幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150705541

作品紹介・あらすじ

けんか別れした妻が殺された。そのとき、夫は街で出会った奇妙な帽子の女と過ごしていた。唯一の証人は彼女だけ……今はどこに?

感想・レビュー・書評

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  • 皆さんのレビューから読みたくて。有名な書き出し含めて詩的な表現と戦争間近の時代感が時限サスペンスと融合して独特の雰囲気。アリバイ証明でターゲットの人物に向かう捜査がやり過ぎ感あるが面白くてぐいぐい引き込まれた。読めてよかった。

  • ミステリーの古典でどんでん返しの結末、それだけでは興味津々ですが、 J・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズの面白さを知った私が本作を手にするのはもはや必然だったように思います。

    エドガー・アラン・ポーのモルグ街の殺人から始まった推理小説の歴史。

    本作も不朽の名作であることは読めばわかります。

    主人公は株式ブローカーのスコット(職業は本作では全く重要ではありません)。

    妻となんとか離婚をしようとしていたスコット、それまでとは手法を変え食事と劇場に妻を誘う。

    直前になって行かないと言い出す妻と激しい言い合いの末に家を飛び出したスコットは何気に立ち寄ったバーで不思議な帽子をかぶった女性と出会い、妻と訪れるはずだった食事と劇場にその女性を誘う。

    出会ったバーで再度酒を飲み、何事もなく女性と別れ、家に帰り着くと警官が。

    スコットが外出している間に妻が絞殺されており、スコットは殺人容疑で勾留されてしまう。

    妻の死亡時刻にはバーにいたと言うスコット。

    彼がその時間にバーにいたことが証明できればスコットの無実は証明される。

    しかし、バー、レストラン、タクシー、劇場の関係者はスコットは1人だったと証言し、彼は電気椅子による死刑を宣告される。

    スコットに残された時間はわずか。

    彼の無実を証明できる唯一の存在、"幻の女“はどこに消えたのか?

    スコットは"幻の女“探しを親友であるジョンに依頼する。

    友の為、ジョンは"幻の女“を探し始め、手がかりを掴むごとに情報源となった人々が次々に不審な死をとげます。

    スコットが処刑されるまさに当日、ジョンはついに"幻の女“に辿り着く。

    ジョンと時を同じく、スコットの無実を証明しようと走り回っていたのが、彼の若い恋人(愛人)キャロル。

    裁判でのスコットの発言からもしかしたら彼は真実を語っているのかもと疑念を持ち始めた刑事バージェス。

    三者三様で追い詰めた"幻の女“。

    そこで明かされた驚愕の真実。

    もはや古典とも言われる本作ですが、全く古さを感じることなく読み終えました。


    説明
    内容紹介
    創立70周年記念作品 不朽の名作、ついに新訳版で登場!
    けんか別れした妻が殺された。そのとき、夫は街で出会った奇妙な帽子の女と過ごしていた。唯一の証人は彼女だけ……今はどこに?(解説:池上冬樹)
    内容(「BOOK」データベースより)
    妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼は気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れた。その後、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった!迫りくる死刑執行の時。彼のアリバイを証明するたった一人の目撃者“幻の女”はいったいどこにいるのか?最新訳で贈るサスペンスの不朽の名作。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    アイリッシュ,ウイリアム
    1903年12月4日ニューヨークに生まれ、1968年9月25日ニューヨークのホテルに死す。コーネル・ウールリッチやジョージ・ハプリィ名義でも作品を発表

    黒原/敏行
    1957年生、東京大学法学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • “夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。”
    さすがの名訳ですね。冒頭からすぐさま物語に引き込まれます。そして、新訳がとても読みやすくてぐいぐい引っ張っていってもらいました。
    一言でいえば、面白い!
    《江戸川乱歩が絶賛した大どんでん返し!》との帯の文句に、うわぁ、江戸川乱歩とおんなじ小説読んじゃったよぉ!と、勝手に親近感。本を読むということは時代や国を超えていろんな人々と繋がることが出来るんだよねと、改めて実感。
    でも、ほんと、この大どんでん返しには唸りました。犯人もだけど、その犯人に対しての最後の追い詰めかたがね、そうきたか!って。ラストまで全力疾走です。息がきれてます 笑
    私の頭の中では、奥さんを殺したと死刑判決を受けた絶体絶命のヘンダースンを助けるために、捨て身の行動を起こす恋人のキャロルが主役となって走り回っていました。健気で勇敢で、最後まで彼のことを信じて行動した彼女があってこその事件解決だったと思うんです。ほんと、もう彼女を大切にしなきゃ罰当たりますよ、ヘンダースンさん!

  • “夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。”


    80年前に出版された古典ミステリーの新訳版。
    無実の罪で死刑判決を受けた主人公の無実の証拠となる女を探していくのだが、章ごとに死刑までのカウントダウンになっておりハラハラしながら読んだ。

    内容も面白かったのだが、詩的な文章がとくに好みだった。
    お洒落な言い回しが随所にあるので、普段ミステリーを読まない方や文学好きも楽しめるのではないだろうか。

    ちょうど読んだ時期が某漫画家さんの悲しい出来事があったあたりなので、作品に携わる人の原作者や名訳をした故稲葉明雄氏へのリスペクトが感じられたのも良かった。(あとがきでは新訳者の熱い思いが綴られている)

    原作者の大切にしたいものをしっかりと護って送り出して欲しいと思う。

    古い作品だがミステリー好きに是非おすすめの1冊。


    こんな人におすすめ.ᐟ.ᐟ
    ・ミステリーが好きな人
    ・どんでん返しが好きな人
    ・詩的な文章が好きな人
    ・サスペンスが好きな人

  • 臨場感たっぷりの物語で読んでいてドキドキしました。ただ、わたし的にはちょっと読みにくく、読み進むのに時間がかかりました。
    でも最後は色々ななぞも無事に解決し、全てスッキリ!ウィリアム・アイリッシュさんすごいです。

  • 無実の罪を着せられたスコット。死刑執行までに彼のアリバイを証明する“幻の女”を探し出すべく、友が立つ。

    夜のニューヨークをさまよい歩く男。どうやらムシャクシャと荒れているようだ。彼スコットは、妻と離婚について争っている最中だった。知らないバーに入ってゆきずりの女と酒を飲み、劇場でショーを見る。少し気が晴れて帰宅すると、刑事たちが待ち構えていた。ベッドで妻が絞殺されていたのだ。アリバイを証明するべく、ゆきずりの女を探し出さねばならない!しかし街へ戻って聞き込みをしても、誰も彼女のことを覚えていない。皆が口をそろえて、スコットが一人で酒を飲み、一人で劇場にいたと言うのだ。彼はそのまま妻の絞殺の疑いが晴れず、死刑宣告を受けてしまう。はたして“幻の女”はどこに……。

    ミステリーの古典的傑作として有名な本作。タイトルだけがずっと頭に残っていて、昔一度読んだことがあると記憶していたが……あれ?この話は初見だ……!たぶん、何か他の作品と勘違いしている。なんだろう?

    それにしても冒頭から引き込まれる展開だ。いったい何が起こっているのかさっぱりわからない不気味さ。主人公自身にも顔が思い出せない無個性な“幻の女”の幻想性。「死刑執行まであと何日」といった章立てで、タイムリミットがあるスリル感。投獄されてしまったスコットに代わり、彼を救うべく、親友と愛人が探偵役として立ち上がるのがアツい。次々と判明する不可解な出来事に、最後まで目が離せず一気に読める。そして至る衝撃の結末とは。はたしてスコットは助かるのか?もはやこれ以上は言うまい。20世紀前半の小説なので、エンタメに慣れている現代人には古さや既視感は感じられるかもしれないが、いまだにミステリーの名作として愛される傑作。ぜひともこれはネタバレにぶつかる前に読んでほしい。

    本作「幻の女 ウィリアム・アイリッシュ」と似た感じのタイトルか作者名で、同じようなミステリーの古典を昔読んだ記憶があるのだが、なんだったかさっぱり思い出せない……。何と勘違いしている?本作を堪能した今後は、この、自分自身にとっての“幻の作品”を探し出さねばならないようだ……(笑)。

  • いつものように喧嘩して別れたのに
    帰宅してみたら 妻が死んでいた。

    その間 自分は見知らぬ女性と
    食事をして ショーを見ていたのに
    その事を証言してくれる人が誰もいない。

    そして死刑を求刑されてしまう。

    その後 友人が色々骨折ってくれる。
    各章のはじめに 死刑執行前 ○○日 となっていて
    時間がどんどん進んでいく様子がわかる。

    もしかして 幻の女というのは
    本当に幻あるいは 幻覚なのかと思っていたら
    証言してくれそうな人が どんどん直前で死んでしまう。

    となると 誰が犯人なのだろう?

    最後まで 予測できなかったです。








    ネタバレです



    犯人は自分を助けてくれようとしてくれた友人だったんです。
    友人は実は 奥様と不倫関係で
    彼女は 本気ではなく 遊びだったのに 友人が熱を上げていて
    ふられたので 衝動的に殺してしまった。
    ついでに 犯人を 友人にしてしまえと いう事でした。

  • 未読だった海外ミステリ古典中の古典。

    妻と仲たがいし、苛々しながら街へくり出したスコットは最初のバーで出会った特徴的な帽子を被った女に声をかけ、その日妻と行く予定だったレストラン、観劇へ誘う。
    とらえどころのない女との一夜のデートに気が落ち着き、家へ帰ったところに待っていたのは、刑事たちと妻の死体。

    さすが名作と言われる古典。
    色褪せないリーダビリティを備えている。

    今更読むとなるといささか古めかしい構成や展開(次々と消えていく重要人物。。。)だが、タイムリミットサスペンス、どんでん返しの原型なんだろうなぁと思うと感慨深いものがある。

    幻の女のふわりとした存在感、消えゆく様はもう一つのストーリーとしてはかなく秀逸。

  • 2020.2.21読了

    古典の名作とのことで手に取り、時間をかけて味わった。
    表現に装飾が多くまどろっこしく感じたのは始めだけで、ストーリーの面白さに引き込まれ、どんでん返しが評価されてると知っていたはずなのに驚かされた。
    純粋に楽しめた作品。さすが古典として残り続けているだけあって、古びてない。

    しかし、世の中が便利になればなるほど、こうした味わい深いお話は生まれにくくなるだろうと思う。現在にもし置き換えたなら、人探しなどあちこちに設置されたカメラやSNSによってこれほど苦労することはなさそうに思うし、そもそも情報が多すぎて一人の死刑囚のことを誰もが知ってるという状況にはなりにくい。口止めは容易ではないし、科学捜査の精度は上がっているだろう、建築物の安全対策は法律で厳しく取り決められているし、状況証拠だけで死刑判決とはならないかもしれない。我が国で考えれば、執行日を明確にカウントダウンすることはできないだろう。

    なんてあれこれは野暮な話。お話に身を委ね行き着く先をぼんやりとしか意識せず流されていくことで鮮やかに欺かれる心地の良さは、良質の読書体験そのものと言って良い幸福な時間だ。

  • 海外ミステリーの超有名作「幻の女」は絶対に読むべき作品です。
    恥ずかしいながらこの作品は知っていたものの、今まで読んでいなかったことに後悔しています。
    かなり古い作品ではありますが、かなり面白いです!
    この作品の最大の魅力はズバリ謎です!
    殺害容疑をかけられた主人公のアリバイを唯一証明してくれる「幻の女」を探し出す物語となっています。そこから明らかになる真実にあなたは必ず騙されること間違いないです!
    また、サスペンスとしての色もかなり強いと思われます。
    とにかく先が気になって手が止まりませんでした。
    読んだ方には分かると思いますが、作中に出てくるある人物がかっこよすぎです(笑)
    最近新訳版も出ていて凄く読みやすくなっています。
    まだ未読の方はぜひご覧になって下さい!

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