喉切り隊長 (ハヤカワ・ミステリ文庫 カ 2-12)

  • 早川書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150703622

感想・レビュー・書評

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  • カー作品には大きく分けて怪奇趣味の本格物と歴史サスペンスの2種類があるが、今回は後者に当たる。
    文庫背表紙の梗概には音もなく忍び寄っては兵士を一突きに殺害する通称「喉切り隊長」の正体とは?といった本格ミステリ色豊かに表現されていたためてっきり犯人捜しが主眼だと思われたが、ところが寧ろそっちの方は物語としてはサブ・ストーリーとして流れていき、主眼はヘッバーンのフランスにおける諜報活動にあった。筆者は趣向を凝らし、アランの身柄の保障を条件に喉切り隊長の犯人捜しをさせるといったサスペンス色を凝らしているのがミソ。
    しかし前述にあるように主眼はあくまでもアランの諜報活動にあり、その辺のスリルは『ビロードの悪魔』を髣髴させる出色の出来。
    本来ならば星4つの評価を与えたいのだが、「喉切り隊長」の正体が強引過ぎる(と思われる)点と、結局「喉切り隊長」の殺害方法の不思議さについてなんら解明がされていない点の2点において3ツ星とした。
    しかし、活字が大きくなるとカー作品がこれほどまでに読み易くなるとは思わなかった。以後もこの字組で再版される事を切に願う。

  • 舞台は1805年、皇帝ナポレオンが活躍しているフランス。イギリス人のスパイ、アランと彼の妻マドレーヌがフランス陣営内を騒がせる『喉切り隊長』事件の調査を依頼され……。

    冒険活劇+ちょこっとミステリ、といった印象。各キャラクター達が一癖も二癖もあって、アクションシーンあり、ロマンスあり、波瀾万丈の展開にハラハラ・ワクワクです。
    どちらかというと、活劇成分が多めなので、スパイ作品とかアクション映画とかが好きな人にオススメでしょうか。

    アランと、彼を執拗に追い続けるシュナイダーとが、お互いぼろぼろになりながら降りしきる雨の中、剣を構えて馬で突撃しあうシーンは格好良すぎる。痺れました。

  • 歴史ミステリです。
    時代はナポレオンが皇帝の位についた年の翌年、トラファルガーの海戦があった1805年です。
    実在の人物であるフーシェはブーローニュの陣地内で次々と兵士を襲って首を掻き切る「喉切り隊長」を7日のうちに引き渡せと皇帝から命令されます。
    フーシェは犯人究明の為、逮捕したばかりのイギリスの若きスパイ、ヘッバーンに捜査を代行させます。
    ヘッバーンも優秀なスパイですから一筋縄ではいかない人物です。
    こうして物語はフーシェとヘッバーンの虚々実々の駆引きやヘッバーンの恋愛等を含めて展開していきます。
    ミステリとしてもスパイ小説としても楽しめます。
    犯人については意外すぎて何も言えません。
    本書は歴史マニアのカーらしい作品だと思います。

  • 2020/08/15読了

  • 犯人にずっこけた。ねーよ。でもそう言うところが好きだ。

  • イギリス侵攻を目前としたナポレオン軍の陣内で起きる連続殺人。犯人は「喉切り隊長」と名乗る。
    警察大臣フーシェは捕らえたイギリスのスパイ・アランに調査を命じる。

    2009年1月25日初読

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著者プロフィール

別名にロジャー・フェアベーン、カー・ディクスン、カーター・ディクスン。1906年、アメリカ生まれ。新聞や学生雑誌への寄稿を経て、30年に「夜歩く」で作家デビュー。長年の作家活動の業績から、63年にアメリカ探偵作家クラブ賞巨匠賞、70年には同特別賞を受賞した。1977年死去。

「2020年 『帽子蒐集狂事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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