想なんですけどね、捨てきれなくて(映画も、面白いのに70分くらいの短さのが好きです)。111108さんは潔さがある方なんだろうなあ、なんて勝手ながら思ってました(*´꒳`*)
      エラリイの好みについては、読了してから考察したいと思います!笑
      2023/04/09
    • 111108さん
      あ、モノマネじゃなかったですね、恥(〃ω〃)‼︎
      いやいや、潔いだなんて‥私は逆にakikobbさんの覚え書きみたいなのが楽しくてしょうがな...
      あ、モノマネじゃなかったですね、恥(〃ω〃)‼︎
      いやいや、潔いだなんて‥私は逆にakikobbさんの覚え書きみたいなのが楽しくてしょうがないですよ!面白いって思ったことをそんな風に書き留めたいなとか、ブク友さん達のようにあらすじとか感想とかちゃんと書きたいと思うけれど、文章考えるのが難しくてたぶん読む時間が削られると思うとできません。読んだ記録を残すという最低限のことができればいいと思うことにしてます。
      2023/04/10
    • 111108さん
      エラリイの好みについてはレビュー楽しみにしてます♪
      エラリイの好みについてはレビュー楽しみにしてます♪
      2023/04/10
  •  一九四三年初版。国名シリーズ→ハリウッド→ライツヴィルときて、またここでニューヨーク市警レギュラー陣わちゃわちゃシリーズへ戻る。わちゃわちゃぶりはだいぶこなれてきた…ヴェリー部長刑事もよく喋るし(昔は影のようだった)、プラウティ医師も少ない出番ながら「(プラウティ医師、退場)」なんて太字の括弧付きで書かれたりするし…と思ったら、解説によるとこうした登場人物たちの性格や“ノリ”は一九三九年に放送開始されたラジオドラマ版エラリー・クイーン・シリーズに寄せたものだとのこと。
     なるほど、それだけでもなるほど、なんですが、本作はさらにそのラジオドラマ版に登場するある人物の、前日譚まで兼ねているということだ。こういう演出は本当にクイーンの得意技だよなあと思うが、当時のラジオドラマファンの人はさぞかし喜んだだろう。論創社から四冊出ているというラジオドラマの脚本集、私もいずれ読まねばなるまい。

     ミステリーとしてのトリックやらロジックやらについてのコメントは、すでに世にある解説や他の方のレビューにお任せして、私はやっぱり、『十日間の不思議』のレビューに引き続き、エラリーの恋愛について語りたい。ので語ります。

    ※他作品も含め、このあと事件の真相に関わるようなネタバレはしないつもりですが、そうでない部分についても先入観を持たされるのはごめんだという方はご注意ください。

     今回のエラリーのロマンスは、エラリーがシリーズの主人公名探偵として到達できる最大限の「恋の成就」だったのではないかなあ。という話。(ど、どうでもいい!が続ける)
     まず、エラリーは結婚する未来を封じられている(第一作『ローマ帽子〜』の序文では、後に妻子を設けイタリアに移住する未来が描かれていたのに、いつのまにかその設定は闇に葬られた)。そして、一九三八年『ハートの4』で初登場し、短編集『エラリー・クイーンの新冒険』に収められた一九三九年発表の四作品で甘々のイチャつきぶりを見せた相思相愛の恋人ポーラ・パリスは、その後姿を表さない(らしい)。やはり、探偵役にステディな相手がいると、作劇上何かと都合が悪いのかもしれない。“名探偵を結婚させると不自由”という言説は、以前『明智小五郎全集(講談社文庫)』の解説でも見かけた。
     見えざる神の手によって結婚も恋愛も阻止される運命にあることを悟った(?)のか、エラリーは『災厄の町』でパティ・ライトといい感じになるも、“美女に惚れられても身を引いてしまう寅さん体質”(飯城勇三『エラリー・クイーン完全ガイド』より)を遺憾無く発揮。ポーラのときのように決定打をかましにはいかず、失恋といえば失恋に終わった。それに対し、今回の恋のお相手とは、飯城さんの解説によれば今後も“友達以上恋人未満”の関係が続くということだから、いわば“持続可能な男女関係”(←野宮真貴が横山剣とのデュエット曲に関して述べた言葉をお借りしました)に持ち込めたわけで、物語の都合を背負ったエラリーの立場としては最大限の勝利なのではないだろうか。私みたいな下世話な読者に対しても、楽しいニヤニヤを提供できるし。
     エラリーがどれだけ熱をあげるかは色々だが、ある時期以降結構どの作品でも印象的なヒロインが登場するのもクイーン作品の面白いところだ。色んな美女が出てきて、まさに寅さん見てる気分。女性の台詞は特に古い訳だとどうも不自然に感じがち(「〜ですの」とか)なので、どんどん新訳が出てくれたら嬉しいなと思うけど、ちょっと古い日本映画の女優さんのあのお上品な話し方をイメージすれば良いと思えば、苦手意識が減るかもしれない!

     

    • akikobbさん
      111108さん

      お返事ありがとうございます。伝わりましたか、良かったです!というか聞いて下さってありがとうございます、私の語りたい話題を...
      111108さん

      お返事ありがとうございます。伝わりましたか、良かったです!というか聞いて下さってありがとうございます、私の語りたい話題を…笑
      内気な眼鏡女子とか、お色気系お姉さんなど、意外とバラエティ豊かに美女自体は登場するのですが、彼女たちにはエラリーはあまり興味がないみたいでした(活発さ△、上品さ△、というところか)。

      111108さんはもうお気づきかと思いますが、恥ずかしながらエラリーシリーズに関しては私はついつい恋の駆け引きシーンにばかり夢中になって読んでます。が、これはもうエラリー好きだから仕方ない…。個人的にそこまで好きでもないイケメンが気取り散らしていたら、私もそのたじたじ感覚になる気がします。
      でも、とはいっても恋愛小説ではなくミステリーだから楽しいんだという気持ちもあって(推理なんてしてないにしても)、ミステリー小説の面白さって深いですよね〜。(←きれいにまとめたつもり)
      2023/04/15
    • 111108さん
      akikobbさん

      ええ、気づいてましたよ。前に学生の頃好きだったミステリー話でブラウン神父をあげた私と、エラリイをあげたakikobbさ...
      akikobbさん

      ええ、気づいてましたよ。前に学生の頃好きだったミステリー話でブラウン神父をあげた私と、エラリイをあげたakikobbさんでは「好き」の範囲が微妙に違うなぁと笑 
      ミステリーに恋の駆け引きシーンいる?と思ってた私には、こう堂々と「待ってました」宣言されれば何も言えません。むしろそんな風にも読めることがうらやましい!いや〜ミステリー小説の面白さって奥深いですよね〜←まとめセリフいただきました♪
      2023/04/15
    • akikobbさん
      たはは(〃ω〃)
      たはは(〃ω〃)
      2023/04/15
  • ハヤカワの新訳、クイーンをこの頃読み続けてきたけれど、久々に(ゴメン)面白かった!
    と、いうか、やっぱり私は見立て、マザーグースが好きなのだと思う。
    題名からして、あ~『靴の中のおばあさん』なのねって(他の訳、多々あるけれど)思ったし、ちょっとアレ~な子ども三人って事も、不謹慎ながらもワクワクした。
    まさかのクイーンの嘘八百や、シーラの「え!」もコーネリアの、「わぁ!」も楽しめた。ライツヴィルシリーズ、国名シリーズよりもこんなに面白く読み終えたクイーンは他になかったかも。

  • クイーンを語れるほど読んでるわけではない、というひとの感想。コミカルな要素がたくさんあって、テンポよく、面白かった。変人を変人と最後まで書き切ったし、変人だなと受け入れられるほどの描写もあったので、読んでる側の納得感もあった。

    とある殺人事件のお話を途中で投げ出し中なのですが、人物描写や劇場感はこちらの方が好みかなとは思いました。変人一家は同じなんですが、人物側の描写が足りてないのか。そちらもいずれ読みますが。

    嵌められた人物の言動と結末、ああ、そうか、だから真っ白になってしまったのね、と。真相を知ればなるほど、とても巧妙でした!

    なんとなくエラリィが得した感もないわけではなく。いずれにせよ、展開の割に後味はそこまで悪くない不思議。

  • 私はクイーンが1番好きだ。作家全体の中でも1番かもしれないほど好きだ。
    入りの小難しい描写はもう"クイーンみ"としてクセになっているし、殺人の不可解さも絶妙な加減の謎もたまらない。複雑にしましたというだけでない、シンプルながら解けそうにない謎というのがクイーンの魅力だ。

    然して、今作は本格ミステリとしてあっと驚かされる難解さではない。それで言うならXの悲劇やギリシャ棺の秘密に比肩するものはないだろう。
    言ってしまえば、クイーン作品はおや?と思う部分が存在することが多い。災厄の町なんか、エラリイが気づかないことが不思議でならなかったほどだ。それに「なんでやねん」と突っ込みたくなるような失敗もあったりする。もっとしっかりしてれば殺させずに済んだだろうと思うようなこともままある。しかしそれでも、謎としての完成度の高さには感嘆させられる。私が違和感を覚えたところのほか、それ以外のとっかかりから真実を手繰り寄せていく過程の鮮やかさには舌を巻く。論理的かつ芸術的なミステリなのだ、クイーンは。

    後日談は正直蛇足というか、中途半端な恋愛描写で私は首を傾げた。だって昨日まで「知人の婚約者」だった女の子をねえ?ニッキー、いや、うん…
    というのは置いておいて、3時間ほどで読了。クイーンは本当に面白い。濃密で芸術的な論理のミステリだった。
    にしてもミステリ諸君は本当にマザーグースがお好き

  • 久しぶりにエラリイ・クイーンを手にしたけど、やっぱり面白い。クイーンの作品はかつて一通り読んだけど、新訳シリーズに期待しちゃう。けっこうクイーンのキャラが違う印象になるよね。ドルリィ・レーンの4作品もハヤカワで新訳出してくれませんかね。

  • メタミス的なひねりもあまりない、直球勝負なミステリで、長さも考えるとメイントリックがやはり軽い気がする。その分、読み物としては抜群に面白い。濃すぎる登場人物に、マザーグース殺人と仕掛けも派手。最後の拳銃が見つかってからの、罠と称するエラリイのドタバタなんて過剰サービスの気もする。巻末の解説ではラジオドラマとの関係が指摘されているが、なるほどなあという感じ。
    個人的には生涯で初めて読んだエラリー・クイーン物で、多分中学生(ひょっとしたら小学生)の頃のことで、異様に面白かったことはともかく、終盤の展開(犯人が誰とか、署名を巡るあーだこーだ)をまるごと覚えていたのは、さすがに子供の記憶力。ひさしぶりの再読に感慨深かかったり。

  • ライツヴィルものが不評かもしれないという可能性も考え、書かれた作品とは。という事でいつもの面々も登場。
    また、ラジオドラマ版との連携も考え、他の作品よりもやや幼く感じるエラリィのキャラクター(ライツヴィルものとはがらっと変わっている)、そこにしか出てこない女性秘書の過去が盛り込まれている。
    探偵や警察の前で堂々と殺人が起きてしまうという異色な事件ではあるが、最後の最後にどんでん返しに次ぐ更なるどんでん返しが待ち受けている。

  • トリックそのものよりも、「変人揃い」の家族に漂うなんとも言えない不吉な雰囲気が独特。もっともホレイショとルーエラについては、現代の目からは、変人ながらそこまで害のありそうな人物には見えない。このへんは時代の違い。

  • 製靴業で成功したポッツ家の強烈な女主人、イカれた3人の子どもとまともな3人の子ども。無茶苦茶な決闘から始まる連続殺人……

    ポッツ家のメンバーの強烈なこと!まともじゃない家族たちには『Yの悲劇』のハッター家を連想したけど、向こうよりなんだか魅力的だったな。
    ねじれにねじれた展開で、最後の怒涛の解決編はもう夢中で読んじゃった!いやあ面白かった。

    エラリイも警視もポッツに振り回されるんだけど、なんか結構楽しそうなんだよね〜。越前さんの新訳で順々に、苦悩するエラリイ、立ち直るエラリイと読んできて、また楽しげなエラリイに会えて楽しかった。

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