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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784150710019
みんなの感想まとめ
深い悲しみから復讐を誓った探偵小説作家が、息子をひき逃げされた事件を追い、犯人を追いつめる物語が描かれています。作品は日記形式で進行し、主人公の心情や行動が細やかに描写され、読者は彼の苦悩に引き込まれ...
感想・レビュー・書評
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男手ひとつで育てていた幼いひとり息子を交通事故で失った探偵小説作家ケアンズは、深い悲しみのなか復讐を誓い立ちあがる。遅々として進まない警察の捜査に業を煮やしたケアンズは、個人でひき逃げ犯の分析と捜索に着手する。偶然も手伝って加害者の目星を付けることに成功し、目標達成のために作家としてのコネも利用しながら犯人への接触を試みるケアンズは、同時に復讐を果たすための構想を練りつつあった。
作品の舞台はイギリス、時代設定は、会話においてナチスドイツの名前が挙がることや、ラジオ放送を通して日本が中国を攻撃するニュースを伝える箇所が存在することから、発表当時の1938年頃と思われます。冒頭で記載した内容が第一部となっており、ひとり息子の復讐を誓ったケアンズが犯行にいたるまでの日々が描かれるのですが、これが日記形式で綴られていることがポイントです。ここまでのストーリーだけであれば犯罪小説として読むこともできるのですが、事件当日を描く第二部で趣きが変わり、第三部のおしどり夫婦である探偵夫妻の登場にともなって、完全に本来の探偵小説としての形式に転調し、この探偵パートと呼ぶべき第三部に続く解決編で完結する全四部の構成となっています。
事前に情報を調べず、犯罪小説を予期していたこともあって、大きくは第一部にあるケアンズの日記形式による記述と、典型的な探偵ものとして描かれる第三部以降という、異なった形式と視点が同居する特徴的な構成には驚かされました。ただし、構成だけの作品というわけではなく、作者の描写からはそれぞれの人物像や情景が自然に伝わり、全体を通して楽しく読むことができました。探偵であるナイジェルが天才型ではないことも、本作については有効に機能していると思えます。また、真相を知ったあとになって、ある有名なミステリ作品を思い出すことになりました。
最後に書名に関して。本来探していた大藪春彦の同名ハードボイルド小説が書店になく、本作が検索機の在庫情報にヒットしたのが読書のきっかけでした。刊行の順序から、大藪氏の小説タイトルは本作から取られたものなのでしょう。激しい印象を受けるタイトルですが、作品のイメージとは違っていました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
息子をひき逃げされたミステリ作家が復讐を誓い、犯人を捜して追いつめていく。日記形態の倒叙ものとして物語の幕は上がります。
少ない手がかりから犯人像を絞り込んでいき、次第に近づき犯行に及ぶプロセスにスリルあり。一人の人間を犯罪に駆り立ててゆく、細やかな心理描写も巧い。
読み進めていくうちに、これはあの有名作のアレみたいになるのか、それともあの人のアレか、と変なドキドキ感を味わいましたが、そこは一味違いました。
構成が面白い、古典の名作でした。 -
アイルランド生まれのイギリスの作家ニコラス・ブレイク(セシル・デイ=ルイス)の長篇ミステリ作品『野獣死すべし(原題:The Beast Must Die)』を読みました。
イギリスの作家の作品は、先日読了したアガサ・クリスティの『復讐の女神』以来ですね。
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探偵作家フィリクス・レインは、最愛の一人息子を暴走する自動車に引き逃げされた。
再三の調査にもかかわらず自動車の行方は知れず、六カ月がむなしく過ぎた。
怒りを抑えきれない彼は、ひとり見えざる犯人に復讐を誓った!
英国の桂冠詩人セシル・D・ルイスがブレイクの筆名で綴った、香気あふれる本格傑作。
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1938年(昭和13年)に刊行された作品……ニコラス・ブレイクの代表作で、私立探偵ナイジェル・ストレンジウェイズ・シリーズの第4作です。
■第一部 フィリクス・レインの日記
■第二部 仕組まれた事故
■第三部 この死の体より
■エピローグ
■解説 復讐から憎悪の研究へ 植草甚一
推理作家フィリクス・レイン(フランク・ケアンズ)は最愛の一人息子マーティンを轢き逃げで失ってしまう……しかし6カ月にわたる捜査にもかかわらず、警察は犯人の車を発見することが出来なかった、、、
フィリクスは独力で犯人を捜し出し、自らの手で復讐することを決意する……作品の約1/3にあたる第一部がレインの日記形式、その後は三人称で語られるという、異色の構成による本格ミステリで、この構成により単なる謎解き小説にとどまらず、心理サスペンスとしても強烈な印象を残す作品。
幼い息子を轢き逃げされて天涯孤独の身となったフィリクスが、加害者を探し出し、そして復讐のために殺すことに人生を捧げることを決意……その復讐の日々を綴った日記を執筆、、、
愛する息子を喪ったフィリクスの哀しみと怒り……作品全体の1/3を占める日記の部分で物語に惹き込まれていきましたね。
その後、物語は三人称の語り口に変化……フィリクスの殺人計画は失敗しるも、轢き逃げ犯は何者かによって毒殺されてしまう、、、
自らに嫌疑がかかることを懸念したフィリクスは、私立探偵ナイジェル・ストレンジウェイズに真相究明を依頼……捜査の中で、関係者の過去や素顔が徐々に明らかとなり、終盤にトリックと巧妙な伏線がピタリと嵌る という展開が面白かったですね。
サスペンスとしても、本格ミステリとしても愉しめました……登場人物の複雑な家庭環境等、現代に通じるテーマも含まれており、90年近く前の作品とは思えませんでしたね。 -
訳:永井淳、解説:植草甚一、原書名:THE BEAST MUST DIE(Blake,Nicholas)
フィリクス・レインの日記◆仕組まれた事故◆この死の体より◆罪は顕われたり◆エピローグ -
2017/01/15読了
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2016/09/23
子供を轢き殺されたパパの復讐物語
手記→事件発生→探偵→解決編な流れ
復讐というか、殺したかった人が死んだという点ではハッピーエンドなのでは?
相手の身になってのパパ推理だけど、ぶっちゃけ見つけられたのは幸運だったと思う。あ、不運なのか?
証拠がないことが後にこんな意味を持つなんて思わなかった。
ハッピーっつったけど、復讐劇なんて悲しみしか産まないわ。
会話や何気ない一言 -
主人公の手記から始まる物語。
ひとり息子を轢き逃げされた男が、運転手への復讐を仄めかす。
手記で始まったため、最後まで手記で復讐をいかに遂げるのか、成功したのかしなかったのか、そういったことを綴っていくものだと思っていた。原因があり結果に至るまでを読ませる、よくある形だと思っていたら途中でスタイルが変わる。
復讐する人物が殺されてしまう。
あれれ、ミステリーだったのこれ。
突然グイッと方向転換をされ、戸惑いつつ読んでいく。
最後は誰が殺したかも明らかになり落ち着くところに落ち着く。
こういうのがハードボイルドというのだろうか。
物語の中で結構唐突な感じで“22の質問”が出てくる。
いくつか挙げると
オランダボウフウの味をよくしないためには、甘い言葉がどれだけ必要か?
〈ライオンの保母兼乳母〉とはだれのこと、あるいはなんのことか?
九英傑とはどういう意味か?
……ナンダコレ。
これが事件解決の鍵なのかと読んではみたものの、何言ってるんだかよくわからない質問ばかり。
結局この“22の質問”が物語にどう繋がったのかよくわからないまま終わってしまう。
この“22の質問”に関しては翻訳された永井淳さんもよくわからなかったらしく、巻末に原文と翻訳とを記しておられ、不明とかよくわからないといった考察のようなものが記されている。
翻訳されたかたがわからないことは勿論わたしにもわからないわけで、こっちの方がどんだけミステリーだよとツッコミを入れたくなる。
よくわからないこともあったりだったが、面白いというかこういう作品もあるのかというのが最も感じたこと。
本屋さんでこの本を棚に見つけたとき、『あっ、松田優作さんの映画の原作だ。』と手にとって、全く別の作品と気づいて、ひとりコッソリ笑ったのもいい思い出だ。
それにしてもこの作品のタイトルは江戸川乱歩がつけたらしい。
死ね、じゃなく、死ぬべし。こう表現するところに乱歩の並々ならぬ言葉のセンスの秀逸さを感じる。 -
すごい。
ミステリとしても出色の完成度だけど、文学としても十分鑑賞に値する。
主要テーマは物語中盤、食事時にかわされた会話にあると思う。
そのテーマをめぐるいろんな人のいろんな葛藤、そして最後のあまりに悲しい結末。
だけど結末が絶望的であったがゆえに、そこに残ったわずかな希望がより輝いて見えるような気がする。
読後感は、なんだか映画『トラフィック』を観た後の感じとよく似ていた。 -
ナイジェルもの。轢き逃げ事故で息子を事故死させられたケアンズ。彼は轢き逃げした犯人の情報を得、上手に近づいていった。そして、復讐の殺人計画を立てるが……。最初は倒叙のようなケアンズの日記から始まり、中盤からナイジェルが登場。最初倒叙作品なのかと思って読んでたが、心理描写がうまくかかれており、心理描写される作品が好きな私はすごい興味深く、楽しく読めました。そして、名作と言われるだけあって、そのラストの犯人を言い当てる理由にびっくりしました。犯人の意外性は登場人物が多くないこともありそれほどないかもしれないです。でも、すごい面白い作品でした。
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1938年の作品ということだが、さほど古臭いものではない。ミステリーの代表作のひとつとして、読んでみても損はないと思う。そんなに長くもないし。
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探偵作家フィリクス・レインは自らの手で息子を轢き殺した犯人を探りあて殺害を計画するが・・・
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戦地を渡り歩いた通信社の元カメラマンが、翻訳の仕事に身を隠しながら、一匹の野獣となって、管理社会の安穏とした生活に犯罪で挑む姿を描く。
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これは面白い。「頼子のために」がニコラス・ブレイク風って書いてあったと思ったけどこういうことだったのかと一人納得。最初に愛するものを失った者の日記があるんだけど、その生々しさというか滲み出てくる悲しさなんていうのがとてつもなくうまいと思う。またそのせいで感情移入しちゃって第三章からの仮説が飛び交う展開でこの人は絶対に犯人ではないと思ってしまう。いや、これはうまいね。見事にやられた。脱帽。
ニコラス・ブレイクの作品
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