スパイの誇り (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 1-12 ランクリン大尉シリーズ)
- 早川書房 (2003年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (636ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150710620
感想・レビュー・書評
-
大好きな作家だがこれはハズレだ。
60年台の所謂4部作を除くと読み応えのある作品は無い。
本作も600ページ以上有るが中身はスカスカだ。100ページを過ぎても本筋は出てこない。チャンドラーでさえ駄作があるのだから仕方ないかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
確かにライアルの場合、初期の作品で考えてしまう。ずっと読み続けてきたけど、マクシム少佐シリーズあたりから少し読むのがおっくうになり、1次大戦あたりを背景にしたスパイシリーズを読むのは始めてである。
長編というより、どちらかというと連作の中編集という趣がある。これも、ライアルの場合は初めてだから、そのような趣向であることに気がつくまで時間がかかった。実をいうと、なかなか夢中になれなくて、やっと作品の世界に入れたときには、この長い一冊を読み終わるところだった。どうも、ギャビン・ライアルという作家の場合、彼の作品はこうであって欲しいという願望が先に立ってしまって、それと照らし合わせて読んでしまっているようだ。
おそらく作者が、連作を横切るテーマとして設定しているであろう、「スパイの誇り」、つまり一種のコンプレックスを含んだ主人公の苦さや、その中で自分の行為に誇りを持とうしていく過程などは、正直ぴんと来なかった。まだまだ始まったばかりのシリーズという気がして、やっと主人公がスパイという仕事になじんだばかり。物語はこれからだというように思う。
ヒロイン、魅力的。主人公より周りの人の方がいい感じがする。特にライアルっぽい印象が強いのは、主人公よりその相棒の方である。
まだ数冊書きつづられているようだ。読んでいくのが楽しみである。失望に変わる可能性も否定できないけど。