プレイバック (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-16)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150704667

感想・レビュー・書評

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  • 19冊目『プレイバック』(レイモンド・チャンドラー 著、村上春樹 訳、2018年9月、早川書房)
    私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする長編小説としては7作目であり、チャンドラーの遺作でもある。村上春樹が翻訳するマーロウシリーズとしてはこれが6作目。
    「優しくなければ…」のセリフで有名な作品ではあるが、内容そのものの評価は芳しくないらしい。
    なぜそこで?と首を傾げたくなるベッドシーンがあるのだが、その理由は翻訳者のあとがきを読む事で理解する事が出来た。

    〈優しくなれないようなら、生きるに値しない〉

  • チャンドラー作品六作目。あの有名な台詞はこちらに収録されていました。終始なにが起きているのかわからず…(中・終盤あたりでわかってくるので安心してくださいw)。しかし、独特な描写で読者を離さないチャンドラーはさすがだなと。訳もマッチしててとても好きだ。

  • ほとんど何も起きない。
    マーロウがテンポよく喋り続けるだけ。

    駄作とは思わないけれど、個人的にはどうなんだろうと思ってしまう。
    ヒロインもラスボスもピリッとしないし。

  • ある程度は理解できた。
    これが私にとってのチャンドラー長編の最後の一作。
    最後に出てきたリンダ・ローリングがわからなかったが、あとがきで、長いお別れに出てきた登場人物だと書いてあった。
    全く覚えていない。

  • 文学ラジオ空飛び猫たち第29回紹介本。 「ロング・グッドバイ」の続編、「プレイバック」を取り上げました。 今作には有名なセリフが登場します。 「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きてる資格はない」 このセリフも訳者によって訳し方は様々。ラジオでは清水俊二訳と村上春樹訳の違いを話しています。表現が違うと印象も変わってくるのがおもしろいです。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/29-epnjs1

  • 私が知らないだけでフィリップ・マーロウの有名な台詞が登場する作品。
    内容はミステリー要素ありつつどうも煮え切らず、登場人物のマーロウを除く全員が好き勝手にやってる感じでまとまりがない。
    尾行する対象の女性の過去ももう少し深掘りしてほしいところだし、追う側の背景ももっと描写があってもよかった。
    この回もマーロウがただただ振り回されて、それでも何とかハンドルを握ってマーロウの道に戻してる感じだった。

  • 図書館に行って適当に借りようと思っていたのに、チャンドラーにひきつけられて、続けて借りてしまった。3冊目。あとがきにもあったが、あまり評判は良くない作品のよう。終盤に行くまで何の事件なのか、依頼もされていないのにマーロウがどうして動いているのか、モヤモヤした。それでも、やっぱり楽しめた。脇役の登場人物の描写がいい、きちんとそこに存在している様子がわかる。

  • ロング・グッドバイを読んだ直後に手に取った。
    それがあまりに良すぎて、何だかちょっと物足りない感じがした。
    が!マーロウは相変わらずマーロウで、やっぱりタフで、だけど殴られて。そして優しい。そう、タフでなければ生きていけないし、優しくなければ生きている資格がないのだ。それを体現しているかのようだった。
    ただ、今までとちょっと違うのが…誰かとくっ付くことはなかったマーロウだったが、今回はラストで…あれれ?どうなるのかな。

    これで、私のマーロウを眺める旅は終わったけれど、もう少し、もう少し、あのタフでどこか優しい探偵さんのお話を読みたかったなと思う。

  • プレイバック

    著者:レイモンド・チャンドラー
    訳者:村上春樹
    発行:2018年9月15日(単行本は2016.12)
    早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫)

    「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」

    小説そのものより、この下りの方がずっと有名かもしれない。チャンドラーの小説に出てくることを知っていても、「長いお別れ」や「さらば愛しき女よ」あたりに出てくると思っている人もいるかもしれない。僕の印象では、この言葉は有名だけど、プレイバックの小説そのものはそんなに面白くない、と評する人が多いように思う。

    ともあれ、この有名な言葉を村上春樹が果たしてどう訳しているのか。なんといっても興味はそこにつきる。現に、今回の訳者あとがきでも最初からその話題になっている。大抵の人は同じ質問をしてきたそうだ。「あの部分はどう訳すんですか?」

    この言葉、冒頭に「男は」をつけて角川映画が70年代後半にコピーに使って一躍有名になった。訳者あとがきによると、これは1960年代に小説家の生島治郎が訳した「タフじゃなくは生きてはいけない。やさしくなくては、生きている資格はない」がもとになっているという。
    もちろん、この他にもいろいろ訳があり、

    「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」(清水俊二訳)

    「ハードでなければ生きていけない。ジェントルでなければ生き行く気にもなれない」(矢作俊彦)

    僕自身は、清水訳で若い頃に読んだ記憶がかすかにある。

    さて、問題の村上訳。とても楽しみに読み進んだが、見当たらなかった。あれ?どこだろう??と訳者あとがきを読んでいたら、「あまり自信はないけど、『まあ、これくらいが妥当ではないか』というあたりで僕なりになんとかまとめた」と書かれていて、25章にあるとあった。

    読み返してみると、確かにあった。僕は原文英語に対してその訳が適切かどうかは分からない。でも、見事に過去のどの翻訳のイメージをも彷彿とさせずに訳している。あれだけ固まったイメージを、まったく連想させない訳はおそらくとても見事だし、僕のように「あれ?出てこなかった」と思わせるのは、訳者村上春樹本人の最も本意ではなかったかとも思う。
    見事にやられた。
    (原文)
    If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.

    チャンドラーが、唯一昼間から酒を飲みながら書いた小説。元々、映画のシナリオとして書かれたものを小説化。完成した最後の小説。

    (設定)
    ある朝、知らない弁護士から電話で依頼。ロサンゼルスのユニオンステーションから、ある女を尾行し、彼女がどこで腰を落ち着けるかを調べて欲しい、と。
    尾行すると、彼女はサンディエゴで降り、海辺の高級地のホテルに入った。しかし、マーロウはちょっとした隙に彼女を逃し、チェックアウトされてしまった。調べると、再び鉄道に乗るはずだった彼女の計画は邪魔され、再びその地で滞在していることが分かった。
    彼女は、一人の男にゆすられている様子だった。
    マーロウは、一旦、ロサンゼルスに戻って弁護士に彼女を尾行する理由などを詰問するが、弁護士は答えない。マーロウはサンディエゴへと戻る。

    ***(個人的メモ、読書予定の人は読まないでね)***

    エリザベス(ベティ)・メイフィールド(尾行対象の女)
    ラリー・ミッチェル(ゆすり屋、ベティにつきまとう男)
    クラーク・ブランドン(ホテルのオーナー)
    ロス・ゴーブル(私立探偵)
    クライド・アムニー(依頼してきた弁護士)

    アムニーからベティの尾行を依頼されたマーロウ。LAのユニオン・ステーションからサンディエゴの「エスメラルダ」という街へ。LAでベティはラリーに脅されていた。後に分かるが、列車の中で知り合ったという。ラリーはエスメラルダに住むたかりで生きているろくでなし。高級ホテルに滞在。

    マーロウは、いったんは彼女を見失うが、再び見つけて依頼主弁護士のアムニーに報告。なぜ彼女を尾行するのか聞くが、なにも言わない。しかし、段々とワシントンDCの別の弁護士からの依頼であることを告白。どうやらベティは嫁ぎ先から大金を持ちだし、名前を変えて転々としているらしい。

    あるとき、ベティがマーロウの滞在する部屋に訪ねてきた。自分の部屋のバルコニーでラリーが死んでいるから死体を始末してほしいとの依頼だった。彼女は大金を持っていた。
    そこに行くが、死体はなかった。しかも、ラリーは翌日に荷物を持って旅立ったと駐車場係が証言した。1週間分の滞在費を前払いして。おかしいと感じるマーロウ。やっぱり死んでいるのでは?

    ラリーはホテルオーナーのブランドンと知り合い。ラリーのベティに対するからみ方を見かねて助ける。一体、ラリーは彼女のどんな弱みを握っているのか?

    ロス・ゴーブルという私立探偵が接近してきて、マーロウを尾行などする。ラリーを探しているともいう。その彼が、マーロウが滞在する部屋で半殺しの目にあった。マーロウもあやうく殺されかけたが、察知して殺し屋と格闘し勝つ。どういうことか?

    ノース・カロライナから、ベティの死んだ夫の父親が警察署長のところに来た。ベティについて、自分の息子を殺したと主張している。息子は戦争でのけがで首にギプスをして生きていたが、それをベティが外して殺したと主張。彼は大金持ちの有力者だった。しかし、裁判で彼女は陪審員からは有罪とされたものの、判事の判断で無罪となった。父親はそれが許せず、俺の力を持ってすれば、ベティがどこに逃げようと徹底的に懲らしめられるんだと大口を叩いた。

    ラリーは、そんなベティの過去を知っていたので、彼女を脅して大金をせしめようとしていたのだった。しかし、ベティと愛し合っていたホテルオーナーのブランドンは、ラリーを殺し、死体を持ち出し、ラリーの車を30キロ離れた渓谷に置き去りにしておいた。死体はヘリで海に捨てた。
    これが真相だった。

    私立探偵も、大金を狙ってきていたようで、だからラリーを探していた。彼らは元々知り合いで、金をゆすりに来ていたが、ラリーが先に死んだため一人でブランドンからお金をかすめ取ろうとした。だからブランドンに雇われた殺し屋に半殺しにされた。

    (名言)
    常識というのは、今週車をどこかにぶっつけた人に向かって「君は先週のうちにブレーキの調整をしておくべきだったね」と忠告するようなやつだ。常識というのは、自分がチームに加わっていたら、週末のゲームなんて楽勝だったのにと言う、月曜日のクォーターバックのようなやつだ。(152)

    「厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない」(293)

  • プレイバックがあまり好評ではなかったとの事で別作品の期待度があがった。

    次はロンググッドバイ読んでみよう

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著者プロフィール

Raymond Chandler
1888年シカゴ生まれの小説家・脚本家。
12歳で英国に渡り帰化。24歳で米国に戻る。作品は多彩なスラングが特徴の一つであるが、彼自身はアメリカン・イングリッシュを外国語のように学んだ、スラングなどを作品に使う場合慎重に吟味なければならなかった、と語っている。なお、米国籍に戻ったのは本作『ザ・ロング・グッドバイ』を発表した後のこと。
1933年にパルプ・マガジン『ブラック・マスク』に「脅迫者は撃たない」を寄稿して作家デビュー。1939年には長編『大いなる眠り』を発表し、私立探偵フィリップ・マーロウを生み出す。翌年には『さらば愛しき女よ』、1942年に『高い窓』、1943年に『湖中の女』、1949年に『かわいい女』、そして、1953年に『ザ・ロング・グッドバイ』を発表する。1958 年刊行の『プレイバック』を含め、長編は全て日本で翻訳されている。1959年、死去。

「2024年 『プレイバック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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